2011.5.21 石原女史のお見送りまで

 

 昨日の夜ふかしがたたり、寝覚めのいい朝というわけにはいきませんでしたが、何とかホテルの朝食をいただき、身支度もそこそこに石原さんがチェックアウトするのに合わせてホテルに向かいます。フロントで石原さんを呼び出してもらい、無事チェックアウトした石原さんと一緒にホテルを出ました。さすがに昨日の状況で、石原さんはホテルの朝食を食べられなかったということで(^^;)、ホテルからすぐそばにあった喫茶店に入店し、私はコーヒーを、石原さんはモーニングを頼むことに。入ったらいきなり全座席のテーブルがゲーム機と兼ねているといった形態の店で心配になりましたが、意外にもコーヒーの味はそこそこでした。

 小浜さんは午後からなら付き合ってくれるということで、それまでの時間をつぶすにはどうしようかと考え、新都心にできた沖縄県立博物館・美術館へ行くことにしました。たまたまその日は美術館と博物館の通常展示が無料開放されているという情報をインターネットで得ていたので、てっとり早く時間がつぶせ、観光にもなるということでこちらの独断で決めさせていただきました。

 新都心はさまざまな施設やショッピングセンターが立ち並んでいますが、モノレールの「おもろまち駅」からそうした施設へ行くためにはかなり歩かなければなりません。私一人ならモノレールを使うところですが、昨日からの強行軍で疲れが残っているであろう石原さんに長く歩かせるのは酷なので(^^;)、タクシーで博物館前までつけてもらいました。そう遠くはなかったこともあり、料金もそれほど高くはありません。博物館と美術館が併設された入口にはやはりというかどこかの中学校であろう修学旅行の一団と遭遇しましたが、何とか座って休憩できる場所を見付け、小浜さんと連絡を取ります。とりあえず無事に博物館に着き、中をウロウロしているので着いたら見付けてくださいと言って電話を切りました。美術館の常設展示には修学旅行生の姿はほとんどなく、石原さんと二人でしゃべりながら移動していると周辺の人たちの迷惑になりそうだったので、早々に美術館から博物館の方へと移動しました。

博物館の自然展示

 博物館は自然ゾーンと歴史ゾーンに分けられていて、全て見るのにはかなり時間がかかります。写真のようにそれらしい自然が再現されていて見どころは満載です。それでも丹念に一通り見ながら、沖縄の歴史についての展示の方へ移動し、島唄自体の展示はないのかと見たところ、出口付近の展示内にようやく一つ見つけました。屋嘉節の歌詞が7番まで書かれたボードがあり、カンカラ三線の展示とともに登川誠仁さんの歌声が館内に流れていたのでした。終戦後、屋嘉に作られた捕虜収容所で生まれたこの唄は、缶詰の空き缶とありあわせの棒をつなぎ、パラシュートの紐で弦を張ったという、収容所で手に入るものだけで作られた三線です。現在は沖縄土産としてカラフルなものが多く売られていますが、実際に作られたものは当然ながら地味なものでした。

 そんな感じで登川さんの歌を聞いていたところ、ここで小浜さんと合流することができました。時間はちょうどお昼ご飯時だったので、小浜さんの車でおすすめのお昼を食べられる店へ向かうことになりました。小浜さんは現在は御自身のお店を閉店され、充電中ではあるものの、将来的にはまた沖縄で飲食店を開店したいということで、今回はその調査を兼ねて小浜さんの興味あるお店へ向かうことに。しかし、目的のお店がなかなか見つかりません。新都心周辺で、住宅地の中にお店があるということで、カーナビもないので、小浜さんの記憶だけが頼りだったのですが、結局最初の目的のお店は見つからず(^^;)、入ったのが健康志向のバイキングレストラン「健康ダイニング 万菜」(http://www.kenkou-banzai.jp/index.html 那覇市おもろまち3−7−26 098-941-7755 ランチ営業11:30〜15:30 ディナー営業18:00〜23:00)へ。健康志向とは言いながら、肉類や炭水化物を中心にがっつりと食べてしまいました(^^;)。それでも、普通のバイキングレストランと違ってヘルシーな沖縄料理も多く置いてあり、観光客の方が利用されるにはなかなか面白そうなところです。一通り食べ終わり、ドリンクを飲みながらまったりしていると、コンサート当日の打ち上げで一緒だった、糸満市の安里さんが石原さんが沖縄を離れる前にぜひ会いたいということで、私たちのところまでやってきてくれました。

 私たちが沖縄を離れてから出た琉球新報に安里さんのコラムが掲載されていて、後日小浜さんからそのコピーをいただいたのですが、私が通っていた竹中労さんの主催する月例セミナー「風の会」の全身である「ルポルタージュ研究会」へ通われていたとのこと。仕事の合間をぬってきたということで、わずかな時間しかお会いできませんでしたが、なかなか私も石原さんも沖縄へ行くことはできないわけで、わざわざ時間を掛けてやってきていただいたのは実に有難かったです。

 安里さんとお別れした後、小浜さんが気をつかってくれ、せっかく沖縄までやってきて、海もまともに見ないで帰るというのはどうかということで、空港に近いところの海を見ながら石原さんの帰りの飛行機の時間まで付き合ってくれることに。途中、糸満の道の駅で小休止し、県の特産品を売るスペースの中でジューススタンドがあり、そこでさとうきびをそのまましぼったジュースが飲めるということでいただきます。何か入れるのかと思って見ていたら、本当に生のさとうきびだけを機械で搾るだけなのでした。一杯150円のジュースは、のどの渇きをすっと取ってくれるような爽やかな甘さの飲み物で、べたっとくるようなくどさはありません。天然のものをしぼるだけでこれだけのものができるとは、なかなか侮れないものがありますね。

さとうきびジュース

 沖縄の海を満喫とは行きませんでしたが、それなりに沖縄らしさを感じることはできたと思います。そのまま小浜さんの車で空港に行き、仕事終わりで駆けつけてくれた尚子さんと合流し、石原さんを見送ることに。羽田空港に着いてからのことも心配ではありましたが、後日お葉書をいただき、お元気でその後も過ごされていることを知り、安堵しました。

 まさに風のごとく沖縄へやってきて、帰って行った石原さんと別れた後、小浜さんは明日主催ツアーのための予習があるので先に帰られ、尚子さんも別の用があるということで空港でそのまま散会となりました。私はモノレールでホテルへと戻り、その日は飲みに行くことはせず、ホテルでぐっすりと眠りました。


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