車中泊のための持ち物考

 

 車中泊というのは、文字通り車の中で寝ることです。キャンピングカーではなく、普通の車の中で快適に寝るため、さまざまな工夫をするわけですが、まず車を選ぶ段階で最適を追求できるか決まってしまう部分があります。軽自動車で快適に泊まるためには、少なくともワンボックス車かワゴンRのように大人が足を伸ばして寝られるだけのスペースを作れるかが鍵となります。ここでは、そうした車を導入されたと仮定して、最小限の投資でより大きな効果を目指すため、揃えたい装備について個人的な提案をしてみたいと思います。自分が趣味で揃えているものはありますが、ここでは極力必要最低限なものということで絞って紹介したいと思います。(揃えたいものとして重要と考えるものを赤字で示していますので参考になさってください)

 

その1 快適に寝るための装備

 

 テントでの就寝と違って、車の中で過ごすということになると、居住空間が制約されることはあるものの、雨の心配をしなくてもいい、設営・撤収の手間が全くないなどのメリットがあります。快適に寝るための装備はキャンプ用の装備とかぶる部分はあるものの、キャンプはしないで車中泊のみという方は、あえて高いお金を出してキャンプ用品を揃える必要はないでしょう。ただ、夏の暑さ対策として、サイドバイザーの付いていない車は、雨の心配をせずに少しだけ窓を開けて寝るというワザが使えませんので、純正であってもなくても、ドアの上部に装着するサイドバイザーを導入すべきだと私は思います(窓全開に網戸というパターンもありますが、キャンプ場での運用ならまだしも、不特定多数の人が出入りする道の駅などでの利用は防犯上の点から個人的におすすめしません)。それでは、ここからオートキャンプへステップアップも考えつつ、用途別に紹介します。

 

1 マット

 

 まず第一に、何を準備するかを考えるとき、一番最初にそろえるべきものは車内のデコボコを吸収するマットが重要です。マットというと、ホームセンターやスーパーでも売っている「銀マット」がまず思い浮かびます。いろいろ便利なものもありますが、とりあえず自分の身長より大きい銀マットを購入して、シートの隙間を埋め、どのような寝心地かまず確かめてみましょう。私の場合はそれに加えて長い座布団をホームセンターで購入したり、板状の折りたたみコンテナなどを利用し、それで済ませています。キャンプ用のマットも空気を入れるもの、丸めて保管するものなどさまざまなものがありますが、車に載せられるだけのスペースと相談して追加すればいいでしょう。とにかく、この部分だけは翌日の行動に影響を与えるだけに、ケチケチすべきではありません。収納サイズと快適さとのバランスを考えると、自動膨張式のエアマットがキャンプにも転用でき便利ですが、少々高価なのがネックです。むしろ布団用のマットレスが敷ければ、下手なキャンプマットよりも快適な事は確かです。車ごとに作られたオーダーメードのベッドを検討する前に、インターネットで「車中泊 キャンプ マット」などのキーワードで検索するとさまざまな特徴を持ったマットや、車内の段差を埋めるためのグッズが出てきます。ご自身の懐や車載スペースと相談の上、自宅での寝心地に近いものの組み合わせを是非探してみてください。その後、高価なマットに移行したような場合でも、銀マットを切って段差の大きいところに補助的に使うとか、外から覗かれないように窓枠の形に切って使うなど、さまざまな用途があることも覚えておいて損はありません。

 

2 目隠し用グッズ

 

 ゆったりと寝られるだけの床を確保したら、次に車内を個室化するためのグッズを揃えましょう。フロントガラス部分には100円ショップでも売っているサンシェードを流用すればいいですし、サイドを保護するカーテンもカー用品売場にはありますが、私の場合はそれも100円ショップで手に入れたミニカーテンを使って作っています。100円ショップにはすだれやつっぱり棒、洗濯ロープや洗濯バサミなども売っていますし、工夫次第で目隠しは何とか作れるのではないかと思います。冬の車中泊の場合、カーテンだけでは外からの冷気をさえぎることができないので、銀マットをウィンドウのワクの形に切ってはめ込むなどの対応をされている方もおられます。ただ、完全に外から見えないようにしてしまうと、不審者や自殺と間違えられる可能性もありますのでそのへんはほどほどにしておいた方がいいかも知れません。私の場合は、全てを銀マットで囲わないで、一部のみカーテンで覆っています。外からの寒さは重ね着や氷点下対応の寝袋、湯たんぽの導入や寝具を増やすことによっても対応可能です。

 そうして、外からの覗き見をシャットアウトしたものの、外灯の光がまぶしかったりアイドリングの音がどうしても気になるような場合は、アイマスクや耳栓も用意しておいた方がいいかも知れません。長時間の運転の疲れを取るように工夫された、めがね型の冷却ジェルパッドをアイマスク代わりに使うのも一つの手です。これも100円ショップで揃うものです。

