割り箸というのは、冗談ではなく今まで間伐材の有効利用であると思っていたのですが、いつの頃からか、その生産は中国にそのほとんどを依存しているということで、今供給が危機的状況になっているとのこと。流れ的には今安くなっているほとんどの物と同じで、価格が安いという理由で国内産業をつぶし、中国をはじめとする人件費の安さに依存した影響が出ているという形です。
昨日、村上ファンドのインサイダー取引が俎上に上り、「金さえ儲かればいいのか」という考え方に否定的な論調をずいぶん耳にしました。しかし、100円ショップの品物を見ればわかる通り、今の日本ではたとえ国産品を潰してでも企業の利益を追求する姿勢が評価されています。そうした企業姿勢のため多くの低所得者層が助かっているかも知れませんが、この流れが続いていけば更に低所得者層の仕事が削られてしまいます。何も株だけのことではなく、全て金でカタを付けるような社会をゆるやかに変えていくべきだと私は思います。そういう意味では、日本人にとって実に身近な存在である割り箸とともに日本を考えるというのはなかなかいいのではないかと思います。
割り箸の問題を解決するためには、二通りの考え方があります。番組でも紹介していましたが、割り箸を洗って再利用できるようなものに変えるか、森を再生し間伐材から生産できるような体制を整えるかということです。ただ、今中国産の割り箸がまた安くなったら、同じ事を繰り返すことは明らかでしょうし、生産者としてはおいそれと設備投資をしたり求人をしたりということはできないでしょう。何らかの保証がなければ業者はできるはずがないのです。
儲けすぎてこれから慈善事業でもやろうかというような話を昨日村上氏はしていたようですが、本当に日本の事を考えるなら、長期的視野に立って海外産に対抗できるだけの価値を見出し、それこそ「モノ言う株主」として日本の産業を再生するような取り組みをしてみてはどうでしょう。ただ、そうした取り組みはすぐに結果が出ませんから難しい事とは思いますが。
何にしてもすぐに結果を求め、すぐに利益が上がらない事をしていたらダメだということですね。繰り返しますが、これは割り箸だけの事ではありません。私たちの生活全般においてじっくりと考えたいテーマだと思います。