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中村とうようさんの訃報に触れて

 テレビのワイドショーでは原田芳雄さんの葬儀の様子が延々と流れ、竹中労さんの事を扱ったムック本がようやく発売されるような状況の中、中村とうようさん自殺というニュースをどう消化すればいいのか。今の私の偽らざる気持ちです。

 直接お会いすることはなかったとは言え、ミュージックマガジンは買って読んでいましたし、その喧嘩早い評論のスタイルは良くも悪くも気になる存在でした。竹中労さんが亡くなってすぐの「とうようズ・トーク」ではとても追悼とは呼べない、とうようさんが竹中さんへの積年の恨みを晴らすような形での(ご本人がこのように文中に書かれています)竹中さんに対する弁明に終始していました。

 読んだ当初は何と大人げないと思いましたが、今実際に一人で住んでいて、その自宅から飛び降り自殺をしたという報道が真実ならば、こうした原稿を書いた後、ダメージを受けたのは常にとうようさん自身だったのではないかという感じがし、ふと坂口安吾が太宰治追悼のために書いた「不良少年とキリスト」というエッセイを思い出しました。安吾は太宰の事を不良少年だとしつつ、このように書いています。

『不良少年は負けたくないのである。なんとかして、偉く見せたい。クビをくゝって、死んでも、偉く見せたい。』

 とうようさんも何にかはわかりませんが、とにかく負けたくなかったのかなと思ってしまうのですが、安吾が書いているように「死の勝利」なるものは決してありません。私のようなとうようさんから見ればとるに足らない人間にも簡単に総括されてしまうだけでなく、とうようさんの事を全く知らないネットでの匿名人から的外れな批判を受けまくってしまうこともこれから起きてしまうのではないでしょうか。自殺という人生の終わり方を選んだために。

 こうして、さまざまなニュースに埋もれたままその人生を終わらせてしまうには本当に惜しい方だと思いますし、今の日本の音楽シーンを死ぬ気で切ってほしかったと思っています。ただ、やはり自殺という形で終わらせて欲しくはなかったですね。御冥福をお祈りします。

忌野清志郎さんのこと

 昨日まで四国へ出掛けていたせいもあり、新聞テレビのない生活を送っていたのですが、世間で騒がしいニュースも全く知らないでいました。忌野清志郎さんの訃報はこちらに帰ってから知り、愕然としています。私自身RCサクセションのファンということはないのですが、忌野さんの本物を見抜く目というのか、音楽に対する真摯なまでの姿勢というのは常に注目してきた事は確かです。続きを読む

日本ジャズの行方に危機感を覚えた

 私の地元、静岡県で聴くことのできるAMラジオのジャズ番組、「インビテーション・トゥ・ジャズ」は、長らくスポンサーが付かない状態で、放送時間も日曜の深夜1時からという不遇な時期が続いていたのですが、最近では何とかスポンサーが付いたようで、放送も日曜の22時からと随分聴きやすくなりました。パーソナリティを務める今村政司アナウンサーは静岡放送を定年退職されましたが、本日の放送内で今村アナウンサーは「死ぬまで続ける」とおっしゃっており、リスナーとしては嬉しい限りです。本日の放送では静岡市出身のジャズ・トロンボーン奏者、村田陽一さんとの対談は大変興味深かったので、ここでその内容を紹介させていただきたいと思います。続きを読む

サザンの今後は?

 昨日はしみじみと「たまの本」を読んでいたのですが、TBSの深夜バラエティー「イカ天」後の話は読んでいてちょっとひっかかったので、今回は竹中さんの事ではなくその辺のことについてちょっと書いてみます。たまがグランドイカ天キングになり、日本武道館でのイベントに参加を強要されたり(今後TBS出入り禁止にすると言われ結局出演)、ナゴムレコードから出していたアルバム「しおしお」、「でんご」をそのままの形でCD化して出すように(こちらは結局、イカ天レーベルからは出ず、そのおかげでナゴムレコードを主宰したケラリーノ・サンドロビッチ氏は相当儲かったそうですが)と、まるで金の成る木に群がるように当時の「イカ天」制作サイドから圧力らしきものがかかった事が「たまの本」には書かれています。ところで、その制作サイドとはどこなのかといいますと、これも昨日大きなニュースになったサザンオールスターズの事務所だったのですね。続きを読む

