ロンドンを舞台にした航空機を使ったテロ計画は、とりあえず実行されることはなく、英国・米国への入国に関してはかなり厳しくなったことですぐに大きなテロによる被害というのは出ない方向に推移しています。お盆を利用して海外旅行を計画していた人たちはこれからどうなるのか不安なのかも知れませんが、問題はそれだけに留まらないのは誰の目を見ても明らかでしょう。
キリスト教徒とイスラム教徒の不仲は今に始まったことではありませんが、なぜロンドンでありニューヨークなのかということを考えた時に、イスラエルのレバノン侵攻を抑えることのできない国際情勢と無縁ではないと考えます。今日もレバノンではイスラエルによる大規模な空爆があったといいます。国連でイスラエルを非難しようとしても拒否権によって潰され、あくまで「テロリストの撲滅」というお題目ばかりを唱え続けていると、これからはごく普通のイスラム教徒も「テロリスト」へと変わってしまうだろうと私には思えてなりません。テロを志向する人たちが増えれば増えるほど、地図上の「点」における局地的なテロが増えていきます。象徴的な場所で大きな事件というのはこれだけ厳戒体制がひかれれば難しくなるでしょうが、テロに無防備な地方都市が狙われる可能性もあります。強硬的にテロ撲滅を言えば言うほど、防ぐことのできないテロが起こる可能性が上がっていくことになるということが今回の未遂事件によって図らずも証明されてしまったのではないかと思うのです。
レバノン・イスラエルにおける局地戦について、まずはできるだけ早く解決を呼び掛け、テロ予備軍の若者たちには、むしろイスラム指導者の側から声明を出すべきだと思うのですが。とにかく、強硬一辺倒では何も解決しませんし、事態をむしろ悪くするでしょう。そういう意味において、今の日本の強硬的な外交路線も気になります。少なくとも私は、小泉首相や次期首相候補の一番手と言われる安倍氏のために市民生活を脅かされたくありません。そんなことも考えながら、これからの日本の政治情勢についてもじっくりと見ていきたいと思っています。