(その1) 早撃ちソフトに欠けているもの (2002.11.12)
日本語入力コンソーシアムのホームページがリニューアルされました。リニューアルに伴って、富士通制作のページとなり、今後の展開が期待されます。親指シフトの情報についてはこのページをはずすわけには行かなくなるでしょう。アドレスは、
http://nicola.sunicom.co.jp/
となっています。また、リニューアルに合わせて、以前から話のあったコンパクトにまとまった親指シフト専用のコンパクトなUSB接続のキーボードも発売になるようです
http://software.fujitsu.com/jp/japanist/relation.html
富士通の開発した日本語変換ソフト、japanist2002での動作を保証しているということですが、これはハード的なものではなくソフト的に親指シフトを実現させていると考えられるので、他の日本語変換ソフトででも、数々の親指シフト実現ソフトを使って利用できる可能性があります。値段はオープンプライスですが1万5千円前後になると予想されます。発売は2001年12月上旬を予想していると言うことです。
実際にどんな感じなのかというのは使ってみないとわかりませんが、USBキーボードであるということはウィンドウズのデスクトップやノートパソコンで使えると言うことになりますから、この下に書いている状況も変化する可能性があります。キーボードを持ち歩き、デスクトップででもノートでも、もっと言うとマックでもウィンドウズCEのハンドヘルドでもポケットPCでも、USBが付属すると言うことはドライバの開発さえ出来れば使える可能性が出てきます。特に、個人的に期待するのはポケットPCでの利用です。
パソコン、特にノートパソコンの場合、性能に惹かれても、今まではそのキーボードの形状により購入を諦めていたということがありましたが、今回のコンパクトな外付けキーボードの発売により、手になじむ筆記用具というような形での使い方を想定しています。将来的にはキーボードそのものを持ち歩き使うような形も考えてみても面白そうですね。製品の発売を楽しみに待ちたいと思います。(2001.11.7)
★OSによる違い
昔、パソコンといえばNECのPC98シリーズという時代がありまして、日本語で使うためには他のパソコンは使えないということまで言われていたように記憶しています。しかし、いつの間にやら勢力地図は完全にマイクロソフトに取って代わられました。さあこの天下は永遠に続くのでしょうか。最近のニュースではLinuxというフリーで流通するシステムの勢いがすごいですね。このことだけでなく、マイクロソフトの会社自体も分割されるなんて話もありますし、これからの状況は誰にもわかりません。個人的には日本人の作ったオペレーションシステムB-TRONに期待しているのですが。
そんなわけで、どのように変わるかわからない中、私たちはどのような入力方法を選択すればいいのでしょうか。
★最近のノートパソコンの乱立するキーボード
私たちの混乱に更に拍車を掛けているのは、これも一定しない様々な種類のキーボードなのですね。特にノートパソコンのキーボードがひどい。キーピッチは一定しないし、各種キーの位置が微妙に違うし。ですから、ちゃんとした日本語入力がしたいのならキーボードをまず選ぶことです。ただ、ノートの場合はキーボードを選ぶわけにはいかないので機種選びが重要になってくるという理屈です。ちなみに、たまたまというか私が現在使用しているノートパソコン、IBMのThinkPad535のキーボードを紹介します。手前の三つのキーボードが若干手前の方にせり上がっているのがおわかり頂けるでしょうか。他にも、このキーボードは配列も均等で変形されたキーもなく、これからお話しする入力法を試すには最適ではないかと思います。ほんと、手前味噌だとは思うのですが(^^;)、このノートを使っていたからこんなものを書く気になったというのが正直なところです。
★ローマ字は頭の中で二度考える
今のところ、どのような状況でも環境に左右されない入力方法は「ローマ字入力」でしょう。インターネットの普及で、ホームページのURLをアルファベットで入力する場合も多いですから、キーの位置を覚えやすい英字配列をまず覚えるというのは一番合理的です。それで満足できるのなら、この先を読む必要はありません。慣れの問題と言うよりも頭の中で一度英語に直したものを、再度日本語に直すことが煩わしいとお考えの方もいらっしゃるかと思います。そのような方にはカナ入力の持つ直感性というものを感じていただきたいと思っています。
★二つ覚えるのは大変か
そこで問題になってくるのは、二種類の違った入力の仕方をすぐに覚えられるのかということでしょう。結論から先に申しましょう。大丈夫です(^^)。同じキーボードでも覚える言語が違います。ローマ字入力の場合は語句を打つたびに頭を切り換えないとなりませんでしたが、この場合は入力方法を変えるときだけ頭を切り換えればいいのです。そう考えると簡単に思えてきませんか。
★特に右手の小指の動きは大変
さて、カナ入力と言えば、普通のキーボードにはJIS方式のものしかないといってもいいでしょう。ではそれを覚えるためにはどうしたらいいかって、ちょっと待ってください。皆さんの手元にあるキーボードを眺めていただければおわかりの通り、ローマ字入力ではほとんど使わない数字キーの欄にまでカナが割り振られていますね。これに加えて、右の小指に多くの動きを求めざるを得ないのが、JIS方式の悪いところです。加えてシフトキーを小指で押さなければならないのです。皆さんも指を使ってみておわかりのことでしょうが、小指というのは一番力が入りにくい指なのですね。これは人間工学的に見ても、あまりいいこととは言えないのではないでしょうか。更にもう一つの問題は、前述したように現在ノート型パソコンの中で売れている小型機のキー配列が、右へ行けば行くほどキーの幅が小さくなっているという事実です。細かい作業が苦手な右手小指に、更にデリケートな動きを要求する。メーカー側では基本的にローマ字での入力しかサポートしたくないのかも知れませんが、だったらキーボードにカナ文字を印刷しなければいいのにと(^^;)思うのは私だけでしょうか。
