これが、ニュートンの一般的な画面です。通常は電源を入れるとノートが表示されるようになっていて、そこに手書き文字、テキスト文字のどちらでも入力する事ができます。しかも、一度入力すれば消去の操作をしない限り消えることはありません。ここでは、Newton MessagePad 130を例にとって、その魅力及び、きわめて興味深いアプリケーション「Mandal-Art」についてご紹介します。
アップルコンピューター自体がいろいろありまして、今後PDAを出すことはないと思います。それでも、ペン入力を基本とした電子手張的デバイスはこのニュートンが初めであり、さまざまな周辺機器を利用することで機能を拡張できたというのも、これが初だと思います。
今考えてみると、このニュートンの研究がそのまま行なわれていて、人材の流出がなければ、今マイクロソフトが出しているタブレットPCよりも使い勝手がよくなっていたでしょうに。
ニュートンのスタッフはそこから別れた人たちによりPalmPilotを生み出し、そこから更にVisorのHandSpring社を興し、もともとはNewton用の入力方法だった変形アルファベットの入力が生まれました。Palm自体もSonyのクリエとして進化していますし、その元はNewtonであるということも言えるわけです。
ただ、画面にペンを走らせ、ペンアクションによって削除や移動などをメニュー操作なしに行なえるという思想は今なお色あせていません。いっそのこと、アップルもニュートンに関する権利をどこかに売ってしまって、そこから新たな展開があればいいのにとは今でも思っています。これだけパソコンに関する技術が進歩しても、日本語を画面のどこに書いても認識され、更にそれをペンアクションで編集できるような端末は出ないでしょうね。普通のパソコンを操作したことのない人が使いこなせる端末にするためには、特別なメニューが必要ないものが好ましいのですが、まだまだ人の方にパソコンに合わせて努力させることが続くということなのです。(2003.4.10)
本日、1998年8月22日はある天文現象が起こる日です。しかも、今世紀中には最後という現象です。それはなんと、日蝕なんですね。実はニュートンを起動した日に世界中のどこかで金環食を含む日蝕が起きた日にはその様子をシュミレートするごとく、太陽が欠けて元へ戻るというスタートアップアニメーションが現れます。もし、手元にニュートンを持っている方がいれば、日付を変えて起動し直してみてください。
そんなわけで、ニュートンといえばニュートンの望遠鏡と単純に連想されるのか、天文関係のソフトもあります。これは最近、新宿のニュートンショップで購入したのですが「Star Chart」という星座早見ソフトです。また星座の部分をタップすると、その星座の説明が出てきます。下にあるような画面なのですが、なかなかの出来映えで、天文好きな私としてはとっても気に入ってしまっているのです(^^)。(98.8.22)
アップルがニュートンの開発を凍結し、鳴り物入りで登場したMessagePad2100の発売中止の発表をしてから、かなりの時間が経ちました。今まではそれほどの影響はありませんでしたが、ここ数週間のうちにちょっとした騒動が起こっています。今年のマックワールドエキスポでは日本語対応のMessagePad2100が発売されるとのことで、かなり話題になり、すごい数の予約が入ったようです。それが今になって、発売元である株式会社エヌフォーから本体の確保が難しくなり、予約の一部について予約をキャンセルするというお知らせが6月23日付でありました。
現在でもMessagePad2100の英語版の入手は難しく、このお知らせによってMessagePadを入手できないのではと考えた人達は、比較的安価なMessagePad130の購入に走ったようです。その結果、現状ではMessagePadそのものがほとんど入手できないということになってしまいました。
私の場合はもうすっぱりと最新機種の購入はあきらめ、納得の上前機種を購入したのですが、もう少し待てば安くなるだろうというような色気を出していたら購入できなくなるところでした。逆に、ハードの価格が高すぎるため(188,000円(^^;))待ちの体制に入っていた人にとっては悔やんでも悔やみきれないことでしょう。
