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先のある真剣勝負が見たい

 まさにタナボタで転がり込んできた準決勝戦で、ようやく韓国に勝ったWBCの日本チーム。テレビでは普通の人にインタビューをしたものを垂れ流していて、何か勝てば何でもいいのかと思ってしまったりして。個人的にはナショナリズムには関係なく、いつも見ている選手が活躍しているのは見ていて面白いのですが、今回の世界大会には問題が多すぎです。新聞報道によると、2次リーグの日本対韓国戦はテレビ中継がスポーツチャンネルのスペイン語放送しかされず、三大ネットワークはバスケットボールの大学生の試合をその時間に流していたとか。ホスト国でそれだけ冷遇されているという状況、そして今回決勝へ進出したキューバチームは、ぎりぎりまで大会に参加できるかわからなかった事など、まさに傍若無人なアメリカに対し不満をぶつけてきた国が残っているというのは実に興味深いところです。

 今回日本選手団に参加していないニューヨーク・ヤンキースの松井選手やシカゴ・ホワイトソックスの井口選手は、いろいろあったものの野球の世界一はこの大会ではなく、あくまでメジャーリーグのワールドシリーズで決まると判断しました。イチロー選手は自分のチームがワールドシリーズを狙えないと思っていたふしはあるものの、この大会はワールドシリーズに匹敵する権威を持たせたいと判断しての参加でした。この大会が終わると日米でプロ野球が開幕するわけですが、実のところ日本でメジャーリーグが盛り上がるのか、ちょっとわからないなと思えるようになりました。

 はっきり言って、日本のプロ野球にとってはかなりの追い風ではないかと思います。早いところアジア連盟をまとめて、日本・韓国・台湾・オーストラリアのクラブチーム対抗戦あたりをすぐ行なえるように手配すべきです。将来的にそこで勝ったチームとメジャーリーグのワールドシリーズ制覇したチームがエキシビジョンでも何でも雌雄を決することができれば更に面白いような気がしますが、そうした「先の希望」を作ることで、真剣勝負が増え、それが多くの人を引きつけることになるということは今回の大会が証明しています。明後日の勝負は時の運でどう転ぶかわかりませんが、全力を出していい試合になってくれるといいですね。