Sigmarion2

 

マックナイズしたシグマリオン2 

 2003年5月に新型のシグマリオン3が出たこともあってか、かなり中古価格もこなれてきた感じのあるシグマリオン2です。私はハードオフで社外品ACアダプタが付いた型番「KIA」のものを15,000円で購入しました。この大きさでキーボードの付いたマシンはJornada690があったのでそれほど物欲は湧かなかったのですが、モバイルギア2 MC/R330の調子が悪くなってしまったので急遽それに替わるマシンということで購入した次第です。とは言ってもいろいろ調べていくと、これがなかなか使えるマシンだということに今更ながら気が付いているところです。ここでは、表も裏も私のわかる範囲の情報を中心に紹介していきます。


 現在はすでに今回紹介するシグマリオン2の上級機、シグマリオン3が発売になっています。さすがに出たばかりとあって、かなり使えるものに仕上がっていますが、私の用途と照らし合わせると、ちょっと合わないなというのが正直なところです。以前購入したジョルナダ690は十万近くしましたのでこの価格差には驚くばかりなのですが、安いには安いなりの(と言っても新品価格の五万前後と比べてのことですが)ことはあります。そういうことは差し引いても、かなり使える印象です。ともあれ、比較対象としてジョルナダ690との違いから説明していきましょう。

 画面の大きさは640×240、色数65000色とジョルナダと同じです。処理速度はさすがに後発ですのでシグマリオン2の方が速いことは仕方のないことでしょう。それにともなってOSもハンドヘルドPC2000という高バージョンとなっています。一番その恩恵を受けるのは、ブラウザソフトであるインターネットエクスプローラが4になったことでしょう。普通にインターネットを見るならそれ程の不都合も感じませんし、ジョルナダではそのままで一部の掲示板に書き込めないと言ったこともなくなりました。もちろんフラッシュアニメとか音声などは出ませんが、だいたいウィンドウズ95の時代のマシンぐらいの使い勝手といったところでしょうか。有難いのはここからモバイルバンキングで、私が使っているものは動作確認が取れたことでしょう。地方銀行の静岡銀行・ゆうちょのモバイルサービスはちゃんとログインできました。もちろん、ノートパソコンを持ち出せばそれ以上のことはできますけど、荷物になりますし何より故障も恐い。エクスプローラー最新版でないと困るようなサイトへつなぐ必要がないのなら(ちなみにシグマリオン3はエクスプローラ5.5相当で、動画の再生も可能だそうです。その必要に応じて選ぶのがいいでしょう)シグマリオン2は魅力的に映ります。また、標準で付いているメディアプレーヤーを利用することで、MP3プレーヤーのようにも使うことができるのもジョルナダにはないことでしょう。

特殊なキーボード 続いてキーボードに触れておきましょう。ジョルナダと比べると一つ一つのキーが大きく打ち易くなっていますが、その分キーを変則的にすることで乗り切っています。具体的に言うと右シフトキーがありません。矢印キーを右下に配置するため、記号キーの一つが右下に、他のキーも左上の数字キーの上へと飛んでしまっています。更にDelキーとBSキーが一緒になっているなど、限られたスペースにキーを配列するためにかなり変則的なものになってしまいました。

 私の場合、日本語を入力するのに「親指シフト」+「漢字直接入力」という方式を使っていますのでちょっとした工夫が必要になってきます。ただ、JISかな入力の人がこのキーボードで入力するのは無理があるでしょう。ローマ字入力の方なら多少の不都合はあるでしょうが何とかなるレベルではないかと思います。ウィンドウズCEで親指シフトを実現するためには「親指キュン」というキー配列変更ソフトが必要ですが、シグマリオンでの利用を前提にしたバージョンアップが最新のものではなされています。右下の矢印キー周辺の配列をすっきりさせ(見ためにもわかりやすいように、キートップをはがして変更しています。ただその際、Altキーと一緒に押すパターンでは元のキー配列を利用しないと正しく入力できないことが判明しましたのでこの方法でお使いの方は注意が必要です)、Enterキーを@キーにするなどちょっとややこしいですが、自然な指の運びに合うような変更にはなっていると思います。多少戸惑うことは有るものの、ジョルナダと比べてキーの大きさが大きい分、小さめのノートパソコンぐらいの打ち易さはあります。この文章もシグマリオン2で打っていますが、打鍵の早さに追いつかないようなこともなく、実に快適です。

