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テレビはタブーにこそ踏み込もう

 週末に大都市で行なわれた民主党党首選挙の街頭演説会について、検証しているニュース番組が多くありました。複数の政治評論家の方々の中には、小沢コールが起こったことについて、小沢陣営がサクラを仕立ててそれなりの人数を動員したのではないかという趣旨の論評を行なっていました。私は現地へ行っていない人が憶測だけで発言するのは控えた方がいいと思いますが、もしそれが真実だとしたら、可哀想にご自分の番になってヤジを飛ばされた菅氏との公平性を保つような確固たる証拠を取材によって明らかにすべきではないかと思います。ただ、私が思うに、なぜ今さらこうしたサクラや動員について、今回の街頭演説だけを問題にするのか、そちらの方が疑問に思います。続き

 私が動員やサクラと聞いて、まず思い起こすのは芸能人のコンサートや新商品の販売促進行為のことです。日本の方々はわざわざ行列に並んでまでいろんなものを買うのが大好きですから、ある企業が意図的にサクラを使って行列を作り出し、それを見て何ごとだと寄ってくる野次馬やマスコミを通して宣伝するという方法はかなり古くからあります。また、芸能プロダクションが所属のタレントを売り出すために人を集めることはよくある話です。いずれも、これが自然発生的に起こったかのように報道するテレビの協力によっては成り立たないものなのですが、今回、あえて週末の演説会の熱狂はサクラによって作られたものだと報道するテレビ局には大いなる矛盾を感じます。テレビによって作られたブームを追いかけ、回りの人たちが騒いでいるからとついつい同じように熱狂してしまうことに私は多少さびしいものを感じるのですが、今回、あえて動員によるサクラといういわば暗黙の了解に一石を投じたのは実に興味深いことです。

 今回の街頭演説会以前にも、広告代理店とマスコミが協力してブームを作り出したのではないかと疑われかねない事例は列挙にいとまがありません。先月NHKのニュースウォッチ9でトップニュースとして5分にわたって韓国の女性アイドルグループを特集して放送した一件については、なぜ事件でも政治関係でもない芸能ニュースを、ワイドショーでないニュースショーがトップに持ってきて報道するのかという批判は今も収まっていないようです。もちろん、全てのマスコミにこのような不透明な動きの裏側を報道することは無理でしょうが、今回のように政界の大物についてこれだけ突っ込んだ報道するところがあるのですから(ちなみに、私が確認したのは読売テレビのミヤネ屋とフジテレビのスーパーニュースでした)、この不況下に自分たちだけ広告宣伝費も支出せず(裏で金銭のやりとりがあるとしたらさらに悪質だと思いますが)、テレビに宣伝してもらっていい目を見ている人たちについて、その裏側をしっかり炙り出してくれないかなと思うわけです。自分たちの悪い点を自分たちの力で浄化する力を持たないと判断された場合、それこそマスコミの運命は政治に握られてしまいます。マスコミの方々はそうした流れに危惧を持った方がよろしいのではないでしょうか。

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