テレビで伝える内容について、どうしても時間という制約があることで何を主に伝えるか伝えないかということが重要になってきます。ニュース自体の選択もありますし、一つのニュースの中であえて重要な事を伝えず、隠蔽することで印象操作をするところが本日のサンデーモーニングで顕著に出たような気がしましたのでここで書かせていただきたいと思います。それはコメンテーターの発言ではなく全てVTRで作られた「風をよむ」というコーナーです。
「ネット社会」と題し、秋葉原連続殺傷事件の被告である加藤智大被告が裁判で証言した犯行動機についての発言のうち、「ネット掲示板を荒らされた」という直接的な動機だけを前面に押し出し、韓国の芸能人の自殺騒動やネットいじめまでからめて「危険なのはインターネット」という主張を展開していきます。しかしながら、加藤被告が犯行に至る経緯を述べた中で注目すべきことは、幼少期から受け続けた母親からの度を越した「しつけ」であったように思います。7月27日に行なわれた公判で弁護人に「小さいころに一番記憶にあることは」と聞かれて、母親にトイレに閉じ込められたこと、風呂で九九を暗誦させられ、間違うと、湯船に頭まで沈められたこと、食事が遅い、と新聞の折り込みチラシの上にご飯がぶちまけられ、それを食べろといわれたことなど。さらに私がひどいなと思ったのは、一回泣くごとにスタンプカードにスタンプを押され、そのスタンプが10個たまると罰(屋根裏部屋に閉じ込められるなど)を受けることになるというくだりでした。こうした体験が重なると人間はどんな風になるのか。加藤被告は事件の原因となる自分の性格についてこんな風に述べています。
「伝えたいことを直接言葉ではなく、行動で示してわかってもらおうとする自分の考え方がある」
こうした公判での証言を私なりに解釈したとしても、全ての原因をネット社会に求めるということに無理があることがわかります。直接行動に出るきっかけがネットにあったとしても、親からきちんとしたしつけを受けていれば簡単に受け流せたのではないかと思いますし、むしろこういった親のしつけに対する加藤被告の発言があるにも関わらず、それを意図的に無視してネットの危険性ということを伝えようとする番組スタッフの悪意を持った印象操作だといった感じがぬぐえません。
本日のサンデーモーニングでは他にも、スポーツコーナーでパネルに西武の大久保2軍コーチ解雇についての見出しが出ていたにも関わらず全く触れませんでした。ボクシングの亀田選手のノンタイトル戦にはちゃんと触れましたが、父親が無断で控え室に入った問題についても触れず、どうでもいいところで「喝!」を出して終わってしまいましたが、いくら発信する内容はテレビ局側にあるといっても、これだけあからさまに自分たちの言いたいことだけ言い逃げのようにして終わる番組と言うのは記憶にありません。つい見てしまった私が悪いということもあるのですが(^^;)、テレビで言っていることだからと無批判に信じてしまう人がいることを思うと、このままにしておいていいのかと思います。この局はバラエティでも先週、お笑い芸人カラテカの矢部太郎さんを強引に7月29日に結婚させようとし一般視聴者から花嫁候補を募集、そうして矢部太郎さんが選んだ候補を画面に登場させず、予定していた結婚式もなかったことにしてしまったという失態を演じています。これは、見る人が見たらいじめられっこキャラの矢部さんをダシにして単に笑いものにしただけの企画のようにも思え、局内にこうした程度の低いものでも面白ければいいという気分が蔓延しているのかなとすら思えてきます。よくこんな番組にスポンサーが付くものだと思いますが、視聴者が声を挙げていかないとこうした番組制作手法は変わらないような気がしますね。
PS 不本意ながら自宅でもデジタル放送視聴のための外付けチューナーを導入する予定です。というわけで、民放の衛星放送のチャンネルを新たなカテゴリに追加しました。機器の導入が済み次第見られるようになりますので、興味深い番組がありましたら紹介していきたいと思います。