記事一覧

テレビデジタル化の大問題

 久しぶりにテレビの事について書こうと思います。といっても、具体的なテレビ番組を挙げるというわけではなく、これからしばらくしてやってくる、テレビのデジタル化についてのお話です。昨今のニュースでは、デジタル放送を録画する場合、10回のコピーを許すか許さないかでメーカーと著作権団体が対立し、新しい製品が出ないのではという危惧があるようですが、今回の話はもっと根元的なデジタル放送の不具合についての話です。いろいろなところで話題にはなっているものの、またそぞろデジタル放送移行間際になって問題が噴出し、大きな騒動になる可能性を孕んでいます。これから書くシナリオについて、皆さんはどう思うでしょうか。続き

 201X年、日本のとある地方で大地震が起こったとします。日本国内を震源とする巨大地震が起こった場合、さまざまな問題はあるものの、揺れが到達する直前にテレビやラジオを通じて発信される緊急地震速報が流されることになっています。果たして揺れの起こるどれくらい前に地震が起こるのがわかるのか、それは震源と自分の住んでいる地域との位置関係にもよるのではっきりとした事は言えませんが、多くの人はテレビで地震速報を見ることになるでしょう。その場合、ラジオなら揺れの前の対処が可能であったのに、テレビしか付けていなかったため、揺れがおきるまで緊急地震速報が出たことがわからないという可能性があるのです。それが、デジタル放送自体のタイムラグの問題です。

 たまたま昨年末、年越しの際にデジタル放送でテレビ番組を見ていて、カウントダウンのタイミングを完全に逃してしまいました(^^;)。地上デジタル放送・BSデジタル放送は約2~3秒、ワンセグでは約4~5秒地上アナログより遅れて放送されるという事実を知ったのはその後で、その時にはもうテレビは時刻合わせとしては使えなくなるのかと思ったのですが、今回図らずも中国での大地震が起き、日本で大地震が起こった場合についてどうなるのかと思うと、とりあえず地上デジタルに移行するのは待った方がいいのではないかと思うわけです。

 もちろん、2011年のアナログからデジタルへの完全移行にともなってこのタイムラグ問題が解決するというのならいいのですが、現状ではその見通しは全く示されておらず、こんな状況のまま地上デジタルへ移行するということになったら、テレビに依存した生活そのものを考え直さなくてはならないとしみじみ思います。それにしても、これだけ国内で生活をする人にとって重大な事を指摘せずにデジタル化を急ぐ人たちは、その生命を危険に晒しかねないという意味で非常に悪質だと思います。少なくとも小売業の方々は現場で製品を販売する際には、こうした消費者に対する明らかに不利益な事実を説明しなければならないでしょう。現在、携帯電話会社や保険会社、食品会社など消費者に対する不利益を被る可能性のある情報の説明責任が求められていますが、今回の問題はそれらと同等の重大性があり、政府の説明が待たれるところです。とりあえず、個人的にはぎりぎりまでアナログで粘るつもりです。しばしば、テレビを時報代わりに使ってきた私にとっては、こうしたタイムラグは許せないからです。

トラックバック一覧

コメント一覧

アイシティkofu URL 2008年05月30日(金)20時33分 編集・削除

このタイムラグの問題は全く知りませんでした、今PRされているような状態で使うつもりが無いので地デジ無関心(^_^;)
「デジタル放送 タイムラグ」で検索したら衆知の問題だったようです、データの圧縮伸長の時間とか。
私はテレビ、ラジオの時報は使わずインターネットの時刻で更正しています。
地デジが本当に役に立つならテレビ画像・音声信号とは別にインターネットの
http://ja.wikipedia.org/wiki/Network_Time_Protocol
と同期させて処理出来るはずでしょう。映像に関係なく時報を表示・信号音出力するとか。
だから地デジは本来IP(再)送信で送受信することが一番良いのだと改めて感じました。その為にも全国ブロードバンド化推進の国策なのだと理解していました。
5月15日~6月15日は情報通信月間、各地で地デジ関連のイベントも多いはずです。メーカーやCATV各社のセールスイベントだけやってるようではテレビも終わりか。

管理人 2008年05月31日(土)01時03分 編集・削除

今回のタイムラグ問題をもう少し突っ込んで考えると、デジタル化されたテレビ上では決して予期せぬハプニングを放送できないという事でもあります。

生中継を利用した電波ジャックというものはあまり見ていて気持ちのよいものではありませんが、今そこで起こっているものをありのまま映すことがテレビでできなくなったとしたら、このメディアの特性が失われることになり、同時にその魅力も半減してしまうのです。元々テレビというのは単なる箱なのですから、テレビ自体に幻想を持つことが野暮なのかも知れませんが、大きな力の前に個人がなし崩し的に従っていく流れというのはこれ以上進んでいってほしくはありません。

ただし、デジタル化が強引に行なわれたとしても、個人の力によるインターネットでのライブ中継やテレビ番組自体の(当然コマーシャル部分はカットで)再配信を根絶することは不可能でしょう。状況によっては、テレビというメディア自体がインターネットの方に吸収される可能性だってないとは言い切れません。マスメディアの権力を失墜させる契機にデジタル化が一役買ったりしたらそれはそれで面白いですね。