 

3 寝具

 

 運転している車の中といっても、さすがに寝る時には着替えたいものです。普段使っているパジャマでもいいかも知れませんが、トイレなどで外に出る時、人の目が気になることもありますから、スウェットやジャージなど、動きやすい服装を用意しておきたいものです。もちろん、今使っているものの流用でも十分です。また、靴の代わりにサンダルスリッパを常備しておくと便利でしょう。そして、寝具ですが、これも初めての場合、あえて新しく買う必要はないと思います。夏の車内はかなり暑いですから、少し大きめのバスタオルをタオルケット代わりに使ってもよし、タオルケットをシーツ代わりに使ってもいいかも知れません。春や秋の場合でも、そんなに出掛けないなら、その都度毛布や掛け布団を持っていけばいいわけですから。個人的には安い封筒型の寝袋を買うくらいなら、毛布を一枚もっていく方が応用がきく分便利ですし、家に余分な毛布があるならお金もかかりません。そうはいっても、毛布一枚だけでは寒いような場合もあるでしょう。そのような場合、車に常備しておくものとして、毛布の上にもう一枚掛けるシートがあればだいぶ違います。アメリカMPIのオールウェザーブランケットは、コンパクトにまとまっていて保温力もあり、耐久性もそこそこで、応用範囲も広いアルミシートです。災害用によく売っているアルミシートとほぼ同じ効果を持つものですが、災害用のものと比べて、いったん広げたら同じようにたためなくなることはありません。将来シュラフを買った場合でも、その上から掛けたり、雨具やタープの代わりになったりとさまざまに使えます。値段は2千円前後ですので、安いシュラフを買うよりもいいのではないかと思います。ただし注意したいことがあります。オールウェザーブランケットはその断熱性のゆえ、内部が結露することが多々あります。布団代わりに使う場合、素肌には直接かけないように気を付け、多少濡れてもすぐ乾くような材質のものの上に掛けましょう。特に注意したいのが、ダウンシュラフとの関係です。化繊シュラフは多少濡れてもすぐに乾きますが、ダウンシュラフは水に濡らすと極端に性能が落ちますので、ダウンシュラフの上に掛けたい場合はシュラフカバーを使うように心掛けてください。そうしたシートの用意もない場合、大変古典的な手ですが、服と服の間に新聞紙を入れるという手があることも覚えておいてください。新聞紙は防寒用だけでなく、炊き付けにもなります。車内に隙間があればちょっと多めに押し込んでおきましょう。さて、マミー型のシュラフの場合、人によっては窮屈で寝付けないような事もありえます。車の中で複数の人数が寝なければならないような場合、車載スペース上の都合でできるだけかさばるものは避けたいような場合ははシュラフ使用も仕方ないでしょうが、そうでない場合は車中泊を始める当初はあえてシュラフにこだわらなくてもいいのではないかと思います。そうしてしばらく布団や毛布で我慢しておいて、シーズンオフのバーゲン時期に基本性能のしっかりした小さく収納できるシュラフ(ダウンでなくても化繊で十分だと思います)を狙うのも一つの手です。

 

4 寝床周りの快適グッズ

 

 ここで紹介するものは、必須というものではなく、あれば便利というものです。就寝の際、夏の暑さとともに蚊の襲来が心配な方は虫除けグッズの用意が必要でしょう。最近では電池式の蚊取り器もありますし、スプレー式で長時間効果が持続する虫除け剤があります。必要に応じて日常使っている虫除けグッズをこうしたものに変えてしまえば、そのために用意する必要はなくなります。蚊取り線香は車外で活動する時には有効ですが、車の中では匂いが付いてしまうためおすすめできません。また逆に、冬の寒さを補助するものとして、湯たんぽやカイロなどがあります。湯たんぽを使う場合、お湯の調達が必要になりますが、それができない場合は複数のカイロを低温やけどに注意しながら使った方がいい場合があります。カイロについては使いすてのものもいいですが、ベンジンを利用したハクキンカイロの方がランニングコストが低く、ゴミも出ません。寒い時にはマミー型シュラフの足元に入れておいて湯たんぽ代わりに使っていらっしゃる方もいます。同様のものに木炭燃焼式のカイロがありますが、燃料が固形のため、ベンジンのように可燃性がない分、車内に入れっ放しにしておくには有利であるものの、あくまで外出時の暖を取るにとどめ、布団の中で使うのは控えるようにしましょう。

