私個人的な事でいえば、学生時代にデモに行くような周辺の盛り上がりは皆無でした。セクト抗争などというのも表面的にはなくて、多くの学生は政治的な事を全く考えることなく学生生活を送っていた時代だったと思います。その後、反原発運動の盛り上がりが一時あったものの、今の10代、20代と同じように、国の政策に対して行動を示すデモというのは「非日常」の何か危ない行為のように感じるとともに、あんな事をやっても何も変わらないと思っていた人も多くいたでしょう。
この日記でもしばしば話題にしている電気安全法での、PSEマークのない一部の電化製品が中古で販売・買取りもできない問題について動きがありました。当然、まだ完全な決着はついていないと思いますが、ネットから発信された抗議行動に、経済産業省はたじたじで、後手に回った一応の対応策を出してきているという感じです。抗議の声がネットで挙がり、多くの人が電話などで問い合わせをした時には絶対変えないとかたくなな態度だった経済産業省がどうしてああも及び腰になったかというと、世界的にも知名度があるミュージシャンの坂本龍一氏などがテレビカメラの前に立って堂々と抗議行動をしたということもあるかも知れませんが、多くの人がデモをすることにより、それ自体は限られた場所での抗議行動に過ぎないにしても、テレビや新聞を通じて日本中に知らされた事もあるのではないかと思います。
また、今のフランスでの大規模な若者を中心としたデモにしても、ああした映像が世界に配信されることにより、ここ日本でもフランス政府が行なおうとしている法律の問題について考えることができます。元々フランスの人たちは自らの権利意識に敏感で、ごく普通に抗議の声を挙げているということは、もっと多くの人が関心を持ってもいいような気がします。
為政者の側は反対運動を起こすと、「地域エゴだ」というような公に配慮すべきような発言をしますが、政府が国民の生活権を犯すような事をするならば、私たちはもっと声を挙げてもいいのではないでしょうか。そして、あらゆる行為はやり方を工夫することで、世論を変える力にもなり得ます。