今日は事前にここでも予告していた日野皓正・菊地雅章デュオコンサートの日だったのですが、ちょっとしたアクシデントがありました。ニューヨーク在住の菊地雅章さんが病気のため来日できなくなってしまったということなのです。日野さんのお話によると息ができなくなったので菊地さんご自身で救急病院に駆け込み、肺に穴が開いているということで応急処置の後、この金曜日に手術をされるとのことでした。菊地さんの演奏が聴けないというのはとても残念なのですが、手術が成功しぜひリベンジで静岡にやってきてくれるまで回復されることを願っています。
そんなわけで本日は、日野さんのバンドの中からメンバーを呼んでトリオでの演奏となりました。石井彰 (pf)・和丸 (ds)というメンバーで、日野皓正クインテットでツアーを回っている日野さんとは気心の知れた方々です。お二人は黒のスーツといった出で立ちで登場。石井さんは実に表情豊かな演奏で、対する和丸さんはパワフルな演奏ながらほとんど表情を変えずに演奏していました。この和丸さんというのはいわゆる「天才少年」で、物心付いた時からドラムを叩いていたそう。現在16才でジャズというのは凄いようですが、さまざまなスタイルを追求する中、ジャズに行きついたというのは必然のようにも感じられます。日野さんも今のまま伸びていって欲しいと言われていましたが、演奏だけでなく日野さんの実にプロ根性たくましい聴衆に対するサービス精神など、一流のミュージシャンになるためにはまだまだ越えなければならない壁も多いことでしょう。
演奏の内容は、菊地・日野デュオの中の曲を中心に、フリージャズあり、デキシーあり、そして日野さんのソロでパブロ・カザルス「鳥の歌」ありとかなりバラエティーに豊んだ構成になっていました。休憩なしで2時間ぶっ通しでやってくれたのですが、日野さんのMCが長いのでメリハリもきいていて聴いている人はほとんど飽きることなく楽しめたのではないでしょうか。今回の菊地さんの公演キャンセルでがっかりした人もいるかも知れませんが、演奏のクオリティは高かったですね。今回は前回のライブとは反対に一番離れた位置に座っていたのですが、微弱な音の余韻までばっちり聴こえるホールの良さも改めて認識しました。
演奏終了後、菊地・日野デュオのCDを購入してきました。菊地さんはご自身の出す音に非常にこだわる方なので、まだこのCDは聴いていませんが、これからじっくりと楽しませていただこうと思います。