 また、寝床周辺で明かりが必要な場合、懐中電灯の類を用意しておいた方がいい場合があります。全般的に従来の電球のものよりも、LEDを使ったタイプの方がメンテナンスもそれほど必要なく便利です。車内全体を広く照らしたい場合はランタンタイプのものを、スポットライト的なものが必要ならば個人的にはヘッドランプをおすすめします(全く明かりがない中行動する場合、緊急時トラブルで夜間作業する必要に迫られた場合など両手のあくヘッドランプが便利です)。ちなみに、私が使っているものがともにGENTOSの製品で、ランタンはEX-737NX、ヘッドランプはGTR-731Hです。どちらも単三電池で動き、2つの製品で使用する単三電池は合計4本(737NXは3本、731Hは1本)で済みます。充電式のエネループなども使えますので、ランニングコストも気になりません。より大型のものとしてEX-777XPという単1電池3本で動くものもあります。こちらも単3電池を単1に変えるスペーサーを利用すれば単3電池での動作が可能ですが、アルカリの単一電池でも100円ショップで手に入りますので、日常使わないのなら光量の高いこちらのモデルの方がいいかも知れません。電源周りについては改めて解説しますが、持ち物の中で電池を使うものがあれば、どの製品も同じ電池が使えるものを選んでおいた方が後々便利に使えます。なお、同じGENTOSから単三電池4本で使え照度も高いEX-757MSが出ました。こちらはスイッチ一つで懐中電灯としても使え、使い勝手のいいモデルです。こうしたLEDランタンは停電や災害時にも役に立ちますので今挙げたメーカーのものでなくても一つ用意すると便利でしょう。

 寝具のところでも書きましたが、布団や毛布から寝袋にステップアップしたい場合、どうすればいいのでしょうか。車中泊だけでなくキャンプもするような場合、やはり寝袋を視野に入れて寝具選びをすることになると思います。一口に寝袋といってもいろいろな種類があります。封筒型かマミー型か、ダウンか化繊か、また使用する季節によっても求めるものは違ってきます。お金があれば夏用と冬用のシュラフを別々に揃えればいいのでしょうが、なかなかそうもいかないでしょう。私の場合、最初に買ったシュラフはたまたまアウトレットセールで安かったマミー型のモンベルのスーパーストレッチバロウバッグ(化繊シュラフ)の#4というものでした。カタログスペックによると快適睡眠温度は3℃で、これだけでは冬の車中泊では寒さを感じます。重ね着やオールウェザーブランケットで巻く事で対処しようと思っていたのですが、その後、同じモンベルの寝袋としても使えるインナーシーツであるクローアップシーツがディスカウントされて売られていたのでゲットしました。このクローアップシーツはかなり薄めの化繊シュラフですが、夏の暑い時期にはジッパーを開けて掛け布団として使えますし、少々の肌寒さなら単体でシュラフとして使用もできます。寒い時期には本来の使い方であるインナーとして使えば、ある程度の寒さには対応可能でしょう。さらにこの上にシュラフカバーやオールウェザーブランケットを併用することで、冬用シュラフの代わりになるのではないかと目論んでいます。これはあくまで私の例ですが、用途の違う複数のシュラフがあれば一人だけでなく複数でも使えますし、まとめて使うこともできます。家族で寝袋を使いたいと思われている方は、同じものを人数分揃えるのではなく、シーズンオフのバーゲンセールなどをうまく活用しながら、応用の利くような構成にしておくのも一つの方法だと思います。

 この項の最後に、夏の車中泊についても書いておこうと思います。高温多湿の日本では、寝苦しい夜にはかなり苦労することになります。他のサイトでは網戸を取り付け風を通すことによって快適に過ごせるというようなやり方も紹介されています。しかし、ページの最初に書いた通り、網戸があるとはいえ窓を全開にして就寝するというのは、防犯上危険性が伴います。それだけでなく、少々でも窓を開けることによって、周辺の騒音が簡単に車内に入ってきてしまいますから、混雑した道の駅などでは暑さとともに周辺の車のアイドリング音などの騒音で寝られないような状況も考えられます。いちばんいいのは真夏には出掛けないということなのかも知れませんが、ある程度締め切った中で多少なりとも涼しく過ごすためにどうすればいいのかというのも考慮すべきかも知れません。いろいろと対策は考えられますが、手軽なのはコンビニなどでロックアイスを購入し、水まくらに入れて使うとか、クーラーボックスに入れた氷を使って冷やした冷却ジェルパッドなどを体にあてるなどの方法。また、車内でポータブルバッテリーと併用して扇風機を動かし、水にぬらしたタオルと一緒に置いておき、多少なりとも涼しい風を送るなどの方法、冷却ジェルシートや竹シーツをマットの上に引く方法などがあります。ただし、どの方法を使っても車内ではエアコンの中で寝るような快適さは追求できません。むしろ、日々の生活の中でエアコンが要らない生活をしながら、夏の熱さに強い体へと変えていくという発想の転換も必要なのかも知れません。

 

 

その2 快適に生活するための装備

 

