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マスクの恨みは恐ろしい

 漫画家の水木しげるさんの手による、太平洋戦争を描いた一連のシリーズ物があります。たまたまそれらの作品がまとまった本を手に入れ読んでいたのですが、戦争という極限状態の中、一兵卒はどんな扱いを受けたのかを知り、戦後60年経った今においてもその構造はほとんど変わっていない事を思い知らされたのでありました。

 「硫黄島の白い旗」という作品の中で、分隊長の軍曹が3日間飲まず食わずで戦って限界を悟り、連隊本部に食糧を回してほしいと頼みに行くシーンがあります。本部周辺には食糧が積まれているにも関わらず、その食糧は幹部のものだとして上官は決して部隊長に食糧を分けてやらないのですね。果たしてこうした事が戦場であったのかどうかという問題はありますが、水木さん本人が戦地を転々としてきていて、その体験を踏まえて描かれている事から、少なからずそうした事があったのではないかと想像します。そうした事と、今インフルエンザ対策の必需品であるマスクの供給について、どうにもこうにも同じようないやな感じを感じてならないのです。続き

 日本経済新聞5月18日の記事にこのようなものがあります。(以下サイトから転載)

国会も新型インフル対応、マスク配布など

 新型インフルエンザの感染拡大で、国会も対応に追われている。衆院は18日の対策会議で全議員の事務所にマスクを30枚ずつ配ることを決めた。感染者が確認されている大阪府や兵庫県からの来訪者にはマスクの着用や消毒液の使用を求めた。

 参院は16日からすべての来訪者にマスクを配布。必要量を1日3000枚と想定し、2週間分の4万2000枚を用意して感染拡大に備えている。(18日 23:20)

(転載ここまで)

 皮肉を込めて言うのではありませんが、国会議員さんは簡単にマスクが手に入って実にうらやましい事です。ちなみに、ここ静岡周辺でマスクを手に入れようと思い薬局やコンビニを回ってもどこも売り切れで全く手に入りません。マスク自体どの程度新型インフルエンザを防御する性能があるのかわかりませんが、少なくともパニックになる前に人々の精神を安定させる効果はあります。

 国が対応するとしたら、まずはマスクを市場に供給させ、企業や一部の人たちだけに独占させない何らかの対策を取るべきでしょう。マスコミも店頭からマスクが消えたという現象をセンセーショナルに報道するのではなく、連日生産されたマスクがどのような経路でどこに行っているのか、その行方をしっかりと報道すべきでしょう。結局のところ暇もなく、お金もなく(お金があれば定価の何倍も出して買う方法もあり)、コネもなく、力もなければマスクを手に入れることができず、無防備な中人ごみの中に入っていかざるを得なくなります。もし新型インフルエンザの感染力が強力ならば、そのために防げるはずの被害も増えていってしまうことが予想されます。

 些細な事でも自分が守ってもらいたい時に守ってくれないという事がマスクの事に限らず医薬品においても出てくるようになれば、一般庶民の社会に対する不信はますます増大していくことになります。自民党・公明党はたとえ選挙のためと言われても国民の危機に対する対策は必要ではないのかと思うのですが、今のところそうした動きはほとんど見えません。

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