 ハード的なことについては、元々ドコモの端末を使うことを前提に作られたものだけあって通常のモデムでの接続に関する端子はありません。ドコモの携帯用と、FOMA用の端子が付いていて、スロットもコンパクトフラッシュのみです。しかもウィンドウズパソコンとの連携を考えているウィンドウズCEであるにもかかわらず、PC接続ケーブルは別売となっています。ですから、住所や予定などをこれで一緒に同期したいような時にはケーブルの購入が必須となりますが(赤外線ユニット内蔵のパソコンとならケーブルなしでデータのやり取りは可能です)、メールやインターネットなどを楽しむ独立した端末ととらえるならばそれだけでも十分でしょう。というか、PC接続コードのうちUSBコードはウィンドウズ2000およびXPには対応していないとのこと。接続するにはシリアルケーブルが必要だということですが、私の用途だとそこまでして同期を取ろうとは思いませんね。むしろ即時性が求められるものについては電子手帳と併用する方が効率が上がると思いますし。私にとって購入の決め手となったのはドコモが作ったものにもかかわらず、つなぎ放題のインターネットであるAir”H用のコンパクトフラッシュカードがシグマリオン2で使えてしまうことです(シグマリオン3でも、とあるソフトを導入することによりコンパクトフラッシュ型のかなりのカードを認識するようになったそうです)。コンパクトフラッシュスロットが一つしかないのでデータの行き場に不安が残るかも知れませんが、シグマリオン2では、本体のRAMメモリに加え、書き替え可能で保存がきく、フラッシュメモリーが16MB内蔵されています。ここにはコスト削減のためか、さまざまなアプリケーションソフトが入っていて、そのままではほとんど残りはありません。ATOKPocketやNEC独自のエディタやメールソフトなど有用なソフトもここに入っていますので、まずはハードディスクや別メディアにしっかりとバックアップを取ってから内容の整理をしましょう。テキストファイルなどの書類などはそれほどの大きさにはなりませんから、このフラッシュメモリに入れておいて作業し、必要に応じてコンパクトフラッシュカードを使ってデータのやり取りをすることで何とかやりくりはできるでしょう。ただ、本体の内容をバックアップしたり、アプリケーションをインストールしたりするにはコンパクトフラッシュカードは必要ですけど。

 とは言え、コンパクトフラッシュスロット一つしかないというのはジョルナダの2スロット(そのうち一つはPCカードスロット)と比べるといかにも貧弱という感じが否めません。しかしここで裏技を使うことによって、キーボードやメモリ等をUSBで接続できてしまうのです。ドコモとは縁のない使い方をしている私にとっては使いようのないFOMAの端子ですが、そこにあるケーブルをつなぐことによって、メーカー保証はないものの、USB機器が動いてしまうのです。詳しくはこちらのページを参照していただければと思いますが、動作報告にはカードリーダーやUSBメモリなどもあり、まさに二つ目のメモリスロットとして使用もできそうです。というわけでケーブルをすぐに頼み、実際に試してみることにしました。型番はMC/PG-UK02というシグマリオン用のものではなく、同じNECのポケットギアというPDA用のものですので注意が必要です。

 動作報告はいろんなページで挙がっていますが、私の持っているものでつなげそうなのは、テンキーパッドがまずNECからキーボードドライバをインストールしたらいとも簡単に動いてしまいました。USBキーボードも何の問題もなく動きますが、親指シフトは外付けキーボードからでは使えず、JIS配列のかな入力なら使えます。当然ローマ字入力も出来ますので、小型のUSBキーボードを持ち運ぶことができるなら、作業環境すらもノートパソコンと同じくらいになるかも知れませんね。シグマリオン2には簡易版のポケットエクセルが付いていますので(シグマリオン3にはポケットエクセル・ワードなどは付きませんが、エクセルファイルを編集するソフトがインターネット上からダウンロードできるそうです)ちょっとした作業などもこれだけでできてしまいます。

