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エチカの鏡 ココロにキクTV

 今回は途中から見たので、見ていない部分はあったのですが、人生を変える旅SPと題して「なぜ?OL辞め彼氏と徒歩で日本縦断・車椅子で日本縦断する大学生・ガン闘病父と子絆マラソン感動ゴール」という三つの旅を紹介していました。最後の家族で年末年始、夏休みなどの期間限定で車での伴走付きで行なう旅には頭が下がりましたが、前2つの旅については、あれをあのまま放送してしまっていいのか? という疑問が浮かびました。私自身、休みのたびに車を使って車中泊前提の旅をするということから、いかに快適に、周辺に迷惑を掛けず、さらに犯罪に巻き込まれないように旅を終えるかということを念頭において出掛けるようにしています。人によってはそういった事以前に行きたいから行くということもあるのでしょうが、テレビを見た人の中でああした旅をしたいと真似をする方がいたとして、いつ何時地元の方とトラブルを起こしたり、犯罪に巻き込まれる可能性はゼロとは言えません。実に無責任にこうした旅人を紹介するテレビ局とともに、目に付いた行動について検証を加えていきたいと思います。続き

 まず先に、車椅子の大学生の旅について。実はこの方の旅のやり方(サポートメンバーに車で荷物を運んでもらい、先行してもらう)には異論の付けようがないと思っていました。途中農産物直売所で買い物をし、通りかかった友人からお米をもらったあたりからあれをどうするのかと思いながら見ていたところ、彼らはキャンプ場へは行かず、海岸通沿いの道の駅で野宿するということになり、当たり前のようにサポートメンバーと駐車場で堂々と火を使って調理しているのにはびっくりしました。

 道の駅でおおっぴらにキャンプ行為を公認しているところを私はちょっと知りません。キャンプ場は有料ですが、その分調理場や火事の心配なく調理できる場所が確保されています。ゴミ処理については処理をしてくれず持ち帰りを余儀なくさせるところも多く、それゆえの有料施設であるのです。本日の放送を見た人が、道の駅ではキャンプ行為が無料で自由にできると勘違いしても仕方がないようなVTRの作りになっていたと私は思います。私の地元の道の駅で一番困っているのが、無造作に捨てられる大量のゴミ処理であるといいます。もちろん、調理のため火を使っている中、その火が建物や木々に飛び、火事を引き起こす可能性についても十分考慮するとすれば、こうした旅をテレビでそのまま紹介するということは道の駅関係者にとっては後の大きな災いを呼び込まないとも限りません。さらに、この人たちは野宿をどうするのかなと思っていたところ、テントも使わず駐車場のコンクリートの上に寝袋を出して寝ていたのにもびっくりしましたね。交通往来が激しい道沿いの道の駅では、いつ車が飛び込んでくるかわかりませんし、暴走族の大量侵入がある可能性だってあります。私が道の駅に車を停めて仮眠を取る際には、できるだけ目立たないようにして車の中で寝るようにします。今後も旅が続くようですが、ぜひサポートメンバーにはキャンプ場までの移動をするか、車の中で寝られるようにしてあげるのが最低の条件のような気がします。

 次に彼氏と二人で徒歩旅をする元OLさんですが、その土地の所有者に確認も取らないでテントを張って火を使って調理しているのは、もうマナー云々の話ではないですね。テレビの演出か、とってつけたように出てきた土地の所有者さんに自宅へと誘導され、家の中で寝ることができたようですが、普通はそんな人ばかりいるわけがないでしょう。たとえば、皆さんの家のすぐそばでいきなりテントがたてられ、人がごそごそと動き火を使っているとしたら、警察に通報されるレベルではないでしょうか。川で顔だけでなく素っ裸で行水しているのがいつもの事だとしたら、これからはそれを目当てに付きまとう暇な覗き魔を呼び込むようなものです。下手をしたら先日、別府で起きたような命にかかわる事件に巻き込まれないとも限らないと思うのですが。

 さらに問題なのは、これらさまざまな問題を含む旅について、賛辞の言葉しか出演者が送らないことです。見ている人の反応の大部分は羨ましいということなのでしょうが、こうした旅は常に危険と隣り合わせであり、必ず無事に帰ってこられるかわかりません。以前全国的に問題になったイラクへの単独行とスケールの違いはありますが本質的に代わることはないと思います。確かイラクの時はこぞってマスコミは自己責任というキーワードで旅人たちを叩きまくったと思いますが、今回はこぞって絶賛しているというのも節操がないというか何というか。個人的には上に挙げたようなマナーや常識をしっかり把握した上で行く分には何ら問題ないとは思いますが、わざわざこういったマナー意識のない人たちをテレビに出すというのもどうかと思いますね。もっとも、テレビに自分から出たいと思う人はこういった方々なのかも知れませんが。

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