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今年はなにが来る?

 今日いっぱいでとりあえず今年の正月休みも終わり、通常の生活へと動いていくわけですが、改めてこの正月の印象から展望まで感じたことを書いていこうと思っています。

 昨年は搾取される労働者という観点から小林多喜二の「蟹工船」が話題になりましたが、実のところ、当時とは労働者が相対するところの敵がはっきりせず、やはりこれは古典としか読まれないだろうという違和感がありました。私はむしろ、こんな時代だからこそかつて日本が全てを失った第二次世界大戦後の社会に学ぶところがあるのではないかと思っています。戦後文学の象徴として今でも読むことのできる評論に坂口安吾「堕落論」があります。「続堕落論」と合わせてネット上で無料で簡単に読むことができるので、興味のある方はぜひご一読を。今年に入ってここ数日だけでも、今年はまた坂口安吾にスポットライトが当たる年ではないかと予感させるものがあります。続き

 正月休みはほとんど外出せず、テレビの前でのんびりしていたのですが、箱根駅伝で坂口安吾の母校である東洋大学が往路復路を制覇した完全優勝を遂げるとは全く想像していませんでした。事前の不祥事発覚にも関わらず精神的に立て直してきたのもすごかったですが、山登りで5分の差をひっくり返した事で、復路のメンバーも実力以上の力が出たように思います。往路でブレーキを起こし、その流れを引きずってシード権を失った駒沢大学との力の差ということでは、むしろ駒沢の方が走力があったように思います。そして競り負けた早稲田大学についてもしかりです。しかし、テレビ中継で中継車に乗っていた早稲田大学OBの瀬古利彦氏の早稲田贔屓のコメントには怒りを通り越して呆れましたね。ただ、そうしたコメントを連発していたのでついテレビの前では東洋大学を応援していたのですが。

 そして本日から始まるNHKの大河ドラマ「天地人」です。このドラマは戦国時代の上杉家家老・直江山城守の事を描いたものですが、実は私がこの人物の事を始めて知ったのも坂口安吾の書いたものを読んだのがきっかけだったのです。この作品は現在青空文庫では読めませんが、「安吾史譚」という歴史評伝の中に「直江山城守」という小品があります。その中でこの人物の魅力が存分に紹介されていますので、これから大河ドラマをご覧になる方は読まれれば理解が深まると思います。個人的にはその後発表された漫画「花の慶次」に出てきた直江山城守像も、この安吾の描いた人物像を参考にしているのではないかと思っています。というわけで、どんな風にこれからドラマで描かれていくのか楽しみに今年は見ていこうかと思っています。

 少々強引にこじつけたところもありましたが、自分の中では改めて坂口安吾という作家を見直していきたいと思った今年のお正月でありました。それでは、今年もどうぞよろしくお願いします。

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