 ここで言う車中泊は、キャンプではありません。車を停めるのは現状では主に道の駅や高速道路のSAPAが中心になると思います。寝るだけならば問題はないのですが、車内で食事を取ったり翌日の予定を立てたりするために必要なものをここでは考えてみます。

 

1 電源

 

 パソコンを旅に持っていく事は情報流出の危険性を伴うため、難しいことがありますが、パソコンがなくても携帯電話やスマートフォンだけで旅の情報収集は十分にできます。しかし、ホテルなど電源のある所に行かないと充電ができず一日で使えなくなってしまうことも考えられます。そのためのグッズとして、車から電源を取り、USBで出力するアダプターをひとつ持っておくと非常に便利です。私の場合は、カーバッテリーのソケットとUSB端子が一つずつあるものを常時差していますが、USBアダプタなら、それこそ100円ショップでも売っている場合があります。それと同時に携帯電話などの電力供給用コードも100円ショップで揃えておきましょう。携帯電話だけでなく、PSP用のコードやNintendoDS用のコードも売っていますので、必要に応じて確保しておきましょう。特にPSP用のコードは汎用性があるので、少なくとも一つは手に入れておいた方がいいと思います。

 以上の方法での充電は走行中にしかできないところがネックであるわけですが、停車中の車内で携帯電話の充電を行ないたい場合は、外付けのバッテリーを用意する必要があります。車中泊の際の外付けバッテリーというと、大型のものを連想しがちですが、携帯電話やゲーム機程度の充電でいいならば、小型のリチウムイオンバッテリーがおすすめです。評判も高く私も使っているのがSANYOのKBC-L2ASという型番のものです(私の持っているのは前の型)。容量が大きく、USB端子も2つ付いているので、複数の機器を同時に充電できるのも便利です。これで夜充電して、昼間はPSP用の充電コードでバッテリーそのものを充電できますので、組み合わせて使えば旅行中は携帯電話のバッテリーの心配はそれほど必要ないのではないでしょうか。少々値段が高いのが難点ですが、何よりも簡単に充電管理ができるのが気に入っています。また、USBで出力するものとして、単3型の電池を使っているものもあります。同じサンヨーのKBC-E1ASは、出力だけでなくUSB端子を使っての充電にも対応していますので、複数用意しておけば便利かも知れません。また、本体での出力のみにしか対応していませんが、スリムで見てくれもいいKBC-D1ASというものもあります。車での充電ということに限定するなら、車用の12Vを出力する鉛蓄電池を搭載したポータブルバッテリーの利用も考えられます。これは携帯電話の充電だけではなく、車内でノートパソコンや扇風機を使いたいような場合も使えます。小型の鉛蓄電池を買うよりも安く同等の性能を持つバッテリーが入手できてしまうのが不思議ですが、車載スペースがあれば、こうしたバッテリーを併用することでさまざまな作業が可能になります。こうしたポータブル電源にはエアコンプレッサーやバッテリー上がりから脱出する装備が付いているものもありますので、こうした機能に魅力を感じる方は一考の価値があるでしょう。ただ、冷蔵庫を動かすとか電気毛布を使うとか、そういう事はセカンドバッテリーを装備しない場合は考えない方がいいと思います。インバーター内蔵のポータブルバッテリーの中には消費電力の少ない電気ポットなら使えるものはありますが、どうしても冷蔵庫や電気毛布を使いたいという場合は、予算と相談しながら、走行中充電可能なセカンドバッテリーの装着をするか、バッテリーはポータブルタイプにとどめ、ガスカートリッジ(コンロとしての利用だけでなく、ガスカートリッジで動くクーラーボックスもあります)やその他の装備とうまく併用するなどの方法があります。なお、キャンプ場以外での火気の使用というのは非常時以外にはやめた方が無難だと個人的には思います。キャンプ場を利用しての旅をお考えの場合は、むしろバッテリーを使わない方がキャンプらしい雰囲気が出ていいでしょう。

 

2 食のための装備

 

 今や日本国中、高速道路のサービスエリアや道の駅にもコンビニエンスストアがある今、食のための装備などせずともいいという考えもあるでしょう。これから紹介する装備は旅行中に費用を節約するためのものという風にご理解いただければ幸いです。

