ネット社会の中、廃れるようでいて廃れない技術がファクシミリではないでしょうか。先日の中国餃子の問題で、通知のファックスの最終ページが届かず、結果として深刻な状況の伝達がなされなかったということが明らかになりましたが、裏を返せば、お役所や企業などで重要な事項を伝達するためには誰にでも簡単な操作で発信ができ、ライフラインとして信頼性のある電話回線を使い、発信元と時間が紙によって記録されることで確かな証拠として残るという特性が重要だということでしょう。インターネットのメールではこれからも実現が難しいゆえに、これからもファクシミリは残っていくでしょうね。
私はファクシミリ用に専用回線を契約していますが、今まではファクシミリ機能がついたパソコン用プリンタをつなげていました。家庭用のファクシミリと繋げた場合、ロール紙やインク、印字用シートなどのコストがかかりますが、パソコン用のインクの場合カートリッジのインクを詰め替えることで普通紙に印字できる上にコストはそれほどかからず、満足して使ってきました。しかし、常時利用していく中で常に普通紙をトレイに用意しておかねばならず、送信されてきたものの中にはゴミ箱へ直行するものも多く、これが何とかならないかと思い、改めて家庭用ファクシミリについて調べてみることにしました。
こんな事を考えたのは、今月発売されたばかりの松下のファクシミリで、ＳＤカードに送信されてきた原稿を蓄積し、改めてそれをパソコンで閲覧・印刷（パソコンのプリンターで）可というもののコマーシャルを見たからです。ファクシミリの故障の多くは紙送りのローラー回りがほとんどですから、単なる受信専用機にしてしまえばパソコンの中にファックスソフトを入れて常時起動させておくよりも安定した運用が可能です。ただ、今の世の中これだけインターネットにテレビやゲームなどをつなげるのですから、ファクシミリもインターネットに繋げて、外からファクシミリ内部にアクセスして自宅に届いた原稿を外から見られないものかなどと、自分でも少々とんでもない事を考えていたのですが、調べていたらＮＥＣのファクシミリでルータに繋げていろいろできる事がわかりました。以下のリンクにある製品情報をご覧下さい。
http://121ware.com/psp/PA121/LEARN/ENTP/h/?tab=LRN_Z_FC_SP_NA540W
この機種は本体内でメールアドレスを登録しメール送受信の設定ができ、ブロードバンド環境にあればルータと繋いで、原稿を電話回線で送るだけではなく、特定のメールアドレス（携帯電話含む）にネット経由で送ることができるようになっています。設定によっては外から受信した内容を設定したメールアドレスに即時に転送なんてことも可能です。外からメールチェックをしてＰＤＦファイルで届いた原稿の内容をパソコンや携帯電話から確認したり、保存・印刷も可能です。また、ルータで繋がっているパソコンと本体内のデータのやりとりができ、本体のメモリに蓄積した内容をパソコン内に取り込むこともできます。こうして保存したファイルをバックアップしておけば、わざわざ紙に出す必要性もありません。
こうしたネット接続機能は松下のものにはないようなので、とりあえず購入してみました(^^)。量販店でポイント値引きを入れて２万円ちょっといった感じでした。電話機能も子機も（購入したのは子機１台タイプ）もファクシミリ受信専用として使っている自分としては全くいらないので、子機なしタイプがもう少し安く出てればとも思いましたが、こればかりはしょうがないですね。こうなってくると、あとは持ち運び可能なプリンタを用意すれば、ネットが繋がっている環境にあるならば、自宅に送ってもらったファクシミリ原稿をすぐにパソコン上で確認し、必要とあらばすぐに出力できるようになります。インターネットを使うことで、例えば電話が繋がらない時でも自宅のファクシミリの番号を伝えておけば、gmailなどのウェブメールにその内容を転送することで、海外にいても緊急の連絡を受けられるということになります（ファクシミリの原稿は画像ファイルとして届くので、日本語の使えないパソコンからでも確認が可能になります）。インターネットメール転送というのはそれだけではなく、間違って本体内のメモリを消してしまったり、ファイルの蓄積をしたパソコンが壊れたような場合でも強力なバックアップになるという側面もあります。単にネットに繋げるだけでこれだけのメリットがあるのにも関わらず、他のメーカーは手を付けていないというのは実に惜しいですね。ともあれ、これで外からの通信環境がまた一つ強固になりました。