先日も新聞記事の見出しについて意見したばかりなのですが、今回の事例は下手をすると政局に影響を与えかねないものであるから困ってしまいます。例によって民主党批判が激しいと言われている産経新聞の記事です。見出しは、
「「夢が…」宝くじ販売停止判定でファン悲しむ」
というものですが、これだけ読むと仕分け作業で宝くじそのものが販売停止という流れになっているかのように思えます。しかし、実際のところはそうではありません。仕分け人が問題にしているのは、宝くじの売り上げの中で当選金以外の部分における不透明な支出および人件費の問題で、現状のような無駄遣いを続けていくならば宝くじ発売自体を販売停止するここともありうるということです。そうならないようにきちんと削るところは削ってくださいと言っているだけなのに、このように報道するとは。そうした印象操作を可能にしているのが、インタビューを取った「宝くじファン」という方々の声なのです。
記事の中ではドリームジャンボ宝くじを買うために並んでいた人たち4人の声を紹介していますが、全ての意見が政府の事業仕分けを批判したものでした。ただ、その際どういう情報を出してインタビューしたのかというのはこの記事では明らかにされていません。記事の中にはフルネームと年齢、おおまかな住所まで書かれているため引用は控えますが、記事になった方の中には、実際の仕分けの様子をニュースで確認してしまったと思った方もおられるかも知れません。つくづく、街頭インタビューというのは報道する側の都合で勝手に使われてしまう危険なものだなあと感じる次第。はっきり言ってしまえばこの記事はニュースではなく世論を誘導するプロパガンダだと私には思えるのですがいかがでしょう。新聞の発行部数はすぐさま会社の経営に影響するものですが、こうした小さな記事の積み重ねで評価され、部数の増減として表れることになるでしょう。