 火気や電気を使わないで温かいものを温かく保温し、冷たいものを冷たく保冷するためにはいろいろと工夫が必要です。お湯ならばステンレス水筒を用意し、お湯を高速道路のパーキングなどになる給湯器で補充すれば、それで十分だと思う方もいるでしょう。小さめのカップが一つあれば、インスタントコーヒーなどを入れ、給湯器を使えば高速道路限定ながらいつでも温かいコーヒーが楽しめるのでそれでいいといえばいいでしょう。カップは100円ショップでステンレスとかメラミン樹脂のもので調達すればほとんどお金はかかりませんが、将来的にステップアップしたいような場合、違う大きさのカップを重ねて収納できるタイプのカップがおすすめです。キャンプ用品メーカーのスノーピークから出ているチタンマグは220・300・450・600などの大きさがありますが、とりあえず小さい方から揃えていくのも楽しいものです。私はダブルではなくシングルタイプで揃えていますが、大きいものはそのまま火にかけられるので、湯沸し用としても使えます。同様の使い方ができるものとして、キャンプ用品として、シェラカップと呼ばれる食事・炊事など万能に使える容器がありますが、どちらがいいかというのはお好みでということになるでしょうか。

 ステンレス水筒は大きいものの方が保温性が高いので、飲み物だけでなくカップ麺や味噌汁などを食べる際などにもお湯の供給源として利用価値は高いと言えます。容量的には1リットル前後あたりが便利でしょうか。あまり大きなものだと、お湯を沸かして水筒を一杯にするのに苦労します。水筒に付属するカップも購入の際比較検討する材料になるかも知れません。メーカーによっては取っ手の付いたマグカップのようなものが付いている場合があり、別にカップを用意する必要が省けます。キャンプ場や火事の危険のないところで使うという前提でお湯を沸かすための手段としては、家にある可能性が高く、ランニングコストも最小限のカセットコンロをとりあえずおすすめしておきます。もちろん、キャンプ用のコンロの方が小さくて火力も安定しているわけですが、キャンプ用のコンロは小さい分、専用のガスカートリッジを使うことが日々使わない人にとってはネックになります。また安全性の点について、風に飛ばされにくく倒れにくいというメリットも併せ持っています。もちろん、キャンプらしい雰囲気を出すために一式揃えることも悪くありません。特に車にカセットコンロを載せるスペースがないような場合、カセットコンロにのせられない大きさのキャンプ用のコッフェルを主に使うような場合は、小型のガスコンロを用意しないとならない場合もあります。キャンプ用に考案されたものとして、市販のガスカートリッジをそのまま使えるような製品もあります。さまざまな選択肢の中から選ぶというのもいいかも知れません。お湯を沸かすやかんやなべなどは、まずは家にあるもので試し、家になければ100円ショップで調達するのもいいでしょう。車内スペースに限りがある場合、小さくコンパクトに沢山の鍋や食器を収納できるキャンプ用品を検討する必要が出てくるかも知れません。これもお金をかければきりがありませんが、まずは既存のもので試し、不便なところがあればキャンプ用のものを入手されるのがいいかと思います。

 あとこれは、季節によっては不要となる場合もありますが、クーラーボックスもあると便利です。これも家にあるものをそのまま車に持ち込んで利用するだけで、冷たい飲み物を飲んだり食事の材料を入れておくということだけでなく、現地で買ったおみやげを傷めず持って帰れたり、先述の冷却ジェルパッドをクーラーボックスの中に仕込んでおくことによって、休憩時の快適さに差が出てきます。クーラーボックスもさまざまなタイプがありますが、折りたたんで収納できるソフトタイプや、場所は取るが保冷力が高いハードタイプに分かれます。車での移動ということですと、もし用意がなく出発したような場合でも、現地調達が夏の時期ですと可能です。そうしたことを見越して用意せず出発するというのも一つの方法でしょう。

 私の場合、小さめのソフトクーラーボックスを常備し、必要に応じてつり具メーカーの比較的保冷力の強いハードクーラーボックスを持っていくようにしています。値段は予算に応じてまさにピンからキリまであります。ハードタイプでも、値段に応じて断熱材が発泡スチロール・HPウレタン・真空パネルとその素材の違いによって高額になっていきます。6面すべて真空パネルのものですとかなり高いので、私は底の部分が一面だけ真空パネルであとはHPウレタンという、ダイワのタフクール2000(容量20リットル)を選びました。サイズ的には丁度後部座席の空いた部分にしっかり収まるので積載もそれほど神経を使わずに済みます。長期の旅行の場合は、強力な保冷剤やクーラーボックスがあったとしても、中の温度はだんだんと上がっていくわけですし、コンビニで随時、冷凍飲料や板氷などを補給すると割り切ってしまえば、ホームセンターの安いものでもいいという考え方もあると思います。ただ、クーラーボックスを椅子の代替として利用しようと目論んでいる場合、安いものだとフタの部分がやわで、腰掛代わりに使えないということもあります(現状で使っているタフクール2000はその辺の強度については未知数です)。椅子代わりにクーラーボックスを使いたいという方は、釣具屋さんでいろいろと相談してみるといいかと思います。

