5万円ノート NetBookを評価する

 

大きさ比較1

大きさ比較2

  2008年はいわゆる低価格ノートパソコンがようやく形になって出てきた年でありました。発展途上国への支援ということで100ドルパソコンというコンセプトにわくわくしていたものの、実際にコンパクトにまとめられたノートパソコンが日本国内で低価格で出せるのか疑問視されていた方も2007年にはまだまだおられたと思います。しかし、ASUSが出したEeePC(一枚目の写真の左側にある白いノート)が49,800円という戦略的な価格で2008年当初に出てきた時は相当興奮しました。ハードディスクでないSSD4GBで、サイズの小ささゆえ画面も7インチ、キーボードも打ちにくいなどの事はありましたが、その後、日本を含めた各メーカーがNetBookという規格の中、後追いでさまざまな製品を出したことからもその影響はうかがうことができます。これを書いている時点で、2008年中に出たものの中では最後発と思われるエプソンダイレクトのEndeavor Na01 mini(一枚目の写真の右側の黒いノート)と合わせて、自分なりに評価をしてみたいと思います。


低スペックノートの存在意義

 一号機が出てからのスペックの進化は実に驚くほどで、SSD4GB、7インチ液晶のEeePCのスペックはもはや時代遅れといった趣です。ちなみに、これを書いている2008年11月現在、同様のスペックを持つEeePC701は最安値を探すと3万円そこそこで買えてしまうほどです。今買うならば画面も8.9インチ、大幅に駆動時間が伸び、SSD容量も増えた901の方がいいような気もしますが、これにはこれでいいところもあります。

 まず、上の写真を見てわかると思いますが、その取扱いやすさというのがあります。サイズも小さく、軽いということは、ちょっとした調べものにも重宝します。エプソンのノートは画面の大きさとともにキーボードの打ちやすさを追求しているため、ちょっと大きいかなというシーンがあることも事実です。さらに、ハードディスクより衝撃性に強いSSDを搭載しているため、それほど神経質にならなくても使いこなせるということもあるでしょう。そして、もう一つ、私がポイントとして挙げたい事は4GBというメモリ容量にあります。

 現在、普通に販売されているパソコンは、安いものでも高容量のハードディスクを搭載していて、多くのファイルを中に入れておくことができます。ただ、日常持ち運ぶパソコンにさまざまな書類を入れたままにしておくということは実に危険であるとも言えるのです。通常のWindowsXPでもぎりぎりといった容量の中で、それなりのアプリケーションも入れるということになると、さすがに無理があります。私は最初からその辺は割り切って、ネット上で閲覧したり、ネット内で完結するものだけを入れるだけにしています。これならば車の中に置きっぱなしにして盗難にあったりしても、重要なデータを失わなくて済みます。もちろんそうした使い方には外でのインターネット接続環境があるかどうかというのが問題となっていますが、通信料金に納得できるならば、家電量販店で売っている100円(近ごろは本体5円などという一頃の携帯電話のような価格で売っている店もあり)パソコンとして買うというのも一つの手でしょう。こうした用途はEeePCが発売になった当時のコンセプトであったように思いますが、いざという時のバックアップ機としてもあると便利ではあります。また、本体内部のメモリはDVDディスク1枚にバックアップ可能だというのもメモリが少ないゆえのメリットではないかと思います。今後、4GBのモデルは中古としてもかなりの数が出てくると思いますが、どんどん価格は下がってくるでしょう。中途半端なスペックのマシンよりも、ここまで思い切ったコンセプトのマシンはそれなりの用途が残っていくでしょう。

Endeavor Na01 mini をメインマシンとして使う

 2008年11月に発売されたエプソンダイレクトのNetBook Endeavor Na01 mini は、普通のノートパソコンをそのまま圧縮したような形状をしています。キーボードは多少のタワミがあるもののEeePCのようにタイプミスが連発されるような事はありません。この文章もNa01 mini で入力していますが、ストレスもほとんどなく膝の上で打てています。ハードディスクを160GB搭載し、サイズも大きめということで、当初のコンセプトとはずれているような気もしますが、それだけ多くの人が、それまでの小型パソコンは高額だという状況には頭を悩ませていたことが想像されます。

