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地場産品としての誇りを問う

 昨日から静岡を出て、今日は朝から新潟の燕で行なわれる年一回の燕青空即売会に行ってきました。オープンと同時に飛び込んだので、10時前にはもう出てきてしまいましたが、会場内にいた時に大きな地震にあったことにも気付かず、お目当ての品を探しまくっていました。こうした即売会は、今年行った有田焼のイベントに次いでのものですが、規模の大きさの違いは致し方ないにしろ、燕の方にはとても残念なところがありました。というのも、私が過大な期待をして出掛けた事にもその原因はあるのだろうと思いますが、いわゆる「燕」で作られた地場産品をアピールするところがほとんど見受けられなかったのでした。続き

 お店の中には、当然のごとくさまざまな品物が入り乱れていて、100円均一のものの中にはお店の流通在庫として残ってしまったような定価からするととても100円では買えないようなものも混じっていました。でも基本は普通の金属製品が中心で、安い品物があってよくよく箱を見ると、燕で作っていない外国産のものだったりするのがかなり多かったように思います。お店を物色していたら、よくあるステンレスの真空断熱水筒を200円で売るから買ってと声を掛けられました。品物を手に取って見たら案の定燕で作られたものではない外国産のものでした。こうなってくると、まず手にとって見るのが品物を作っている会社の所在地とどこで作られているかというところになってきてしまいます。そうした多くの品物に埋もれるようにして隠れていた国産の製品を選んで買ってきたものの、これは、バーゲン用に用意された品物群なのではないかという気持ちも沸き起こってきたのです。

 国内の消費が落ち込んでいると言われていますが、それなら何でもかんでも安く売ろうと安直に考えてしまうと、必然的に国産の高いものでなく、ある程度まで安くしても大丈夫な国外産にシフトしていってしまいます。今回の即売会で売り上げが上がったとしても、燕の工場で作った品物が売れないというのなら、本末転倒のような感じがするのですがいかがでしょうか。日本の金属加工の技術はめざましいものがあり、一部の店舗ではそうした技術を見せながら販売もしていましたが、それは出店数のほんの一部でしかありませんでした。有田の陶器市までとは言わないまでも、きちんと燕で作られた製品を多く集めたブースを作ってもらい、その技術力の高さを訪れた人にわかってもらうような取り組みがなければ、人々はいつまでも安いものだけにしか飛びつかないことになってしまいます。

 個人的にはある程度の軍資金を用意して、チタンの工芸品系の出物がないか期待していたのですが、恐らく私が見て回った範囲では、チタン製品を売っているところはほとんどなかったと思います。一応、私の狙っていたメーカーの品がバーゲン品の陰に隠れてとんでもない金額で安く売られていたのでそれを買い込む形で満足はしたのですが、逆にある意味、格が違う製品がバッタ品と同じレベルで安売りされている現状にも憤りを覚えます。日本を代表する生産地として、地元が誇るべき技術で作られたさまざまな製品を広く知ってもらうためにも、ああしたイベントの品の出し方について、もう少し考えていただければいいのになと思いますね。

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