変更ライブの「妙」

 今日は事前にここでも予告していた日野皓正・菊地雅章デュオコンサートの日だったのですが、ちょっとしたアクシデントがありました。ニューヨーク在住の菊地雅章さんが病気のため来日できなくなってしまったということなのです。日野さんのお話によると息ができなくなったので菊地さんご自身で救急病院に駆け込み、肺に穴が開いているということで応急処置の後、この金曜日に手術をされるとのことでした。菊地さんの演奏が聴けないというのはとても残念なのですが、手術が成功しぜひリベンジで静岡にやってきてくれるまで回復されることを願っています。続きを読む

高瀬アキ(P) 井野信義(b)DUO

 今日はピアニストの高瀬アキさんの日本ツアーの一環として行なわれた、ベースの井野信義さんとのデュオを聴きにいってきました。10月の終わりに北海道からスタートしたツアーも関東までやってきて、昨日は新宿ピットイン、その前は横浜のエアジンだったとか。こちら静岡・青嶋ホールはそうした老舗のジャズスポットとは客層も違うでしょうが、何といっても会場がクラシック用の小ホールで全くの生音のみで聴くことができるというのは実に嬉しいことでした。用事などが入らない限りできるだけここでのライブには行くようにしています。続きを読む

AMラジオのジャズ番組

 インターネットのおかげで、さまざまなマイナーなものについてもある程度の情報が得られるようになったのは嬉しいことです。個人のちっぽけな情報でも、その情報によって得るものがある人もいるでしょうし、そこら辺は相互扶助の精神でやっていきたいといつも思っています。続きを読む

里国隆さんの旧譜復刻

 ちょっとタイミングを逃しましたが、竹中労さん関連の情報を紹介します。奄美の歌い手としてその存在は今も消えることのない里国隆さんのLPが30年ぶりに復刻されました。

http://www.teichiku.co.jp/teichiku/series/0612/disco/ch20157.html

 もちろん、竹中労さんの解説もそのまま付いているそうです。今日地元のCDショップをあらかたあたってみたところ、全くどこにも置いていなかったので仕方なくネットで注文しました。今年中に何とか手に入れたいところですが、興味のある方はぜひ手に入れてみてくださいね。

お金を掛けるか手間を掛けるか

 昨日たまたま深夜ラジオの事について書きましたが、実は4時からの放送はリアルタイムで聞いたのではなく、MDに録音したものを聞いたものです。ただ、こうしたやり方というのは実に効率が悪いのですね。タイマーもないので、とりあえず長時間録音の設定にして朝まで録音して、後でそれをパソコンに取り込んで編集するといったことになります。とりあえず今使っているMDはパソコンに直接つなげ、ファイル変換の手間はかかるもののMP3ファイルにすることは可能なので、コンパクトにまとめることはできます。何とかして簡単に留守録ができ、それをパソコンで管理できるようなシステムが導入できないものかと常々思っていたのですが、最近はSDカードやフラッシュメモリに直接ラジオ放送をMP3形式で留守録できるタイマー付きオーディオシステムが数々出てきています。たまたま今日、フラッシュメモリー1GB付きというタイプのラジカセ風システムがかなりお安い値段で出てきたので、ついついまた注文してしまいました(^^;)。私のページ本体で紹介していますが、今までもかなりの数のラジオが家にはゴロゴロしているのですが、またそうした類のものが増えてしまいます。続きを読む

歌い手の「プロ意識」とは

 ここを読んでいる方にはほとんど縁がないかも知れませんが、昨日と一昨日、NHKラジオ第一放送の深夜4時からのプログラム「心の時代」に奈良県の社会福祉法人「たんぽぽの家」の事務局をされている酒井靖さんのインタビューが全国放送されました。元々は障害児を持つ親が集まって、学校を卒業した後、社会の中に入って暮らせるようにと始めた集まりだったそうですが、多くの人になかなか届くことのない、体に障害を持った人たちのメッセージを歌にのせて発表するコンサートを全国規模で開くなど、その活動は全国的に支持されています。今回出演なさった酒井氏は、もともとそうしたメッセージに曲を付けて歌っていた、当時プロを目指していた歌い手さんだったということで、放送の中でもギターを持って多くの曲を歌っていました。続きを読む

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