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サッカーワールドカップを振り返って

 劇的な瞬間から時間が過ぎ、サッカーのワールドカップについて、改めて考えてみます。ワールドカップというのは読んで字のごとく国別対抗戦なのですが、今回も不可解な判定あり、最後の最後になって人種差別発言があったのかというような話も出てきています。続き

 ワールドカップと人種差別問題というと、決勝トーナメントに入ってから、試合前に両チームの選手たちによって、「自分たちは決して人種差別的な行動を取りません」と宣誓が行なわれました。今回のジダン選手の退場の原因がどこにあったのかまだわかりませんが、もしピッチ上で差別的な発言がなされていたとしたら、試合前に宣誓していたことは何だったのかということになります。次のワールドカップはかつて人種差別問題が実に顕著であった南アフリカです。偏見を丸出しにした観客の野次はヨーロッパリーグで問題になっています。4年後に向けて、技術の向上よりもこうした話が聞かれないようなフェアな試合をすることがまずは第一だと思うゆえんです。

 それにしても、今回ベスト4に残ったのはどれもヨーロッパの国々で、アジア・アフリカの国々は惨敗でした。今回、ヨーロッパが会場だったということと、大会前にヨーロッパの選手たちがじっくりと仕上げてくることができたからと言われています。と同時にあまりにも日本チームの戦い方がまずかったため、結局惨敗ということになってしまいました。徹底的に守ってカウンターを狙うような試合をすればもう少しましだったかも知れませんが、それが日本のサッカーかというと疑問が残ります。どのような戦い方をすれば世界と戦えるようになるのでしょう。

 日本のボールゲームといえば、サッカーとともにメジャーなものは野球ですが、こちらの方は世界選手権を取りました。ラッキーがあったとはいえ、今さらながらよく決勝でキューバに勝ったものだと思います。日本の野球は「スモールベースボール」と言われ、力で敵わないなら細かい戦術で力の差を補うことにきっちりと取り組んで結果を残しました。もっとも、日本のプロ野球が始まってからすぐにアメリカメジャーリーグに挑戦し、ことごとく跳ね返されてきた経験からこそのところはあります。やはり歴史のあるスポーツというのは私たち観客から見ても納得させるものがあるということでしょうね。

 4年後にすぐ世界に対して戦えるチームを作るためには、多くの日本のプロ選手がヨーロッパリーグのレギュラーになることが必要だとは思いますが、その強さを持続するためには、日本全国津々浦々で世界レベルのサッカーを体験させる仕組みづくりが大切だと思います。私がいる静岡市には清水エスパルスがありますが、リーグ発足時から元ワールドカップで活躍した選手や監督を招聘したということもあり、今回のワールドカップの開会式の時など、実に見慣れた顔を見ることができました。昔はとびぬけて実力のあった静岡県のチームは、今や全く勝てなくなりましたが、それは逆に徐々に全国規模で認知されるスポーツとしてサッカーが根付いてきたということも言えます。今回の結果を悲観することなく、長期的な立場に立って組織自体をしっかり作っていくというのが実のところいちばん手っ取り早い強化策ではないかと思ったりします。

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