金曜日の特集も三週目になり、しかもお盆期間ということで普段より多くの人たちが見ている中でどんな事をするのかと思ったら、結局は消費税増税への誘導のような今回の特集でした。インタビューに出てきた慶応大学の教授が、タンス預金にも課税するようにデノミのように紙幣を変えることで、交換手数料と言う名目でお金を取る仕組みを提案していたのですが、市場に出回っている紙幣を回収するというのはどういうことなのかという点には全く触れていないのが実に偏向的でありました。
いったい今の日本にはどのくらいのお金が眠っているのか、今使われているお金を期間限定で紙くずにしてしまうといえば、ほとんどすべて吐き出され、その総額を政府が把握できてしまうということになります。そうして得たデータは、隠し財産をあぶりだすだけでなく、新たな増税のための根拠となるでしょうし、慶応大学教授の言うように、紙幣交換手数料補填のため国民に一律現金を支給したとしても十二分にお釣りがくるだけの出費であるわけです。今までのデノミの話はありましたが、そこまで至っていないのには国民の財産がガラス張りにされる事への反発もあるのではないかと思いますが、それを今までにない国家財政の危機という言葉で正当化するような番組の進め方には、何らかの隠れた意図があるのではないかと邪推してしまうわけです。
この三週間ことあるごとに言われていたことに、あくまで消費税増税と比べてどうかという事を殊更強調していたということがあります。つまりは消費税増税をしなければこんな理不尽な財産税・貯蓄税を実施しなければならないから、すでに実施されている消費税の税率を上げる事も仕方がないのではないかという主張が透けて見えます。繰り返しになりますが、玉川記者は自民党政権時代には政府のさまざまな無駄遣いを指摘し、むしろ増税に対しても批判的な論調でした(増税をする前にまずは無駄遣いをなくしてからという論調だったように思います)。つまりは政権交代とともに「転向」したのではないかとも思えるのですね。考え方を変える事自体については批判するつもりはありませんが、今までの考えが間違っていたと言うことならば、きちんとその旨を特集の冒頭で述べてからこういった話をすべきでした。このまま取材活動を続けていくならば、増税があったとして、そのお金で「私のしごと館」のようなハコモノが作られたとしても、それを批判することは普通の神経ならできないでしょう。まあ、のべつまくなしに目立てばいいというのがテレビの特質ということで、こういった人材が輩出されるとも言えるのですが。改めてテレビの主張することを無批判に受け入れる事のないよう気を付けたいものです。