今に始まったことではありませんが、私たちが何も意見を挟めないままどんどん変わっていってしまうこの国の仕組みに疑問を感じる人は少なくないでしょう。以前、中古家電のうち、政府の認定するPSEマークが付いていないものの販売はまかりならんという制度ができ、主に中古のオーディオや楽器を扱っていたお店(そのほとんどが零細)が大打撃を受けました。現在ではその仕組みは変わっているものの、いったんダメになったものを元通りにするには並大抵の事ではなく、店を閉めたままになったところも多くあったように思います。これは、現状の社会情勢を全く考慮しないまま原理原則のみで制度改定をごり押しした官僚やそれに無関心だった政治家のために起こった事だと私は思っています。残念なことに、また同じような事が起こりつつあることをご存知でしょうか。
一部マスコミ報道がありますが、9月17日に厚生労働省より発表された、『薬事法施行の一部を改正する省令案』において、郵便その他の方法による医薬品の販売等が規制強化される見込みになり、ほとんどの医薬品について、インターネットだけでなく郵便や電話などでの通信販売ができなくなる事になっています。外国から日本で認証を得ていない薬を直接購入することによるさまざまなトラブル、国内製品についても副作用の危険などもあり、医師の処方箋を得てからでないと薬を出せないという理屈なのでしょうが、全てのものを一律にダメと言ってしまうのは、やはりお役人は現状をご存じないのではと思うほかなく、私はむしろ天下りの問題以上に何とかしてくれと思う所以です。全体の奉仕者として国家公務員は働いているにも関わらず、いわゆる老舗として細々と営業している日本古来の薬を滅ぼしてしまう可能性が今語られています。一子相伝で作っているところが廃業となったら同じ物をまた作る事というのは難しく、再生するには相当のエネルギーが必要になるでしょう。政府はそうした損害について補償することは決してないので、割を食うのは結局長年その薬を使ってきた普通の人たちになってしまいます。
上記の問題については、さすがにテレビや新聞で報道されていて、厚生労働大臣も言及されていますので可能性として最悪の状況にはならないかも知れません。別件になりますが表面上そうした批判が全くない中、多くの人たちに大迷惑をもたらす政策が今実行されようとされています。それが2011年に迫ったテレビの地上波デジタル化です。
もしこのまま政府が現状のアナログテレビに繋いでデジタル放送が見られるようなコンバーターを無料配布しないで、今赤字だと言って派遣社員を切りまくっている家電メーカーを儲けさす様な新品の購入を全世帯に奨励するような事になるなら、ひとつ提案したいことがあります。
現在、テレビ番組の再放送について、インターネットで再配信を行なえるような仕組みが整いつつあります。ニュースについては現状でもヘッドラインは動画で見ることができます。だとしたら私たちは本格的にテレビ離れを進めるべきではないかと思うのです。あくまで現状のままテレビの買い替えを要求されたら、私は買い替えないですぐその足でNHKに出向き、受信契約の解約をしてこようかと目論んでいます。同様な事をする人が増えて受信契約が著しく落ち込めば、何らかの対策を取るようになるでしょう。デジタルテレビのB-CASカードの問題についても、なぜわざわざ無料放送なのに機種を特定するカードを差さないとテレビを見ることができないのかという疑問があり、すんなりと移行する気にはなれません。ともあれ私は期限ギリギリまで今のアナログテレビを利用しようと思っています。