「ニアネス・オブ・ユー」
明田川荘之ソロ(AD-34)

「ニアネス・オブ・ユー」

 ここのページでは、思いっきりメジャーな明田川氏でありますが、世間での認知度というのは一体どれくらいあるのでしょうか。まあ、ジャズに興味がない人はまず知らないとして、問題はジャズ好きな人にどれくらい知られているかというのは、こんなページを作ってしまった私としては結構気になるところです。そんな認知度の目安として、先日私の住んでいる静岡市の図書館に行って来ました。今の図書館は便利になったものです。本だけでなく、CDまで借りることができるのですよ。さすがにポップスの棚には女子高校生が群れておりましたが、ジャズの棚は誰も見ている人がいなかったのでした。ジャズといっても中心は本場アメリカのミュージシャンです。しかし、ところどころに日本人の作品もあったりします。びっくりしたのは、このアケタズ・ディスクの作品ではなかったものの、レコード屋さんの新星堂が作ったレーベル「オーマガトキ」から出た明田川さんのオーケストラのCD『わっぺ』を発見したことです。そうか、地方の図書館にまで導入されるような偉い(笑)演奏家なんだ、と思ったのは嘘ですが、導入されたというのは知っている人がいるということで、それは大々的な宣伝ではなく、地道な全国ツアーでの演奏が大変興味深かった事の証明であるのではないでしょうか。
 このCDはソロでの演奏ですが、次項にあるとおり、ピアノを弾きながらうなり声を上げるのが明田川さんの特徴です。ファンとしましては、このうなりが入らないと、全然聴いた気がしないということになってしまいます。このうなりにのって、日米の有名なスタンダードをやっているのですが、これがいいのですよ。以前はピアノを足で弾いたり、タオルを持ってかんな引きのように弾いたりと、ものすごい動きを伴っていました。でも、そうした動きに疲れたから楽をしているのではありませんよ(笑)。表題曲の「ニアネス・オブ・ユー」をよく聴いてみてください。静かな中にも、激しい感情の入った演奏ではありませんか。ライブで動きの面白さを追っていくのも否定しませんが、入ってくる画像をシャットアウトしてじっくり聴くと、このCDは味が出てきます。

曲目

1.オーバー・ザ・レインボー(Harburg-Arlen)
2.マイ・フェバリット・シングス(Rodgers-Hammerstein2)
3.オール・オブ・ミー(Simon-Marks)
4.ニアネス・オブ・ユー(Hoagy Carmichael)
5.砂山(中山晋平)

参加メンバー

明田川荘之(ピアノ、オカリーナ、うなり)ソロ

録音日時・場所

1993年2月13日
東京西荻窪・アケタの店 深夜ライブ


 

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