 今回、このノートを購入するにあたり、私は今までのデータを流し込んで、メインマシンとして使おうと考えました。というのも、数あるメーカーの中で、エプソンダイレクトのアフターサービスは定評がありましたし、このマシンでも追加料金はかかりますが、故障・落下の両方に対応した安心パックが購入時に設定されていて、3年間は安心して使えるという事で購入を決めました。今あるデスクトップのハードディスクの容量が40GBということで、容量的にはほとんど問題がなく、私がパソコンを使っていて行なっている作業で、それほどCPUに負担を掛けるようなものはないということも一つあります。ただ、画面の解像度が小さいので、広い作業領域が必要な場面ではデスクトップを使うことがあるでしょう。

 作業環境を小さいノートに移してみて思うことは、さまざまな外部機器の接続が簡単になったということです。当然の事ですがデスクトップは固定されてしまっているので、パソコンのあるところまで行ってから作業しなければなりません。私の場合、携帯電話でスケジュール管理をし、スマートフォンに住所録やメモ書きなどのデータを蓄積しているのですが、今まではいったん外部めもりに出力し、同期を取っていました。これはこれでバックアップされる媒体が増え、安心する材料でもあったのですが、どのデータが新しいのかという問題もあり、すんなりと機器を繋いで同期できる今の形によって、かなり楽になりました。ただ、ハードディスクの内容が壊れてしまう危険性もありますので、ポータブル形のハードディスクに重要なデータはバックアップを取り、その内容をデスクトップと同期するといった体制を作っています。

Endeavor Na01 mini の簡単なレビュー

 まず大きさについてです。エプソンのサイトでは、新聞を四つ折りにしたサイズとありますが、それよりは若干小さめです。サイズ的にはスペックではかなり厚いような感じがありましたが、実際には最厚部の表記ですので、それほどの質感は私にはありませんでした。重量もそこそこで、何しろ付属のACアダプターが小さく持ち運びやすいというのがポイントが高いです。

 エプソン独自の特徴として、アフターサービスの良さというのは書きましたが、付属品としてリカバリCDが付属するというのもメリット大です。とりあえず外付のCDがあれば復旧できますので、そういう点でも安心だと言えます。いったんパーティションを切り直して(製品の初期設定は1ドライブとなっています)システムをインストールし直したいようなニーズにも合います。また、メモリもディスクも小型のプラスドライバを使えばそれぞれ二本外してすぐにアクセスできます。私は保証期間内にはアクセスしない派ですのでこのままで使いたいと思いますが、将来高容量のSSDが安く供給されるような事があれば、中味を換装するのも面白いでしょうね。

 キーボードについては、その大きさとともに、刻印された文字が大きいので、特に数字の入力がやりやすいという感じです。サイズの関係上.小さくなっているのはカナの「め」「ろ」「む」、記号の「[」「\」の5つで、私の入力上関係するのは「め」のキーだけです。左上が「Esc」キーになっていて、その下が「半角/全角」キーになっているので、キー入れ替えソフトでCaps Lock キーとCtrlキーとともに入れ替えて使っています。小型キーボードの場合、それぞれのセッティングがあると思いますので、キーボード入れ替えソフトは必須でしょう。入力効率についてはほとんど問題なく、こうした問題がクリアされなくてはメインとして使えませんでした。例によって親指シフト(Nicola)での入力効率をはかるため、「変換」「無変換」キーに家具用の滑り止めパッドを張っています。スペースキーが小さく、これら親指シフトに使うキーの間隔が狭いため、親指シフト化して使いやすいということもこのノートを選んだ一因です。他のメーカーのものと違って、直接お店で触れないというディメリットはあるかと思いますが、キーボードについてはさまざまなレビュー通りであったと言えるかも知れません。また、タッチパッドはごく普通のもので、奇をてらっていない分好感が持てます。

 NetBook全般に言えることですが、そのスペックがほとんど変わらないため、その差というのを探すのが難しくなってきています。今まで述べてきたものの他に、バッテリー持続時間もポイントですが、メーカースペックでは約3時間とのこと。個人的にはむしろ、6千円台で純正の予備バッテリーを購入できるというメリットもあります。長時間1つのバッテリーで運用したい方には向かないと思いますが、国内メーカーで値段もそこそこ、普通のノートパソコンのような使い勝手を実現したこのモデルは、動画を見たりゲームをやったりしないならば、購入候補になるまとまったマシンだと思います。これ以降、さらに魅力的なものが出てくるとは思いますが、いわゆる道具としての安心感がありますので、これからも長く使っていこうと思っています。(2008.11.29)


 

モバイル第一主義へ戻る

ホームへ

ご意見、ご感想をお寄せください

mail@y-terada.com