 さまざまな準備をし、車内で食事をとるような場合、実は気を付けなければいけないことがあります。車の中というのは当然ながら食事をするために作られたスペースではないので、容器などを倒してこぼす危険性がどうしても生じます。そういったリスクを最小限に抑えるため、なるべくしっかりとしたフラットな場所を作るために少々大きめのトレイを用意しておきたいものです。

 

3 お風呂セットなど

 

 車の中だけではどうしてもできない事といえば体を洗うことです。もちろん、ウェットティッシュなどで手や体を拭いたり、水のいらないシャンプーを使えば車内で済ますことはできるかも知れませんが、折角の車中泊ですから、立ち寄りの温泉あたりでゆっくりしたものです。多くの立ち寄り温泉ではシャンプー・リンス・ボディーソープなどの装備が完備しているところが多く、用意するのはタオルくらいでいい場合もありますが、カランもない共同湯や、自然の露天風呂などを利用するような場合、洗面器と石けん、必要に応じてシャンプー・リンスなどを用意しておいた方がいい場合があります。特に、洗面器はバケツ代わりとして、ちょっとした洗い物用にも使えるので、100円ショップで確保しておいても損はありません。それと、これはお風呂とは関係ありませんが、歯磨きセットもこのお風呂セットと一緒にしておけば便利です。なお、自然が残る露天風呂や、山あいの温泉の場合、環境保護のため合成石けんの使用を控えるようお願いされる場合があります。そういった場合は極力石けんの利用は控えるほうが賢明ですが、どうしても使いたいような場合は、純石けん分がほぼ100パーセントの石けん(石けんカスが分解され、自然に還ると言われています)を用意するようにしましょう。

 

4 情報入手のためのツール

 

 何回も行っているところに行くならいいのですが、まだ行ったことのない場所へ行く場合など、事前に用意する地図・ガイドブックや、現地で調べるための手段が必要になる場合があります。車での移動の場合、道に迷うことを避けるためにも安いもので十分なのでカーナビを装備しておくべきだと思います。カーナビがあれば地図はいらないという事はあるかも知れませんが、カーナビには周辺ガイドをリアルタイムに見ることができないということがありますので、地図やガイドブックなどと併用すれば効率的に行きたいところに行けるようになります。カーナビはそれこそピンからキリまでありますが、私はソニーのゲーム機であるPSPに別売のGPSアンテナを付け、カーナビソフトを加えて利用しています。導入にはポータブルカーナビ程度かそれ以上の出費がかり(データを入れておくためのメモリカードも必須)、渋滞情報が取れないということと、ジャイロ機能がないなど最新のカーナビの機能と比べると劣ることが多いですが、地図の内容と機能が更新された新しいナビソフトは7千円前後でPSPソフトを販売しているところで入手可能です。また、旅先でハードの不具合があった場合、中古でもよければすぐに代替機を確保可能という技が使え、本体電池のスペアも純正にこだわらなければ安く入手可能なこと、さらに外部電源供給用のコードなどは100円ショップでも手に入ったりします。PSPそのものでワンセグテレビは見られませんが、別売でチューナーがありますし、インターネットは無線LAN経由で簡単な調べ物なら単体で行なうことができます。パソコン経由で音楽や動画などをメモリカードに流し込めば、旅先でも楽しめるなど単なるカーナビ以上のこともできますので、私はしばらくこのカーナビで頑張るつもりです。カーナビと併用する紙の地図として、私は昭文社のツーリングマップルを必要に応じて持参していますが、吹き出しに出ている周辺スポットの一行コメントが便利です。ただし、情報は常に更新されていますので、ガイドの記載から携帯電話・スマートフォンを使って検索し、最新の情報を手に入れるようにしたいものです。その際、携帯電話の料金プランはある程度パケット料金がかかりますので、普段からデータ通信を行なっていないような場合は、旅行の際だけ料金プランを変えるなど事前に準備はしておいた方がいいでしょう。おおまかな地図でいいなら、高速道路のサービスエリアや道の駅などに置かれているもので現地の情報を得るという方法もあります。まるっきり予定を立てず、行きあたりばったりの旅の場合はこちらの方がいい場合もあります。行きあたりばったりで情報を得る場合は、その土地の図書館や古書店などで郷土資料を手に入れる(図書館の場合は該当部分をコピーしてもらう)という手もあります。それこそ、ガイドブックには載っていない地元の人も知らない名所旧跡を知ることができるでしょう。

