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SONGS 美輪明宏1

 最近の美輪明宏さんといえば、テレビでの露出も多く、詳しく知らない人でも名前とその姿くらいは知っているという状況ではないかと思うのですが、今回の歌番組出演のインパクトはかなり大きかったのではないかと思います。知らずに見てしまった人は「この人は歌手だったの?」と、ご本人が語っていたように思っていたのではないでしょうか。続き

 今回は、「砂漠の青春」「ヨイトマケの唄」「花」の3曲を歌われたわけですが、ご自身の解釈でかなり自由な形で歌われていると感じた方が多かったのではないかと思います。「ヨイトマケの歌」については、ちょっとでしたがサザンオールスターズの桑田佳祐さんや槇原敬之さんがカバーした映像が流れていたものの、番組で歌われた原曲の迫力と較べるとどうしても力不足の感が私にはしてしまいました。これはもちろん、今挙げた方々の歌が悪いという事ではありません。普通に音楽をやっている方としては、あくまで楽曲としてはみ出さない範囲で歌われているのに対し、ヨイトマケの唄は美輪さんの作詞作曲ということを差し引いても、発売当初のレコードからはかなりはみ出していて、楽曲としての完成度よりも、いかに当時の時代の雰囲気を伝えることに主眼を置いて歌われているように思いました。

 これは、本日最後に歌われた「花」についても同じでありました。作詞作曲の喜納昌吉さんも世間でいろいろな事を言われている方ですね。「すべての人の心に花を、すべての武器を楽器に、すべての基地を花園に、戦争より祭りを」というスローガンを喜納さんが繰り返すことによって、彼自身の歌う「花」にはどうしても反戦・平和運動のイメージが付いてしまうのに対し、本日の美輪さんの「花」には俗世間を超越するようなところまでイメージが昇華していっているのではないかと思いながら拝聴していました。

 自分が歌に対して持っているイメージをいかにして多くの聴衆に伝えていくか。ただその時に、ひとりよがりだと聴衆に思われてしまったら、人に向かって歌う意味はないでしょう。エンターティナーとしてはかなり高いハードルだと思いますが、声の張りも素晴らしく、今回はじっくり堪能させていただきました。

 次週はシャンソンから三曲「ミロール」「ボン・ヴォワヤージュ」「愛の賛歌」を歌われるとのこと。見そびれるのが恐いですが、次回も楽しみに見させていただきたいと思います。

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