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金曜ドラマ 行列48時間

 ここにはあえて書いていませんが、民放の2時間物のサスペンスはかなりの数を見ています。そうした中から「相棒」や「浅見光彦シリーズ」が連続ドラマへと昇格していった今年の後半ですが、そういった謎解きドラマの陳腐さを圧倒的に再確認させてくれたのが今NHKBS2とハイビジョンで再放送されている「刑事コロンボシリーズ」だったりします。コマーシャルタイムはカットされても賞味2時間弱の謎解きと、その半分の時間にすべて詰め込まなければならない作り手の大変さは理解できますが、一話完結ではコロンボにはとうていかなわないという印象です。だからといって、スペシャルドラマとして脚本も演出も十分に練られたはずの、古畑任三郎シリーズも、オリジナルを決して凌駕することはできないわけで。

 そんな中、これをサスペンスドラマというには多少躊躇するものがあるものの、6回シリーズの「金曜ドラマ 行列48時間」はコロンボのような謎解きではありませんが、藤田宜永さんの原作をテレビ向きに演出し、最後まで飽きることなく面白く見ることができました。今のところ、私の見た中では今年ベスト1のドラマです。続き

 お正月の福袋を買うために48時間前から大勢の人たちがデパートに行列を作るのですが、主人公の男があらぬ誤解からさまざまなトラブルに巻き込まれていき、さらに周辺の緊迫した誘拐事件と重なり、多くの登場人物とシンクロしていきます。テレビドラマとしての面白さは、やはりそのキャスティングにあるでしょう。主役の國村隼さんは冴えない定年前の男を好演していますし、民放のサスペンスドラマに出ている役そのものの設定で出てくる渡辺いっけいさんのキャスティングは絶妙です。このドラマは途中、フィギュアスケートで一回休み、その次の週は何と森繁久弥氏の追悼番組で連続して休みになりました。その影響で最終回は二話連続で見ることができたので、それまでの4回を見逃した方が本日の放送分だけを見てもそれなりに楽しめたでしょう。

 今回は共同テレビとの合同で作られたようで、どうりでNHKにしては遊びすぎているような作りでした。それはそれで、民放のように突き抜けた遊びでなく、適度にNHKの真面目さの中で遊んでいる印象を受け、絶妙な味を生みだしていたように思います。視聴率云々という話ではなく、面白い原作を演じてもらいたいキャストで作ったらこれだけ面白いドラマになった例として、今後こういった試みが続いてくれればいいと思います。設定が年末年始なので、もしかしたらその辺でまた再放送があるかも知れませんね。見逃した方はぜひ通して見てみてください。

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