★親指シフトって何だ
親指シフトとは、富士通が開発した日本語入力の方法です。力はあるが繊細さはない親指にシフトを担当させることによって、快適な入力を実現するものです。現在でも富士通製のワープロの一部に採用されていますが、他社の追随がないまま一部に熱心なユーザーがいるものの、マイナーな入力方法に甘んじています。現在では広く普及させることを目指し、親指シフトに準じた入力方法『NICOLA配列』として生まれ変わりました。ただここでは、従来の呼び方である『親指シフト』に統一させていただきました。詳しい説明については、神田泰典さんのホームページへどうぞ。
★現在あるもので大丈夫。そうでなくては薦められない。
ここで私は、皆さんに新たな投資の必要を説きません。こんな事を書くといかがわしい商売みたいですが(^^;)、現状のハードをそのまま使いソフトもフリーソフトでOKです(ここで紹介するマックのソフトはシェアウェアです)。この、いまあるもので移行できるというのが最大のポイントなのです。ということは、将来的な面に置いても当分は安心なのですね。
★スペースバーが短くなったのが福音
昔からの常識と言うことで言えば、スペースバーとは長いものというのが相場でした。ノート型では大きさの都合上、仕方のない部分があったのかも知れません。しかし最近はデスクトップのパソコンに付属するキーボードでも、スペースバーが短くなっています。その代わりせり出してきたのが「無変換」「変換」(マックの場合は「英数」「かな」の各キー)のキーで、これを快く思っていない人も多いのではないかと思います。しかしこのことが親指シフトにとっての福音となったのです。親指シフトではホームポジションで常に両手の親指に、キーが届いていなければうまく打てません。図らずも、この種の問題がスペースバーが短くなることによって作業状況が改善されたのです。
★キーボード変換ソフトをインストールする
親指シフトキーボードがなかなか普及しないということから、オアシスでない機種でも親指シフトが利用できるように考える人が多くいるわけです。ウィンドウズでは優れたキーボード変換ソフトが出ていますので、お金もかからないことですしとりあえずそれを使いましょう。これならば挫折したとしても金銭的な損失はないわけですし。私が使っているものは日笠健さん作の「親指ひゅんQ」というフリーソフトです(ウィンドウズだけでなく、ウィンドウズCE用の「親指キュン」というソフトもあります)。マッキントッシュではサードパーティから専用のキーボードとドライバソフトが出ているので、より早く打ちたい方はそちらを使ってらっしゃるようです。しかしシェアウェアになりますがキーボード変換ソフトがあります。noryさん作の「Nickey」です。マックの場合、I−Macのキーボードはとても親指入力をする人にとっては使いやすそうで羨ましくもありますね。時期発売が噂されている新型ノートもあんなキーボードだったら、それだけで購入候補に入ってしまうような気がします。
ソフトについては、親指シフトホームページの方にまとめられていますので、そちらから入手するようにしてください。
★専用のキーボードよりも今のキーボード流用がいいわけ
別に負け惜しみを言っているのではありません(^^)。専用のキーボードというものは特化している分つぶしがきかないんですね。サードパーティも商売ですから、この先ずっと生産が保証されているのではありません。このような不確定要素を残しながら使い続けるよりも、現状のキーボードで覚えてしまった方が将来的にはいいのではないかと思うのですが。専用キーボードでないとキーの位置がわからないので不安だということもあるでしょうが、わざわざ親指シフトを選ばれるわけですから、キーボードを見ないで打てるようにならなければ仕方がないのではと私は思うのですが。むしろ練習の時から手元を見ない癖がつかない分、いいのではないでしょうか。
★キーボードをカスタマイズしよう
キーボードを流用するについて、一番の問題はキー操作の操作感が違うということですね。これについては日本語変換ソフトのキーカスタマイズを操作しましょう。まず「無変換」「変換」キーに割り振られている機能を削除しましょう。これでキーボードは親指シフトに変化しました。あとはキーボードの役割を変えてしまうユーティリティで、細かい変更をして仕上げます。これらの作業によって、相当使いやすくなるはずです。たまたま私の使っているノートはデスクトップに近いキー配置なので特に変更は加えていないのですが、一つだけ困っていたのが日本語変換システムの切り替えのキーアクションでした。通常は「Alt」+「半角/全角」ですが、これを右側の「Alt」キーだけで一発入れ替えが可能なフリーソフトがあります。ウィンドウズ用の「AltIME」というCHOMBOさん制作のものです。
★簡単な方法で、すぐに打てる方法があるんです
たまたま近所の本屋さんに行ったら、まさかあるとは思わなかった親指シフトについての、タイピングのやり方が書いてある本が置いてありました。と、言っても大したことが書いてあるわけではありません。繰り返し反復練習をすることで、指に覚えさせてしまおうというやり方なのですが、なかなかよくできています。ちなみにこのやり方を使って、私は正味二日間ぐらいで早くはありませんが打てるようになりました。とりあえず集中的にやることでしょうね。この本は、他にローマ字とJISかな、英文タイプの打ち方まで解説されています。
キーボードを3時間でマスターする法(日本経済新聞社)
ISBN4−532−04547−9
はっきり言って、将来のことは誰にもわかりません。そんな中で最良の選択がウィンドウズキーボードをそのまま使っての親指シフト入力だと思うのです。このことについては、私がキー入力に慣れてくるに従って書くことも増えてくるのではと思います(^^;)。この件についてのご質問などありましたら、ぜひぜひお寄せください。
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