日本の企業が作り出してきた「モノ」というのは、それぞれに味わいが深いものです。昨今の急激な不況により、小さなメーカーの経営が圧迫され、その味わい深い商品が徐々に消えかかっているような気がします。今回は「電気カミソリ」について掘り下げてみることにします。
私が最初に購入した電気カミソリは国外メーカーであるブラウンのものでした。ずいぶん長く使い込みましたが、内蔵の充電池の寿命が来てしまい、買い替えを余儀なくされました。テレビコマーシャルで宣伝されているシェーバーは、全てが充電池内蔵のものだと思います。性能などはどんどん高くなっていますが、内蔵電池の寿命が来てしまえば買い替えを余儀なくされてしまうところは変わっていません。声高にエコを叫び、使いすてない生活が奨励されているのに、シェーバー界は時代に逆行しているかのようです。私がシェーバーを買い換えたのはまだ全くエコなんて言葉もないくらいの前でしたが、デジカメを動かすために持っていた単3型の乾電池で動くものに買い換えようと家電量販店を訪れました。
乾電池を動力としたシェーバーというのは、実のところ機能的な進歩は全くしていないと思います。国内大手メーカーでは、かろうじて2枚刃の機種があったくらいで、それ以上の性能のものでかろうじて購入しようと思ったのが、今はもう市場から撤退したSEIKOのシェーバーでした。水洗い可能で3枚刃というNX505という型番ですが、もう10年以上故障もせず使い続けています。ただ、これからの事を考えると使い続けられるのか不安を感じてもいます。
SEIKOシェーバーは市場から撤退したと書きましたが、シェーバーそのものについては同じ長野県の企業である泉精器製作所が出してくれています。昨年民事再生法の適用を受けているということで、今後こうした事業がどうなってしまうのかが個人的な心配事だったりします。ちなみに、泉精器で出ている同モデルの型番はIZF-301です。
企業には自由な競争が必要であるということはしごくもっともなことです。しかし、これだけエコだと言いながら、今だに内蔵電池が駄目になれば買い替えを促すようなビジネスモデルを良しとしているのはなぜでしょう。私はパナソニックや日立、三洋や東芝といった大メーカーが高性能な単3仕様のシェーバーを出さないということについて、一つの疑念を持っています。つまりはエコなど関係なく、自社が儲かればいいし、イメージ戦略としてエコという言葉を利用して儲けようと思っているのではないかと思ってしまうのです。
とりあえずの自衛策としては、なくなってしまう前に自分の使う分くらいの消耗品や代替品を確保しておくことくらいしかありませんが、生産終了したとして、後から単3電池で動く3枚刃のシェーバーを欲しいと思った方がいたとしても、その想いが叶うことはありません。新しいものが全ていいものであるということはないですし、今あるものの中で消滅の危機にあるものは意外と多いものです。文化財や伝統芸能だけでなく、私たちが当たり前だと思っているものの中にも、実は以外に貴重なものが眠っているものです。そういったものを何とか残していけるように努力していきたいものですね。
耳成芳一 2010年07月21日(水)22時57分 編集・削除
私はアレルギー肌なので、往復刃では肌が荒れてしまうので、日立のロータリー・シェーバーを長年愛用しています。製造はmade in chinaと刻されてるので、台湾製と思います。
鬚剃り器の基本的な駆動部分は、国産の必要も無いかと思います。最近は比較的に低価格の充電式乾電池も出回っていることですから、電池だけ国産で、使い廻せば好いのでは無いでしょうか。