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フォークの達人 遠藤賢司

 この4月から新しいテレビプログラムが各局出てきていますが、地上波の新番組というのは冒険ができない分、小さくまとまっているようで印象としてはあまりぱっとしません。今こちらで見られるのは、衛星放送ということになるのですが、こちらにはデジタルBSの装置がないので、衛星放送といえば必然的にNHKしかないということになります。そのNHK衛星放送で、キャスティングそのものが冒険的といった感じでスタートしたのが今回紹介する「フォークの達人」です。続き

 企画意図としては、今後、1960年代に青春を謳歌した人たちをターゲットにしてその当時に活躍した人のライブを流すということなのですが、第一回目の出演が遠藤賢司とは。私は初期の頃は知りませんが、今回の放送でもラスト前に演奏した「東京ワッショイ」のような曲を聴くと、これはもう、フォークではないし、今のミュージシャンを聴いている人にとってもかなり影響を受けるような音だったと思うのですね。ドラムとしてサポートしていたのがあの頭脳警察のトシだったというのにも驚きましたが、最初にこんなものを持ってきてどうするのとちょっと心配になってきます(^^)。

 今の歌番組が総じてつまらないのは、一曲だけCDのプロモーションのように歌うだけで、あとは歌とは全然関係ないことをやって視聴者を繋ぎとめているものが多いからなのではと思ったりもします。もっと一人のミュージシャンについて掘り下げるとか、今回のようにライブをそのまま流してしまうような事をしないと、音楽そのものの面白さというのは伝わっていかないのではないでしょうか。

 今後のテレビの事を考える時に、盛んに宣伝しているのが、データ放送との融合化です。それをそのまま当てはめるのなら、ライブを全く解説抜きで流し、曲データや解説部分についてはデータ端末から操作し、見たい人は見るという風にもできるはずです。

 そして、これはわかり切っている事ですが、人選も大事ですね。今後この番組は60年代フォークのライブを流すような感じになるでしょうから、実のところ私はそう期待はしていませんが、今回のキャスティングのような、あっと驚く人選には期待したいところです。フォーク・ロック・ジャズなどジャンルを問わず、さらに名が知られていなくて、全く予備知識がなくてもそれなりに楽しませられるだけの力量を持ったバンドや個人はこの世の中には多くいるはずです。それを見付けてくるのがプロデューサーの力量でしょうし、全国放送規模でそうした冒険ができるのが、衛星放送の面白さではないかと私は思うのですが。

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