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改めて高校野球の歴史について考える

 今年の高校野球の全国大会は近年まれにみるほどの盛況だったと言われています。私が行った証拠として写真を付けますが、お盆休みとはいえ月曜の3回戦でさえほぼ満員の4万9千人という状況で、とても内野席では見られず、外野に回らざるを得ない状況でした。ここのところ、真剣勝負といいながら数々の納得できないスポーツの試合が繰り返されていたことも甲子園球場に多くの人たちの目が注がれた理由なのでしょうか。少なくともいくらお金を積んで選手を集めたところで簡単に優勝できないのがこの大会の面白いところではあります。更にここのところ、野球留学といわれる県外部隊で固めたところよりも、県内出身者でかためた長崎の青峰や、初出場でベスト4まで進出した鹿児島工業、山形県勢では史上初となるベスト8まで躍進した日大山形というチームの方が注目度は高くなりました。今後、庶民の経済事情が逼迫することになると、いくら特体生といえども野球ができなくなった後の事を考えると、地元の公立校に優秀な選手が集まるのかも知れません。そうなれば地域別対抗戦としての高校野球はますます盛り上がっていくことになるでしょう。それは、プロ野球の視聴率とは全く関係ないこともここで書いておかなければなりません。負けたら終わりのトーナメントといくら負けても明日があるプロ野球のリーグ戦と比べること自体無理がありますし、プロ野球と高校野球の歴史は高校野球の方が古く、職業野球と呼ばれ、甲子園のヒーローが数多く入団していた黎明期のプロ野球リーグの人気は、甲子園大会の足元にも及ばなかったという事実を考えても、プロ野球は独自にお客さんを呼ぶ工夫が必要であると思います。続き

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 今回88回ということですが、実は今回やっと優勝した早稲田実業は第一回大会のダントツの優勝候補でした。大会では準優勝した東北代表の秋田中学(現在の秋田高校)に敗れたのですが、実はこの試合、早稲田の関係者からすると悔やんでも悔やみきれない試合でありました。今も昔も東北の学校は全国のレベルからすると下の方ではないかという風潮があります。秋田中学との試合の前日、早稲田実業のコーチは選手たちに「秋田中学と自分たちとは 実力に差があるから勝てる」と選手たちに言き聞かせたんだとか。それで試合当日、選手たちはのんびり気分で試合をしたため、秋田中学の豪腕投手、長崎に抑えられて敗れたのだとか。今回、北の代表駒大苫小牧を迎え、決して慢心することなく粘り強く戦ったのは、私は試合終了後の監督インタビューを聞いて、こうした屈辱の歴史なくてはなかったと思いました。それにしても80年以上前の屈辱をようやく晴らすことができたというのも、気の長い話ではありますが。

 駒大苫小牧も、夏の甲子園の最長記録である延長25回を明石中と戦い、何とその翌日に行なわれた決勝戦を勝って三連覇した中京商業(現・中京大中京)以来の三連覇を目指しましたがかないませんでした。ただ、長いこと越えられなかった白河の関を飛び越えて北海道に優勝旗を持ち帰り、3年連続決勝へ進出したチームの栄光にキズが付くことはないでしょう。恐らく今日の試合で2年生投手を先発させたことに対する批判はあるでしょうが、しびれるような場面であえて主戦でない若い投手を起用するからこそ、優勝の翌年も勝てるチームを作れるとも言えるのです。それは、斎藤投手の抜けた早稲田実業の新チームがすぐに全国優勝を狙えるチームになるかということを考えればわかることです。ともあれ、夏祭りは終わりました。これからマスコミの取材攻勢が優勝チームを中心に入るでしょうが、必要以上に持ち上げることのないようにしてほしいものです。何やかんやいっても、彼らの技術はまだまだなのですから。

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