CASIO QV-R51

 

 久しぶりに新品でちゃんと保証の付いているデジカメを買ってしまいました(^^;)。経済的事情もあって、なかなか高価なものを買い続けるのはできないのですが、2004年1月発売のこの機種は、やはり500万画素でありますから、今でも高いところだと4万ちょっと、安いところでも3万弱といった値段です。たまたま近所のお店をのぞいたら23800円という値(現品処分扱い)になっていて、ちょっと迷っているうちに19800円に下がっていたのでつい買ってしまいました(^^;)。この19800円というのは税込みの価格なので、実際は18900円くらいになりますね。このカメラはもちろん自分で使うのにもいいのですが、実を言うと私、これだけ多くのカメラを持っていながら、人に貸してあげられるようなカメラは持っていなかったのでした。デジカメに慣れていない人たちは、機能てんこもりの機種を貸してあげても、ただオロオロするばかりですから、操作も簡単でストレスのないデジカメということでこのカメラを貸してあげると、今までカメラ自体に興味がなさそうな人でも写真を撮ってみたいと思うようになるかも知れません。ここではそんな初心者に易しい、QV−R51について、二つの切り口で紹介していきたいと思います。


1.メカに弱い人のためのレビュー

  フィルムのカメラは使ったことがあっても、パソコンを持っていないのでデジカメはほとんど触ったことがないという人は案外多いものです。そういう人はまず電源の入れ方さえわからなかったりします。多機能のデジカメなどになりますと、それももっともだというくらいのスイッチ類がありますし、そういうものは恐らく触っただけで拒絶反応が出てしまうのでしょうね。

PCカードとの大きさ比較 ここで、フィルムカメラというか、写ルンですに代表される「レンズ付きフィルム」と比較して見ていきたいと思います。この場合はフィルムを手で巻き上げてシャッターを押すことで写真を撮ることができます。暗い場合でフラッシュを使いたい時にはフラッシュボタンを押してシャッターを切ればOK。パンフォーカスのためピント合わせも不用で撮りたい時にすぐ(タイムラグがないということも重要)そこそこの写真が撮れるということですから、使い易さという面ではデジカメよりも上でしょう。更に今では望遠が付いたり、夜景や花火まで撮れてしまうものまで出ています。これに対抗できるだけの機能や使い勝手が実現されていないと、なかなかそういう人たちをデジカメに振り向かせることは難しいと思われます。

 レスポンスが早く操作も簡単ですぐに撮れるということですと、デジカメにもパンフォーカス、単焦点のものがあります。私の持っているものの中ではパンフォーカスではなくオートフォーカスですが単焦点で、レンズカバーを開けるとすぐに撮影タイミングになるオリンパスのC−2などは使ってもらっても違和感がないと思います。ただ、デジカメなんだからやっぱりズームは欲しいと思う人も多いでしょう。そう考えると、ズームは10倍で、初心者が陥りやすい手ぶれを補正し、オートで撮っても大丈夫であろう(というか、私の使っているオリンパスのC−2100UZを基準にして書いているので一部推測で書いていることをお詫びします)キャノンのパワーショットS1ISあたりがいいのかと思いきや、うちの家族はそのサイズでも持っていくのに重いなんてことを言ったりするんです(^^;)。スペックを見てすすめても、デザインがいいと思わなければ使わないような人もいますし、小さくて持ち歩くにも苦にならないということも結構重要だったりするのです。

 で、カシオのQV−R51なのですが、サイズ的にはPCカードサイズで、厚みは単三電池二本使用のためあるものの、まあ邪魔にならないサイズだと思われます。操作については背面のカメラマークボタンを押すと約1秒で起動し、設定の変更は必要ですが、撮影を終える時も同じボタンを押せばすぐに電源が切れます。レリーズタイムラグが0.01秒とほとんどないので、シャッターを押したイメージそのままの写真をすぐに確認することができるのでストレスを感じることはないでしょう。ズームは3倍ですが、500万画素あるので、必要ならばトリミングをすることで、クローズアップをL版プリントくらいなら楽々出力できます。さすがに新しい機種ということで、ノイズ対策もそこそこしているようで、ISO200くらいならそれほど目立たないように加工してくれます。明るい室内くらいなら、何とかフラッシュなしで撮れる(と言っても手ぶれ対策は必要)だけのスペックはあります。

 ということで、あくまでデジカメ初心者用にカスタマイズすることで、レンズ付きフィルムに迫る使い勝手を追求してみました。

 

1.「メニュー」→「モードメモリ」で「フラッシュ」と「デジタルズーム」、そして「AFエリア」を「入」に

 これは、撮影における設定を電源を切っても保存するかというところなのですが、これらの三項目だけはリセットしないようにすることで、何も考えずに撮影しやすくなると思います。まずは無意味なデジタルズームを使わないということと(どうしてもクローズアップが欲しい時はトリミングすればいいわけですし)、フラッシュはできるだけ発光させないようにしておいた方がいいという判断の元です。集合写真を室内で撮る時など、フラッシュを使う場面もありますが、フラッシュをオートにしておくと、決してフラッシュを光らせてはいけない所でフラッシュを光らせる失敗をする恐れがありますし、フラッシュのチャージに時間がかかることがストレスとなる恐れもあります。どうしてもフラッシュを使いたいという希望があった場合にフラッシュの設定(と言っても十字キーの下を押して選ぶだけなのですがそれが難しかったりする)を教えるというスタンスが一番いいと思います。そしてピントについては、フォーカスロック(風景と人物を一緒に入れるような場合、いったん人物を中央にフレーミングし、半押しすることによってその人物にピントが合わせるというような撮影術)の使い方がわからないであろうことを予測し、この機種特有の7点測距マルチAFをデフォルトで設定しておくために設定しておきます。

