昨日の元プロ野球選手小林繁氏の訃報の後、本日になって歌手の浅川マキさんの訃報が入ってきました。小林さんは浅川さんよりさらに10才年下ということですが、ともに60前後での早すぎる訃報に、ただただ驚愕と悲しみを感じています。
浅川マキさんの名は山下洋輔さんのエッセイで初めてその存在を知り、最後のステージとなった名古屋のライブハウス・ラブリーで御一緒だった渋谷毅さんなどジャズマンの方々とのステージも多かったので気になる存在でした。特に山下トリオとして活躍された武田和命さんの追悼コンサートにおけるリーフレットに、雰囲気そのままのコメント文を寄せておられたのを覚えています。ただ、一度もそのライブを生で見ないままであったというのは痛恨の極みでありました。
こういったことがあるといつも思うのですが、
「とりあえず今はしなくてもいいや」
といって何事も後回しに済ましてしまうことが多くなってきたような気がしています。ジャズライブはさまざまなミュージシャンを目あてにかなりの数回ってきたはずなのですが、浅川さんのライブは人気が高く、以前からチケットは予約しないと手に入りませんでした。それほど予定を立ててライブに行く方ではなかったので、ついつい予約なしでも入ることのできるライブハウスにシフトするようになって、浅川さんよりも、バックをつとめるミュージシャンのライブにはよく行くようになっていました。
そんなわけでずるずると、いつかは見るチャンスが来るだろうと思いつつ今日という日を迎えてしまったというわけです。今さら何を言っても仕方がありませんし、以前も同じ事を書いたかも知れませんが、やはり会いたいと思っている人には自分から会いに行くべきだと思いますね。小林繁さんと2年前に清酒メーカーの企画するコマーシャルに出演することで会って話すことができた江川卓さんは悲痛の極みかも知れませんが、少しの時間ではあってもお互いに会って話をすることができたことで心の整理はつけているような気がしますし。
人が生きていく中でさまざまな出会いがあります。生活している中での出会いというのは意外と限られてしまいますが、自分から講演会やコンサートなど、たとえそれが全くの受身での出会いであっても、会場内という同じ空間を共有した思い出は残り、同時代人として自分は生きてきた証を他の人に伝えていくことができます。時間やお金の制約によって優先順位は当然ありますが、どうしても会いたいという気持ちが出てきたら、それを可能にするように私自身努力してみるつもりですし、ここを読んでいる皆さんにもおすすめします。それにしても、たまたまとは言えみんな急性心不全で逝かれてしまうというのは切ないです。これからまだまだ寒い日が続きますが、体を冷やさないようにくれぐれもお気を付け下さい。