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膨大な映像ライブラリが消える?

 パソコンの方にお金を掛けるようになってしまったせいで、AV機器にお金を掛けることがそれほどなくなりました。ただ、現状でさまざまな録画に対する規制があるVTRについては、個人的にはほとんど買おうという気が起こりません。今日のニュースで、ハードディスクからDVDやブルーレイなどへコピーできる回数を1回から10回に増やしたダビング10の仕組みを導入した機器が出るということですが、購買意欲はほとんど0に近いです(^^;)。続き

 従来の仕組みというのは、ハードディスクから他メディアにコピーした時点でハードディスクに録画した内容が消えてしまう仕様のため、停電とか何らかの機械上の不具合によりうまくコピーができなかった場合でもハードディスクの中にわざわざ録画したソフトが消えてしまいます。ハードディスクは常に回転していますから当然のごとく寿命があるわけで、ちなみに私が以前購入したハードディスクレコーダーは1年ちょっとでハードディスクが壊れてしまいました。そんな不安定なメディアにいつまでも録画したものを残しておきたくないと思うのは当然ながら、今出ている製品では常に録画したものが消えてしまう可能性があるほど製品として問題があるものではないかと私は思っています。今回、ダビング10が採用されれば、何とかハードディスクから他メディアへのコピーはできるようになるでしょう。しかし、ここでまた問題に突き当たるのです。

 データの保存メディアはCDからDVDときて、ブルーレイディスクへと容量が大きくなっています。古くからのデータというのは、時間経過とともに劣化していくというのはある意味当り前のことで、それまでライブラリとしてためておいたデータも例外ではありません。今で言うならば、CD-Rで保存しておいたデータを新たなメディアにバックアップすることで保存期間を伸ばす事が個人のレベルであっても必要になってくるでしょう。ただし、今回の規制で出たダビング10でコピーされたディスクは、新しいメディアにコピーすることができない仕様になっています。著作者保護という観点から無限コピーを許すことはできないということなのですが、将来にわたって自分の中でライブラリとして残すことのできないメディアというのならば、あえて新しいメディアでなく、アナログのメディアとしてのビデオテープあたりにマスターを残しておいた方が将来のためになるような気がします。もちろん、ちょっと録画するものの見たらすぐ消したり見なくなるというのならそれでもいいのでしょう。しかし、ちょっと待っていただきたいのです。

 昨今、NHKは視聴者が撮りためた動画を募集し、それを集めて放送することで当時の日本の庶民から見た姿や、当時テレビ局でさえストックがなかったテレビ番組を見事に再現した番組を制作しました。古いものは8ミリフィルム、新しくてもビデオテープでしたが、これらはアナログであり、長期保存で劣化したとしても、少しでも写っていさえすれば修正する技術はかなり進んでいるのでそれなりに見ることのできるものになりました。しかし、今デジタル化が進み、劣化によって見られなくなってしまった場合、ほとんど修復は不可能でしょう。業務用だけでなく、民生用でも長期保存を意識した製品を発売しなくては、今の私たちの生活や風俗などを後世に残すには、かなり心もとない状況になってしまうでしょう。著作者団体(著作者そのものではない)のエゴと企業のエゴがからまった状況で、せっかく溜まった多くの貴重であろう映像が未来に残っていかないということは、今ここで議論されていい事だろうと思います。そういう意味では動画投稿サイトというものは実に未来へ向けた遺産となるべきものだと思います。著作者団体は、目くじらを立てるのではなく、むしろ将来のライブラリ整備に向けて協調の方向に行った方がいいのではないでしょうか。

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