総選挙も終わり、ある程度予想されたように自民・公明の凋落は誰の目にも明らかになりました。私は期日前投票を済ませ、選挙当日は出掛けていたので現場の盛り上がりを実感することはできませんでしたが、これからどうなるのかじっくりと見守ろうと思っています。
昨日のテレビでびっくりしたのが、TBSの朝ズバで、唐突に竹中平蔵氏が出てきて、民主党批判を繰り広げたことです。他の出演者も一様に民主党への不満が出、ちゃんとした結果が選挙で出たにも関わらず、このような流れの番組を垂れ流し続けるテレビ局にも唖然としました。せめて竹中平蔵氏の行なってきた政策について批判するコメンテーターを置くとかの配慮があればと思ったのですが、こういう報道姿勢が与党自民党を野党に追いやったのだと思えますね。
夕方のテレビ朝日、Jチャンネルでも違和感の残る報道がありました。民主党のマニュフェストの目玉と言われる高速道路無料化について、徹底的な批判を繰り広げていました。批判の柱はまず二酸化炭素排出の問題です。それまで公共交通機関を使って移動していた人たちが自動車を使って移動するということになると、その分の二酸化炭素排出量は確かに増えてしまいます。ただ、私の住んでいる東海地方について言いますと、東海地方の輸送を担っているJR東海は黙っていても乗ってくれる新幹線から上がる安定した売り上げの上にあぐらをかき、地元の人たちに冷たい印象があります。静岡からですと、休日のお出かけ用ということになると、静岡県内から豊橋までと身延線を使って甲府まで乗り降り自由なフリー切符があるくらいで(新幹線は別料金)、JR東日本のように新幹線の乗り降り自由な複数日使えるような切符は存在しません。それでも、静岡県内では在来線の熱海駅がJR東日本の管轄になるので、とりあえず熱海まで行って切符を購入し、東京駅から東北・上越・長野新幹線を使えるのですが、目の前で走っている東海道新幹線に乗れないというのではちょっとした移動にも車を使おうかという風になってしまいます。むしろ高速道路無料化によって、高速バスの運賃が下げられるとしたら、そちらを歓迎する人たちも多くなるのではないでしょうか。インター付近に駐車して、高速バスに乗り換えて移動するようなモデルも考えられてもいいでしょうし、二酸化炭素排出の問題をすべて高速無料化にかけて報道するのではなく、今まで殿様商売を続けてきた鉄道会社とからめつつ、総合的に評価していくべきだと思います。
もう一つ指摘されたのが、無料化に関する財源の事です。無料になったら新しく作る道路や、現存の道路の補修費が税金から出ていくとの事なのですが、少なくとも道路の維持管理については、車やガソリンにかかっている多額の税金によってまかなわれるべきものです。東名高速道路も首都高速も建設費の償還がすめば無料開放される予定でした。それは、道路の維持管理費は自動車ユーザーが負担する税金によって賄うという考えがあるからこそです。継続して通行料金を取り続けてきたのは、政治家との力関係によってどんどん高速道路網が伸びてきたからで、半永久的に料金を取るという考えはおかしいのです。問題はこれから必要な道路を作る場合ですが、それまでも国道のバイパスなどは高速道の料金とは関係なく税金から支出されてきました。本当に高速道路の無料化ができれば、新しく国道のバイパスを作る必要性は薄れてきますから、従来の予算編成内でがんばってもらうしかないでしょう。建設された道路でもまだ償還が済んでいない部分もあり、財政的には厳しいかも知れませんが、料金所がなくなることで人件費がなくなったり、ETCがなくなればさまざまな利権が消滅する分コストが下がる部分もあります。通行料がなくなれば道路補修や建設ができなくなるというような極端な論調は控えるべきでしょう。
最後に、番組では触れられていませんでしたが、今回の事で最も痛手を受けるのは中小の鉄道・フェリー・航空などの交通機関でしょう。自家用車があれば他はすべていらないというわけではないので、赤字に転落し廃業にならないためにも支援策が必要です。個人的には今のガソリンの暫定課税分をそのまま支援に回したらどうかと思いますが、民主党案では暫定分は廃止するとのことですね。その場合、いかにして地元の人たちの足である交通機関を保護していくのかということをしっかりと提示してほしいと思っています。