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土曜プレミアム・特別企画 戦場のメロディ

 以前、渡辺はま子さんの「何日君再来」についてのテレビ番組について書いたことがありましたが、今回は「ああモンテンルパの夜は更けて」に関する関係者の証言を交えたスペシャルドラマということで、期待して見てみました。キャストで渡辺はま子役が薬師丸ひろ子さんというのはちょっと違うのではないかと思ったのですが、ドラマのクライマックスでの歌唱部分は、幾分迫力は薄れるものの、声の質が似ている気もして、そこそこちゃんとしたキャスティングなのかという感じでした。こういうのは近年めずらしいですね。別の局の「こちら葛飾区亀有公園前派出所」などは疑念の余地がないほど芸能事務所との関係が強いと感じられるようなドラマで全く見る気になりませんので(^^;)。前の日記で書きました殺陣師の中村和光氏のお話の中で、それこそ渡辺はま子さんが挿入歌(いとしあの星)を歌われてヒットした当時の国策映画『白蘭の歌』を監督された渡辺邦男氏の話になり、

「引越しのサカイのコマーシャルに出てた人(徳井優氏)が監督にソックリだから、ぜひ今のうちに渡辺邦男一代記を作った方がいい」

 とおっしゃっていたのをここに書きたくなりました。芸能事務所とテレビ局の関係はいろいろあると思いますが、放送日のみ話題にされるものではなく、後々まで残る番組を作るためにも、メインキャストくらいはちゃんとした方が私もいいと思います。ちなみに、それぞれの写真があるサイトは続きの部分にありますので比べてみてください。続き

http://www.city.mishima.shizuoka.jp/kakukaHP_system_kanrika/amenity/bunka/eigatoengeki/eigatoengeki.htm

http://talent.yahoo.co.jp/pf/detail/pp6817

 渡辺はま子さんは中国で慰問活動をされただけでなく、さまざまな国策の文化活動に駆りだされ、終戦も中国で迎えられました。すぐに日本に帰ることができたのではなく、1年間天津の収容所生活を送られたとのことですが、それが今回のドラマの舞台であるフィリピンのモンテンルパ刑務所に収容されている死刑囚と御自身の経験とシンクロしたであろうことは容易に想像できます。その後、モンテンルパで作られた「ああモンテンルパの夜は更けて」は日本でヒットし、そうした世論の流れをうまく使い、特赦から帰国へとつながっていくわけですが、純粋に歌の力のみで特赦が得られたのかは疑問が残るところです(件のオルゴールをキリノ大統領のプレゼントにしたのは事実ですが、自らの大統領選挙への影響や、ある程度の援助なしには妻と娘を日本軍に殺された大統領がそこまでの決断をしたのかどうかですね)。

 ただ、こうした美談に裏があったとしても、少なくとも渡辺はま子さんは、モンテンルパ収容の死刑囚を使ってヒット曲を作ろうとよこしまな考えは持っていなかったと私は思いますし、多少生臭い事があったとしても、まずは死刑囚が刑を停止され帰国できることを優先し積極的に舞台の上で踊ることをいとわなかったのも確かでしょう。ドラマとしてはきちんと作られていた印象を受けましたが、それは当の渡辺はま子さんがきちんと記録や録音として一連の様子を残していればこそのものだったと思います。関係者のその後についてもきちんと取材されていたのは好感が持てましたが、個人的にはもう少しノンフィクションの部分を見たかった気もします。

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