 そうしたツールとは別に、刻々と代わる現地の情報や天気予報などの入手用に携帯ラジオを一台用意しておくと便利です。車で移動中はカーラジオでいいのですが、宿泊場所へ着いてからエンジンをかけるのはやはり迷惑なので、それ単体で動くラジオが必要になる場合があります。携帯電話のワンセグで十分と思われる方もいるかも知れませんが、ワンセグの受信感度は市街地と比べどうしても弱いため、放送そのものが受信できないような場合もあります。ラジオの場合はアナログのため、電波が弱くても何とか音声を把握できるところまで受信可能ですが、ワンセグはデジタル放送のため、ある一定の信号の強さがないと全く見られなくなってしまうのですね。前述の電源のところで書いた、電池の統一を図るため、単三2本で動くポケットラジオなら安く見付けることができるでしょうし、防災用にと考えるならば、手回しハンドルで充電する防災用ラジオという選択もあります。ラジオについては別のページで私の所有しているラジオを紹介していますのでそちらも参考になさってみてください。もちろん、どうしてもテレビから情報収集をしたいと思われる場合は、ノートパソコンなどに繋げるUSBタイプのワンセグ受信機に外付けのアンテナを付けるなど、工夫しだいによっては現地で楽しめるやり方もあるのですが、御自身の予算と相談して装備を増やしましょう。

 最後になりますが、インバーター付きのポータブル電源があるような場合、ノートパソコンそのものを持ち運ぶということも選択肢の一つとなるでしょう。ただし、最初にも書いた通り、さまざまなデータの入ったパソコンを持ち運ぶことは、もしそのパソコンが盗まれたら情報流出の危険があるということも考えておいてください。最近は中古のネットブックなど格安で手に入れられるものもありますので、個人データなどを全く入れず、インターネット接続のみに特化させた専用パソコンを用意するという手もあります。

 

その3 トラブルに対処するための装備

 

 ここまでは車中泊のための装備について書いてきましたが、実はそれ以前の問題として、安全運転のため、車のトラブル時のための最低限の装備も当然必要になってきます。ここでは、スペアタイヤジャッキ付属工具が積んであることが前提で書きますが、まずは一度、皆さんのお車の中を調べてみることをおすすめします。中古車の場合工具が足りなかったり、スペアタイヤの空気圧が不足している場合もありますので、まずは十分にチェックしてみましょう。

 事故がないことを前提とすると、車のトラブルとして一般的なものは、バッテリー上がり、キー閉じこみ、パンク、オーバーヒート、砂や泥、雪の路面でのスタック、ガス欠(これが意外とある)などが考えられます。これらのトラブルは自分だけで何とかなるものもありますが、どうにもならない場合もあるでしょう。一つの考え方として、トラブル時には自分で何とかしようとせずロードサービスに任せるという選択も当然あります。ただ、ロードサービスを呼んだとしてもやってくるまでにかなり時間がかかりますし、自力で多少でも何とかなるなら、そのための準備をしておけばタイムロスを最少限に抑えることができるでしょう。とりあえず予備キーは多めに作っておき、少なくとも一つは身に付けておくように心掛けたいものです。キー閉じこみをしてしまってあたふたする事がなくなります。

 まずはバッテリー上がりの対策ですが、予防のためにもアイドリング時にはエアコンを切るなど、バッテリーに負担をかけない走行をまず心掛けることが大事です。昼間、トンネルから出てライトを消すのを忘れてしまい、そのまま車を停めてしまったなんていう失敗もなくはありません。不運にもそうしてバッテリーを上げてしまった場合、全く車の来ないところではどうしようもありませんが、駐車場の中で他のドライバーに助けを求めるような時、やはりブースターケーブルは持っていた方がいいでしょう。自分のために使うだけでなく、バッテリーを上げている車を助けることもできます。あまり小さいものだとケーブル本体が熱くなってしまって危ない面もありますが、ないよりはましです。すでにブースターケーブルが車に積んである状態でも注意は必要です。というのも、長い時間のうちケーブル部分のゴムが劣化し、切れることによって電線部分がむき出しになってしまうような状態になってしまうことがあります。定期的に点検して、損傷のある場合は新しいものに交換しましょう。あくまで自力で脱出したいというような場合は、車のバッテリーに繋げられるケーブルの付いたポータブル電源の利用もいいかも知れません。ポータブル電源は応用範囲が広く、携帯電話やパソコンなどの電源としても使えますので、予算に余裕があれば検討してみる価値はあるでしょう。

 パンクなどのトラブルで、スペアタイヤに交換しようとしたら、肝心のスペアタイヤの空気が少なくなっていたという話はよく聞かれます。空気入れがあれば自力で空気を入れられます。手や足を使って入れるものや車から電源を取って入れるコンプレッサー、そしてポータブル電源にコンプレッサーがセットされているものもあります。空気入れはあまり安いものだとちょっと強く押したり踏んだだけでも壊れてしまうようなとんでもないものもありますので、自転車用のものでも大丈夫ですのでしっかりしたもの(バルブの形状にも注意)を選びましょう。その際、必ず空気圧を計るチェッカーも同時に用意しましょう。車のドアの部分に空気圧の数値が出ていますので、その数値以上に入れすぎないように注意して下さい。

