記事一覧

個人はそれほど悪くない?

 ここのところ、会社や役所・警察や自衛隊まで、組織内の情報流出が止まらなくなっていることが盛んに報じられています。で、報道の流れを見ていくと、情報を持ち出した個人および、パソコンソフトのWinnyが悪いという感じがありあり。


 このWinnyというソフトについては、その作者も逮捕されるなど、最初から狙われていた感じがあります。しかし、これら一連の情報流出の裏には、実のところWinnyというソフトとは関係ない問題をはらんでいると私は思っています。


 まず、いともかんたんにパソコンがウィルスに感染してしまうのはなぜかということです。パソコンはインターネットに繋いでいなければ、こんなに大きな問題になることはないでしょうが、今はADSLや光ケーブルなどにより常時接続が当り前になってしまっています。ウィンドウズのパソコンを使うのならば当然、毎月一回のアップデートは必ず行ない、日々のウィルス・スパイウェアチェックを行なうとともに、添付ファイル付きメールやマクロ付きエクセルファイルを開けないなど、最低限の自衛策ができなければすぐにウィルスに感染してしまうことは明らかです。多くの人はそうした危険性を認識しないで、全てのファイルを一台のパソコンに詰め込んでいます。ウィルスに感染するだけではなく、もしハードディスクがクラッシュしてしまったらどうするのでしょうか。しかし、メーカーは単に高性能になったパソコンを売るだけで、日々のパソコンの使い方というのは使っている個人が積極的に学習しない限り顧みられないのです。以前全国で、パソコン初心者に公費での講習会が無料で開かれましたが、その後のフォローはどうなっているのでしょうか。とりあえずウィルス駆除に自信がない人は、中古でもいいですからWinny専用のパソコンを買って、見られたくないデータにアクセスするパソコンと用途を分けるべきです。


 ただ、私が問題にしたいことは個人の範疇を越えたところにあります。そもそも、なぜ多くの人が会社や学校・役所の資料を持ち出し自分のパソコンで作業をする必要があるのでしょうか。全て職場内のパソコンで作業が完結していれば今回のような問題も起こらなかったわけで、それを許さざるを得ない職場の環境こそが一番の問題であると私は思います。


 職場に残って作業をすれば残業代が付きますが、あまりに長く仕事をさせていると、雇用状況自体が問題にされます。家に持って帰ることで、個人は家族と一緒に過ごす時間さえ、仕事にあてなくてはなりません。正社員であればこそ、このような仕打ちに耐え、今回のように情報流出になったらいともかんたんに首を切られるような感じになってしまうのでしょうか。まず報道されなければいけない事は、情報流出したところの労働環境がどうなっていて、日常的に仕事を持ち帰るような事になっていなかったかどうかというところなのではないでしょうか。


 私はこのままこの問題があくまで持ち出した個人の問題とされ、やはりファイル交換ソフトはけしからんという風になる事を懸念しています。まず非難されるのは、情報持ち出しを許す職場の環境にあり、全てを個人の問題とすべきではありません。

トラックバック一覧

コメント一覧