FUJIFILM FinePix プリンカム PR21

 

 FinePix PR21

 物には「買い時」というものがあるとするならば、このデジカメについては個人として買い時を逃してしまったものだと言えるでしょう。1999年に発売された時には定価が99,800円という高価なものでしたが、しばらくして19,800円という値段で売られているのを見ておきながら購入することができませんでした。

 ネットオークションでも中古が1万円弱から新品になると3万5千なんて値段で落札されていまして、あの時に無理をしてでも買っておけばよかったと後悔することしきりだったのですが、たまたまインターネットショップの中古通販で送料込で7,600円というものを見付けました。少々外装に傷や、ファインダー内にホコリが入っているというものでしたが、動作には問題ないと明記されていたことが決め手となり(オークションの場合は状態についての記述がないことが多いので実際に手元に届くまで不安)、一気に購入ボタンを押してしまいました。クレジットカードで購入したので、朝ボタンを押して夕方にはもう発送というスムーズな取引というのも通販ならではでしょうか。


 このカメラについて語る前に、フジフィルムが出しているインスタント用カメラフィルムの「チェキ」について書いておこうと思います。これを書いている2004年8月現在、10枚パックが700円くらいとインスタントカメラフィルム(注・ボラロイドは商標)としては安価です。ただ、サイズ的には小さめで、名刺と同じようなサイズなので、むしろ写真を持ち歩くには最適のサイズと言えます。更にちょっとした余白があるので、何らかの情報を写真自体に書き込んでおくことができます。それがこれだけシェアを占めている理由だと思われます。

 ただ、インスタントカメラゆえの問題もあります。焼き増しは可能なものの、ネガが残らないということと、オートフォーカスや望遠レンズなど、カメラとしての性能に現在のエントリーモデルは劣っていると言わざるを得ません。個人的にはデジカメで撮ったデータをチェキフィルムに出力できるプリンタがあればいいのにと思っている人は多いでしょう。現在のラインナップではその名も「チェキプリンター」というものが存在します。ただこれはデジカメ用ではなく、携帯電話のカメラを使って撮った写真を出力するものなのです。それでも何とかデジカメに使えないかといろいろスペックを見てみましたが、電源に一次電池を使っているということと、赤外線で画像を転送するということなので、それに対応する携帯電話をまず持たなくてはいけないのがネックでした。つまり、外部メモリーカードを差して使うことのできるプリンター対応の携帯電話を用意し、デジカメで撮った写真を携帯電話に読み込ませ、赤外線で転送するという環境があればということになります。ただ、そんなめんどくさいことをしなくても、今の携帯電話に付いているデジカメは200万画素のCCDが付いたものまでありますからわざわざデジカメのデータを印刷するためにこのプリンターを購入することはないと思いますが。

 と、前置きはこのぐらいにして、翌日にはもう現品が届いてしまいました。キズやほこりは全く気にならず、フィルムが入ったままだったので、早速試しに以前撮ったオリンパスC−2で撮った写真の入っているスマートメディアに差し込んだところ、何の問題もなくプリントできました。リサイズをパソコンから行うとExif情報が消えてしまうのでまずいかも知れませんが、スマートメディアで200万画素のカメラなら(カタログでは320×240から1800×1200ピクセルまでプリント可)、カードの入れ替えのみでプリントまで対応できそうです。このことがこのカメラを購入する動機になったので、この時点でかなり満足してしまっていますね。ちなみに簡単なスペックとして、230万画素の単焦点機ということですが、インスタントカメラと同じような使い方をする分にはほとんど問題なく撮影を楽しむことができます。

 充電できるニッケル水素電池4本で動くことでフィルム以外のコストはかからないので(付属品に充電池4本と急速充電器がついてきましたし)出掛ける時に本体と充電池だけ持っていって、プリントする必要が出た時に現地でフィルムを購入するようなこともできます。最近はコンビニエンスストアで見掛けなくなったのが悲しいですが、写真屋さんはさすがにパソコン専門店よりも全国には多くありますし、現地での入手はそう難しくはないと思われます。いくら安く買っても使わないで使用期限を過ぎてしまうこともあるので、こんな使い方でも十分役に立つのではないかと思います。

 更に単なるインスタントカメラとの違いについても書いておきます。その場で出力するだけで焼き増しをするためには写真屋さんに持っていく必要があるインスタントカメラに比べて、本体のみで同じファイルから何枚も焼き増しできますし、出力したファイルも当り前ですが本体に残っています。スマートメディアでないデジカメでも、パソコンやPDAとカードリーダーを組み合わせることによって、データをスマートメディアに移すことができれば同じようにプリントすることができます。例えば、500万画素のカシオQV−R51ですが、これは本体で200万画素相当にリサイズできる機能があります。リサイズしたファイルをシグマリオン3のSDカードスロットから読み込み、更にスマートメディアリーダーを使ってファイルの移動のみを行ったところ、問題なくプリントできました。即時性にこだわらなければ、これでも十分実用になりますね。デジカメとしては大きくて重いという評価のプリンカムですが、デジカメ用プリンターとしてみると実にコンパクトです。個人的にはこれで、最近使用頻度が落ちていたオリンパスのC−2040Z(F1.8の明るいレンズで室内撮影に強い)C−2100UZ(10倍ズーム手ぶれ補正付き)も復活させようかと思ってきました。このプリンタとセットにすることで味が出てきそうですし。

 今のところ各社からさまざまな小型プリンタが出ていますが、電源の問題やいつでもどんなところでも消耗品が入手できるという点から言うと1999年発売のこのプリンタ一体型デジカメにも、まだまだ活躍する余地は残っていると言えます。今ではもう中古市場かオークションぐらいでしか見掛けることができなくなっていますが、興味がある方は探してみてくださいね。

(追記)
 上の文章を書いた時点では、パソコンを通してのデータ移動(SDカードやコンパクトフラッシュからスマートメディア)について書きましたが、私の持っているカメラのうち、コンパクトフラッシュとスマートメディアが両方使えるオリンパスE−10があるのを思い出しました。E−20、E−100RSにも同様のメディア構成になっています。そしてこれらの機種は、コンパクトフラッシュからスマートメディアへのコピーがカメラ内部で可能になります(もちろん逆もできます)。コンパクトフラッシュ以外のメディア、SDカードやXDピクチャーカードについてはコンパクトフラッシュ型のリーダーがありますから、これらのカメラを使えば、パソコンがなくても、スマートメディアに画像を落とすことができます。これら三機種の中で、あくまでインスタントカメラとセットにして使うことを考えた場合、入手は難しいですがE−100RSが面白いかも知れませんね。完全に廃れたメディアであるスマートメディアが、このカメラのおかげで再び実用になるとは思ってもいませんでした。この他にも同じフジのデジカメの中ではFinePix F401がスマートメディアが使える200万画素機です。同じメーカーとしての相性を考えると、こちらの選択もいいかも知れません。


 

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