 オーバーヒートはとにかく冷めるまで待つしかありませんが、冷却水が極端に少なくなったような場合のためには常備しておきたいものです。水は2リットルペットボトルのもので十分です。故障の時だけでなくケガをしてしまった部分を洗い流したり、純粋に飲み水や調理用としても使えます。ペットボトル入りの製品は数年の保存が可能なので、旅の途中で使ったらすぐに補充するなどの体制を整えておけば安心です。

 舗装路のみを走ったり、冬には出掛けない人には関係ないかも知れませんが、タイヤが埋まって抜け出せなくなるような場合のために、埋まったところを掘り出すスコップや滑らないようにかます毛布・ダンボールなどの用意もあるといいでしょう。また、自力ではどうしようもない時には牽引用のロープを使って他の車に引っ張ってもらうという手段もあります。冬の装備(タイヤチェーン、チェーン装着のための工具、手袋など)も秋口ぐらいからは出掛けられる方は用意しておいた方が慌てずにすみます。

 また、ガス欠については、早めの給油ということしかないのかも知れません。半分くらい燃料を消費したらすぐに給油というような感じで早めに燃料を満たしておくことが基本になるでしょう。ガソリンの値段を気にしてスタンドを何軒も素通りしているうちにスタンドがなくなってしまったということにならないようにしたいものです。ガソリン携行缶もありますが、大きくて場所も取り、車中泊の装備の邪魔になるものでもありますから、なるべくは早めの給油で乗り切りたいものです。それでも不安だという方のために、1リットルと量は少なめですが、ガソリンを缶詰にした防災用品があります。携行缶と比べれば場所を取りませんし、スペースはないがどうしても持っておきたいというような方はこういうものの搭載も考えてもいいかも知れませんね。

 あと、トラブル全般について、それが一般道ならまだいいのですが、高速道路で止まってしまった場合、話は深刻になります。実は私はそういう体験もしていまして、高速道路上でタイヤがパンクしてしまい、ロードサービスの方を呼んでスペアタイヤに交換してもらったのですが、たとえ路肩であっても高速道路上に停止したり、路外に出たりすることは大変危険なのです。ロードサービスの方は作業される方とは別に車を出して下さり、発炎筒をたいたり非常停止版を出すなどして、後方の車に故障車両が止まっているということを作業が終わるまで伝えてくれていました。これは一歩間違うと走行車両に轢かれてしまうかもしれない命がけの作業です。つくづくロードサービスの有難みを感じたのですが、自分の車の発炎筒のチェックと、三角形の停止板は常備しておこうと思い知りました。

 車のトラブル対策は考えればきりがありませんが、あと私の車にのせてあるのは、先の尖った車内から脱出用のハンマーがあります。不幸にして海や湖に落ちてしまったり、ガード下などで大雨による冠水被害にあったような場合、水圧でドアが開かない場合があります。そんな時、このハンマーを使って窓ガラスを叩き割り、脱出するためのものです。願わくば、こんなものは使わないようにしたいものですが、最低限自分の命を守るものだけは車に常備しておきたいものです。

 最後に、トラブルの種類は違いますが、いわゆる犯罪被害に遭わないための用意について書いておくことにします。車中泊の旅だけではないですが、できるだけ隙を見せず、もしもの時に対応するための心掛けはしておいた方がいいでしょう。就寝時にはできるだけ外から覗かれないようなセッティングをし、車のロックを忘れずにして、同じように車中泊をしている車のいる場所でするように心掛ければ、夜中に忍んでくるような輩はそうそう進入しては来ないでしょう。問題は辺りに誰もいないような状況で襲撃されるか、集団で襲われるような場合が考えられます。その際には110番への通報が必要になりますが、恐らくほとんどの旅立とうとされている方は携帯電話を持って旅行されているでしょうから敢えて用意するものではありません。ただ、警察に通報する場合、現場を特定できるだけの情報がなければなりません。警察に通報するなどということは私にも経験はありませんが、道の駅などであれば説明は簡単ですが、そうではない場合、カーナビなどで場所を特定し、その結果をメモにして書いておくなどの対策も必要な場合もあり得ます。もう一つの対策として、極限状況にある状況を記録しておくグッズについて紹介しておきましょう。最近では交通事故の際の忠実な目撃者としてドライブレコーダーを付けることも多くなりました。そうしたものの中には、手動でスイッチを押すことによって音声付きの動画として周辺で起こった出来事を記録する機能を持ったものもあります。いざという時には通報と同時に記録しておけば、その後の対応に役立つ場合もあるでしょう。そこまで予算がないような場合でも、ICレコーダーを手が届く範囲においておけば、音声のみですがしっかりした記録が可能です。犯罪被害については考えればきりがありませんが、くれぐれも現地での行動について慎重に行なうようにしてください。


 

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