デジカメとつなげてみたところ もう一つ、今あるUSB機器といえば、デジカメがあります。記録メディアにコンパクトフラッシュを使っているものなら問題ないのですが、私の使っているオリンパスのデジカメは長らくスマートメディアを使っているということもあり、そのままではシグマリオン2に取り込むことはできません。もちろん、コードを使ってスマートメディアリーダを認識させることにより取り込み可能ですが、パソコンの場合のように直結させて取り込みたいというのがありました。で、試してみたらあっさりデジカメ本体を外部メモリと認識してくれたのでした(もちろん画像だけでなく、スマートメディアリーダーとして、様々なファイルもやり取り可能です)。コード自体はUSB・Bタイプのものですが(おのおののデジカメによってコードの形状が違うので、購入の前にはしっかりと確認を)、携帯しやすいものを用意すれば、かなり実用になるでしょう。ウィンドウズCEで画像を加工するUltraGというフリーソフトがありますが、デジカメで撮った写真をこのソフトでサイズを小さくするなど加工すれば、携帯電話にだってお気に入りのデジカメで撮った写真を送ることができます。あと、コンパクトフラッシュでもUSBメモリでも大容量のものを付けながらインターネットにつなぐことで、うまくやればホームページの作成およびアップロードも単体でできてしまうかも知れません。定価にしてたった千円のコードですが、これだけ書いてみてもかなりシグマリオン2の可能性が増えたと言えるのではないでしょうか。ただこれはあくまでメーカーの保証外の使い方であり、消費電流の上限が100mAだということです。内蔵バッテリーで使用している時は注意が必要です。プリンタなどの動作報告もありますので、そういうものを使いたい時には素直にACアダプタ付きのハブを使いましょう。

 このように、いろいろな工夫によってかなりパソコンに近いこともシグマリオン2ではやることができます。ノートパソコンのように熱を気にする必要もなく使い続けられますし、PHSつなぎ放題のカードを利用してのつなぎ放題のインターネットもできます。また、自宅に無線LANを構築しているような場合は、コンパクトフラッシュタイプの無線LANカードを差せば高速インターネットも楽しめます。今これを書いている時点でそろそろUSB接続コードがなくなってきているようなので、興味がある方はまずコードだけでも確保しておくことをおすすめします。

 最後にバッテリーの持ちについて。今のところシグマリオン2はACアダプタを接続して使っていません。充電する時だけアダプタを使い、一日のほとんどをシグマリオン2で文字を打ったりインターネットにつなげたりしています。ネットに接続するための手段はコンパクトフラッシュ型のAirHカードを使っていますが、かなりネットにつないでいるにもかかわらず、今これを書いている時点で四時間使って残量が40%となっています。画面の照度は低く抑えていますが、ここから使い続けてもあと一時間は使用に耐えるでしょう。とすると、AirH”での通信をずっと続けていても五時間は大丈夫ということになります。インターネットにつないで様々な情報を入手しつつその日のうちならまず電源のことを気にしなくて使っていられるというのは、やはりノートパソコンにない特徴でしょう。電池の寿命を伸ばすためには、ずっとアダプタを差しっぱなしにしないということもまことしやかに言われていることですから、こうした特徴を生かして使いたおしていきたいと思っています。(2003.8.6)

 と、書いてこれ以上いじることはないだろうと思っていたのですが、旅先などでホームページの更新などもついやりたくなってしまうということがあります。で、ウィンドウズCEでホームページを作ることのできるソフトや、ファイルをサーバーにアップロードするソフトを捜してみたら、どちらもフリーのものがあるのですね。文章を書いてその間に写真をはさみこむくらいのページ更新なら、単体ファイルずつのみですがアップロードできるFTP機能のついたHTMLエディタ「FTPNote」で十分実用になります。もう少し本格的なFTPソフトとして、ここではフリーの「ceFTP」を紹介しておきます。ただ、シグマリオン2でホームページのアップロードを行なう場合、コンパクトフラッシュスロットが1つしかないので、FOMA端子からUSBカードリーダーをつなぎ、そこにホームページのデータをコンパクトフラッシュ経由で流し込むような形になります。もちろん、USBメモリの方が都合が良いならそちらでもいいのですが、容量とのかねあいでメディアを選べばいいと思います。

 それにしても、ここまでできてしまうというのは、やはりAirH”がシグマリオンで使えてしまったことが大きいと言えるでしょう。ファイルやフォルダのアップロードには特にトラブルが付きものですし、そういったことで料金の不安を感じないで更新できるということがとにかくすばらしいということです。現行機のシグマリオン3にはまだこの手のフリーソフトはないと思いますが、そういう環境が整備されてくれば、パソコンでできることをすべてPDAで置き換えることは可能でしょう。それまではしばらく、このシグマリオン2を使い倒そうと思っています。(2003.10.21)


 

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