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R30 宮崎学アウトロー新列伝~竹中労の巻

 番組自体、実は先週関東ローカルで放送済みのものですが、私の住んでいるところでは一週遅れでの放送になるので、もう見てしまった方はご容赦願います。妙な偶然というべきか、番組でも自説を述べていた浅草キッドの水道橋博士さんが本日(7月14日付)朝日新聞の「相談室」という人生相談コラムで、自身が最も影響を受けた言葉ということで「ルポ・ライター事始」の中の「人は無力だから群れるのではなく、群れるから無力なのだ」という言葉を引き合いに出していました。続き

 内容的には作家の宮崎学氏が主で、上記の水道橋博士さんや矢崎泰久氏とからみつつ竹中労というのは何者なのかということを再現ドラマを混ぜながら浮かび上がらせていました。その中でも言われていた事ですが、「もし竹中労が今生きていたら……」ということを考える人はまだまだ多いし、今の状況の中でさまざまな問題を考えるヒントを与えてくれているのも確かです。番組の中でもさまざまな著作が出てきましたが、「ヱライ人を斬る」などは今読もうとしても古本屋さんを丹念にのぞかないと手に入りませんし、手に入れようとしてもどうしても古書価格が上がってしまって、手軽に読んでもらえないというのが正直なところです。できるならばこうしたテレビでの放送がきっかけとなって、埋もれていた著作の復刻が更に進んでいってほしいと切に願います。

 ところで、今の世の中は単なる北朝鮮のミサイル実験の方が、もはや戦争状態に突入しているレバノンよりも大きく報道されるような事になっています。日本ではそれ以上に、極楽とんぼの山本圭一氏の「事件」の方が多くの人の興味を引くようです。話はなぜか萩本欽一氏のアマチュア野球球団解散の方に興味が行ってしまったようですが、そんな報道の陰で吉本興業の臭いものには蓋的なタレント処分の仕方についての批判はかき消されてしまいました。これら一連の事件は単に芸人が犯罪を犯したので解雇されたということで、最終的にあんなことをやった奴はひどいという見解が多数を占めています。吉本興業とタレントとの関係ということで考えてみると、横山やすし氏を吉本が解雇したことを今回の事件で思い出しました。恐らく吉本興業から見ると山本氏は、大学出のマネージャーごときではとても管理することができない人物だったのではないでしょうか。今回の迅速なる解雇という発表は、管理能力のない人たちが一刻も早く山本氏と関係を切りたくて、まさに渡りに船という形で起こった事件に便乗して厄介払いをしたと見ることもできます。これは何も吉本興業だけの問題ではありません。いわゆる大企業というところは、規格外の人間が組織の中ではみ出すことを嫌う傾向にあります。映画「釣りバカ日誌」の浜ちゃんのような社員が実際にいたとしたら、何かささいな不祥事をでっちあげられて、懲戒解雇でとっとと首を切られる可能性が大です。ただ、そんな組織が存続したとしても、それは竹中さんの言う無力な者の集団となる他はなく、長い目で見れば徐々に衰退していってしまうことは明らかでしょう。今は飛ぶ鳥を落とす勢いの吉本興業ですが、規格外のタレントの切捨てが今後も続くようなら、別の勢力に取って代わられてしまう事だって考えられます。

 もっとも、そんな会社や社会全体に嫌気が差したら、無頼として生きていく選択をするしかないのですね。組織の中に入っていれば、そこにいるうちは心地よい生活ができますが、上で述べたように、いつそこから放り出されるかびくびくしながら生きなければなりません。どちらの人生を選択するのか、それは一人一人の考え次第なのですが、竹中さんの言葉に押されてひと時の勢いで舞い上がってしまうのも実のところ危険な要素を孕んでいます(^^;)。結局は自分をよく知った上で、自分で判断することが大切であると言っておきます。

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