 

2.「撮影モード」は「静止画」

 ベストショットというモードがありますが、初心者には混乱の元となりますので、ごく一般的なモードで固定します。

 

3.「サイズ」は「2560×1920」のノーマル

 これは500万画素をフルに使うモードで、ノーマル画質だと一枚1.5MBとなり、128MBのSDカードで64枚となります。そんなわけで、できたら256MBのカードを使いたいところです。画質を最高サイズにしたのは、もしクローズアップの画が欲しくなった場合に、200万画素でも300万画素でも、それ相応にトリミングすればL版くらいの出力ならば問題なくできますので、大きなサイズで余裕を持ってという考えからのことです。

 

4.「AFエリア」は「マルチ」へ

 普通のカメラでは中央部分の距離を測りますが、この機種は7つの測距点を持つ、マルチAFを搭載しています。集合写真などで人物と風景をバランスよく配置した場合、人物の方にピントが合いやすくなりますから、こちらの方をデフォルトにしておきます。

 

5.「ISO感度」は「オート」

 これは購入時のデフォルトで、あえて他のところは変えずにおけばいいのですが、この点だけはちょっと書いておきます。

 室内などの撮影で、ISOを低く設定してしまうと、フラッシュを使わない撮影ですと手ブレが起こります。この機種は増感してもなるべくノイズが目立たないような処理がされていますので、むしろ積極的に感度を上げて(ISO200くらいでも何とか見られるだけの結果が出るという報告もあります)撮った方がいい結果が出るように思います。

 

6.「左右キー設定」は「切」

 初心者にはできるだけ、自分の意志と反するボタンを押してしまい、パニックになるようなことは避けた方がいいと思いますので、撮影の時に反応するボタンは、十字キーの上下(上は「マクロ」→「∞」→「MF(マニュアルフォーカス)」の順で変わり、下のキーはフラッシュが「強制発光」→「赤目」→「オート」→「発光禁止」の順に変わります)のみとなり、初心者に使わせる時は、そのボタンにもできるだけ触らせないようにした方がいいかと思います。

 

(撮影の注意)

 こうした設定の上、できればマクロや風景撮影などに使う∞と通常撮影の切り替えや、フラッシュの状況に応じた設定変更、そして「ベストショット機能」なども覚えればかなりいい写真が撮れるようになると思いますが、なかなかそこまでは最初からは無理でしょう。そんな中、少なくともやってほしいことは、

 

1.電源の入れ方、切り方を覚える

2.ズームのやり方を覚える

3.手ブレを避けるため、両手でホールドする

4.ピントを合わせるため、一気にシャッターを下ろさず、いわゆる「半押し」でのピント合わせを覚える(システム音を「入」にしておくと、ピントが合った時に音が鳴るので、その音が鳴ったらシャッターを押し込むように教えておくといいかも)

 

 せめてこれくらいできるようになれば、失敗のない写真が高い確率で撮ることができるようになるでしょう。そうした出来栄えに気を良くしてもらい、更に次の機能というように覚えていくようになれば、その人はデジカメの魅力に徐々にとりつかれていくことになるでしょう。いったんカメラ本体を購入してしまえば、それ以降のコストがほとんどかからず、プリントする際も、パソコン上で見て気に入ったカットだけプリントすればいい(つまり、フィルムカメラのようにいったんすべてプリントする必要がない)メリットを実感してもらえるのではないかと思います。とりあえず、そんな設定をして撮ってもらったサンプルを上げておきましょう。広大な風景の中、鴨を狙ったものの、米粒みたいに小さくしか写らなかったのですが、さすが500万画素の威力、webやパソコン上で見てもらうくらいなら何とか見られるくらいの大きさになりました。トリミングのみでリサイズなしの画像です。

トリミングのみの画像

 

2.応用

 

 このカメラは初心者に易しいということだけではなく、デジカメを使い慣れている人にとっても魅力的です。動画が貧弱で連写もできませんが、そういう用途には別のカメラを使えばいいだけの話で、実際私は、同じ単三電池二本で動く、サンヨーのDSC−MZ2と普段併用していますが、こちちは連写と動画に特徴のあるカメラで、うまく欠点を補完し合っています。

 動作とシャッターのレリーズタイムラグがないということは、まさに一撃必殺の早業的にさっと出してすぐ撮れるというわけで、今まではもたもたしていたところもちゃんとカメラに収められる可能性が出てきました。あと、細かいことかも知れませんが、リアルタイムでのヒストグラムの表示が可能になっているので、露出補正をする際などは実に有用です。それと、ベストショット機能はなかなか便利ですね。設定によっては液晶画面にフレームが出たりしますので、画面の構成を考えやすくなります。あまり考えず、直感的に撮るのには適したカメラだと言えます。それで不満がある場合はマニュアルでじっくり撮ることのできるカメラと一緒に持ち出すことがいいでしょう。私の場合はそれがE−10なわけですが。

 

3.まとめ

 

 そんなわけで、このカメラは、一台ですべてのことができるようなカメラではありません。そういう機能を求めるのならば、値段の安さにつられて買ってしまうと後悔します。あくまでお手軽カメラだと割り切り、使い倒すぐらいが丁度いいのでは。ですから今だと4万円台で買うには高いかなという感じがします。今からだと、2万円前後ぐらいが購入の目安となるでしょう。


 

私のお気に入りのページへ

デジカメを楽しむ へ

ホームへ

ご意見、ご感想をお寄せください

mail@y-terada.com