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天地人

 今年の大河ドラマが本日終わりました。好きな武将の一人である直江山城守兼続の物語ということでかなり期待していたのですが、期待しすぎた分残念な結果に終わってしまいました(^^;)。キャストの人選はまだしも、脚本の内容について大変失望してしまいました。こんな内容は今回の大河ドラマだけだと思いますが、折角なので思うことを二三書いておこうと思います。続き

 ドラマを見ている一視聴者として、重箱の隅をつつくような指摘はしませんが、歴史の中で通説となっているものをドラマの主人公の手柄として簡単に作りかえてしまったのにはとにかく唖然としました。それは、大阪夏の陣の千姫救出のくだりです。まことしやかに唱えられている説として、千姫は坂崎直盛によって助けられたという話がありますが、実際のところは豊臣方の武将に守られて直盛の陣まで送り届けられたという可能性が高いそう。しかし、このドラマでは真田幸村の進言によって井戸の中に千姫が隠され、それを真田幸村から伝えられた直江山城守自らが救い出したことになってしまいました(^^;)。これはいくら主人公といってもやりすぎなのではないでしょうか。

 今回の大河ドラマが直江山城守兼続に決まったのは、原作の「天地人」があったからということもありますが、私だけでなく多くの人が隆慶一郎作の「一夢庵風流記」を下じきにして原哲夫さんが描かれた歴史漫画「花の慶次 -雲のかなたに」の影響が大きいと思っておられると思います。私が今年の6月に米沢に行った時、大河ドラマ関連のものであふれているのと同時に、「前田慶次郎ゆかりの地」というのぼりがあちこちに見受けられました(前田慶次郎は上杉家が米沢に転封された際にそのまま米沢に移り住んでいる)。天地人博を行なっている会場のミュージアムショップで、米沢の図書館に原本が保管されている「前田慶次郎道中日記」(京から米沢までの旅日記)が置かれており、かくいう私も買い求めました。これだけの地元の盛り上がりがあるのであれば、必ず前田慶次郎は出てくるだろうと思っていたのですが、ものの見事に肩透かしを食らいました。これも脚本を書かれる中で消されたのでしょうが、地元の人たちだけでなく、多くの視聴者の期待もあっただけに、なぜこの魅力的な登場人物を出さなかったのでしょう。こんな事は考えたくありませんが、脚本を書かれた方は実のところ歴史についての造詣があまりない方で、スタッフもそれについては意義を唱えなかったのではないかとすら思えます。歴史の流れを斟酌せず、あくまで民放と同じようなキャストの妙で見せるだけの大河ドラマを垂れ流すような事がこれからも起こるようでしたら、次第に視聴者も離れていってしまうのではないかと危惧を覚えました。スポンサーなしの受信料で成り立っているNHKが視聴率のためにここまでやるのなら、私もこれ以上大河ドラマについて言及することはなくなるでしょう。今回のドラマの評価を、新潟や山形の方はどう思っているのか聞いてみたいですね。

追加

 以上の文を書いてから、ドラマプロデューサーが山形市で(米沢市ではなく)行なったトークショーの中で、前田慶次郎が出なかったわけについて言及しているという情報が入りました。当日のトークショーを聞きに行かれた方のブログがありますので紹介しておきます。

http://yamagata6.blog118.fc2.com/blog-entry-417.html

 それによると、最初の構想では台本に出演シーンがあったとのこと。しかし、前田慶次郎についての思い入れのある方々からの批判を恐れ、中途半端に出すぐらいなら出さない方がいいとの「決断」だったそうです。

 だいたいにおいて、創作活動というものには批判はつきものです。偉大な人物をドラマの登場人物にする際には全くどこからも批判が来ないということは考えられないことです。そうした批判をすりぬけ、きっちりと作り込むことによって多くの人たちを唸らせるようなドラマにするのがプロとしての仕事のように思えるのですが。これはもう、それほど期待しないでおいた方がいいのかも知れませんね。

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