事実は事実として謙虚に受け入れるしかないとは思うのですが、これも利益を出さないと存続できない企業の宿命でしょうか。しかし、利益云々というなら、日本向けに早くから技術を投入していればこんな展開はなかったような気もするわけで。近いうちに出るという携帯マシンに期待すると多くの雑誌で書かれていますが、現状では国産のミニノートが機種によっては10万を切って売りに出されているという状況で期待が持てるのか。甚だ疑問ではあります。(98.7.1)
基本性能からいうと、ノートに住所録、そしてスケジュール管理といわゆる電子手帳と呼ばれる物は確実にこなすことができます。バックアップソフトとケーブルが本体と一緒についてきますので、データの保全も万全です。また、アップルコンピュータの製品と言うことで、Macintoshしか対応していないイメージを持たれる方もあるかもしれませんが、Windows95用のバックアップソフトとケーブルも付属しています。また、アプレットと呼ばれるアプリケーションを追加して使うことができるというのも、国産の電子手帳とは違った魅力の一つです。
あとひとつ、ハード的なことでの特徴を挙げておきますと、ケーブル接続でプリンタとつないで印刷が可能だと言うことです。マック純正のプリンタなら、ドライバが内蔵されていますのですぐの使用が可能。Hewlett
Packard社のマック用プリンタでも、ドライバをインストールすれば、同じように印刷ができます。Windows用のプリンタについては、別売りのパラレル変換器を使用すればほとんどの場合、印刷ができるようになります。現在は高画質のカラープリンタが格安になってきていますので、古い型のプリンタが埃をかぶってしまっているかもしれません。そうしたプリンタを復活させるのには、ニュートンとのセッティングが非常にいいアイデアなのです。
これまでは、ニュートンのハード的な面について書いてきましたが、実は多くの人は、そうした価値以上の物をニュートンに見いだしています。価値観の差はあるでしょうが、魅力的なスタイリング。マックと同じようにワンタッチでごみ箱へ書類を移動させて消去するというアクションの面白さ。大きさゆえということもあるでしょうが、画面が大きいためメモやスケッチを描きやすい使いやすさ。こうしたことを感じてもらうためには、やはり実機に触っていただきたいと切に思うのですが、なかなか売っているお店も限定されてしまいますし、ご存じの通りアップルが今後の製造を中止してしまったということもありますので、大変残念に思っています。もし、これを読んでいる皆さんの中で、オフなどで実際にお会いする場面がありましたら、可能な限りデモをさせていただきたいと思っていますので、遠慮なくおっしゃってくださいね。
いきなり、Mandal-Artと言ってもわからない方が多いと思います。左の画面をご覧になると、画面を9つに分ける線が引いてあって、その中にいろんなことが書かれています。実際は、最初からこのように全部が埋まっているわけではありません。まず、真ん中に、これから考える内容について記入します。見ていく順番として、ひらがなの「の」の字を書いていくようにするのが良いと言うことなので、真ん中すぐ下の「あなたの好きなモノは?」をタップ(ペンでその部分をタッチすること)します。するとこの部分だけが真ん中に移動し、残りの8箇所は空白に変わります。そこで改めて、自分の好きなモノを考えて、回りの空白部分(これをセルといいます)を埋めていくのです。どんなものについても、答えを8つ考える。またペン操作で真ん中を除くセルの移動が自由にできますので、どうしても8つ埋まらないときや埋まっていてももっといいものがあるのではと考えた時は、移動してみます。そのような行程を繰り返すことによって、今まで考えつかなかったような新しい考えを産み出すというのがMandal-Artの真骨頂なのです。8つ答えを出しても、さらに深く考えたい場合には、更なる階層化が可能ですから、その項目を中心においてまた8つの空白のセルを作り、それをまた埋めていきます。別に堅く考える必要もありません。ゲーム感覚でセルを埋めていくことで時間つぶしにもなるし、普段使わないところの頭も使えるし、このアプリケーションを出先で使いたいがためにニュートンを購入する人もあるぐらいです(ちなみに、マッキントッシュ版は発売中、Windows版はもしかしたらもう発売されているかもしれません)。これを読んで興味を持たれた方は、今泉 浩晃著・オーエス出版『マンダラMEMO学』という本が出ておりますので、参考になさってみてください。 |
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