日本の携帯電話会社は、技術的には十分可能であるにも関わらず、携帯電話本体を自由に使うことができません。今の第三世代携帯電話というのは、契約情報の入ったカードを入れかえることによって複数の携帯電話を使い回すことができる設定になっています。海外ではどこの携帯電話会社でも、普通に売っている携帯電話に差せば使えるようになればこそ、iPhoneのようなハードが携帯電話会社の垣根など関係なく売れるということになります。今の日本では、ドコモ・au・ソフトバンクとの間でカードを入れ替えても使えないので、どこがiPhoneの権利を取るかといったことが注目されているのですが、iPhoneが欲しいのにわざわざ携帯電話会社を変えたくない人にとっては機種選択の自由を奪われるという意味で、実にナンセンスな話です。それでも、同じ会社が販売している携帯電話同士ならカード入替えをすればショップで長い時間をかけて機種変更をしなくても、スムーズに機種の入れ替えができるのは便利です。将来的には各メーカーがちゃんと携帯電話を家電製品のように売ることによって、自由に携帯電話を選べるようになってほしいものであります。
先日、中古の携帯電話を手に入れ、カード差し替えで機種の変更を行ないました。私はソフトバンクなので、最近になってようやく値段もこなれてきたテレビのワンセグ放送受信可能なモデル、905SHを使っています。私の場合、昨年11月に2年縛りで端末を購入したので、普通に機種変更をしたのでは違約金を含み、かなりの出費をしないと新しい端末が手に入りません。それはそれでいいのですが、問題なのは故障したり水没したりした場合の対応です。修理費がかさんだ場合もそれなりの費用がかかりますので、いざという時のために予備として中古の電話機を揃えておくというのは、生活の中で電話を使わざるを得ない日々の暮らしの中での防衛とでも言えるかも知れません。携帯電話各社はアフターサービスプランのようなものがあり、ソフトバンクでも例外ではありませんが、月々500円程度と、2年縛りで加入し続ければ12,000円余分に払うことになってしまうので、そうした場合の事を考え、1万円前後で中古の白ロム(契約していない端末をこう呼びます)を入手しておくというのは、携帯電話にそれほどお金を掛けたくない人にとっては賢い選択と言えます。
その昔、日本には残飯市場というものがありました。贅沢に食べられる人が残したり捨てたりした、いわゆるくず野菜というようなものを、正規の値段よりよほど安く販売する市場があったわけですが、こうした流通経路のおかげで、昔の日本では食べ物をムダにすることなく多くの人のもとへ行き渡らせることができました。今の携帯電話中古市場もそうした流通のしくみに近いものがあります。常に新しい機種を手に入れられる裕福な人や、携帯電話だけにお金を掛けられる人はいいですが、そこそこのものを安く手に入れたいという場合、オークションを中心とした中古市場は実にありがたいものです。私が手に入れた905SHという機種は、ワンセグだけでなく従来のアナログ放送やFMラジオの受信も可能なので、いざという時には新機種よりも情報収集に頼りになる現在でも人気のあるモデルです(新しいものではあまりアナログ放送やFMラジオの受信については考慮されていないようです)。発売当初は7万とか8万とか言われたものも、今では1万円程度あれば入手することができます。私の購入したものは発売当初に購入されたものであるそうですが程度はよく、お古といってもまだまだ十分に使えます。他人が使ったものというこだわりを捨てることで、新規契約の場合も長期契約のしばりもなく、安い値段で使い続けられるというメリットは大きいものです。ただ、オークションの場合は画面の向こうの相手が見えにくいのでしっかりとした吟味が必要ですが、こうした中古経済と言うものが、これからの私たちの生活にとって欠くことのできなくなるものではないかと確信めいたものがあります。今までのニュースを見ていても、どうせ政府は助けてくれないのですから、私たちはもっと貪欲に、さまざまな情報を仕入れながら、新たな経済活動を模索していく必要があるのではないかと思います。