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自殺の社会学

 学校内でのいじめにより、それを苦にして自殺する子供たちがなくならないのはなぜでしょう。テレビのコメンテーターはしたり顔で「とにかく死んではだめだ」と叫ぶのですが、そんな事を言われてもこうした傾向が減ることはないでしょう。その前に、今日本で自殺はどういう状況で起きているのかということを考える必要があるのではないでしょうか。続き

 「自殺」という項目でネット検索をすると、情報を網羅したWikipediaが引っかかります。そこによると、日本の中高年(主に男性)の自殺が増えていることが紹介されています。2004年の統計で見ると、20才未満の自殺者が589人に対し、40~59才の自殺者は12,874人もいます。多くの原因は経済的な理由であるといいますが、どちらにしても追い込まれてしまった人たちだろうと思います。借金だけでなく、職場でのいじめ、リストラなど、強い者と弱い者の差が顕著になり、将来が見えなくなっている人たちが安易に死を選んでしまっているという現状をまず考えなければ、子供に自殺をやめろと簡単に言えないのではないかと私は思うのです。それは、子供たちは弱者の大人たちに自分の将来の姿を見、悲観して行動を起こすのではないかと思ったりもするのですね。

 ここのところまたニュースになっていますが、いわゆる郵政民営化に反対したことで刺客と呼ばれた候補をぶつけられた人たちを自民党に呼び戻そうという話があります。これに対し、一年目の議員たちはとんでもないと反対の声を挙げているのですが、こうした一連の流れというのは、まさに強い者についていけば安泰で、そうでなければ簡単に切り捨てられるという今日の日本の社会を色濃く映すようなことになってしまいました。まさに日本の顔である総理大臣が率先して血も涙もなく人を切り捨てたのですから、こうしたニュースを見た大人だけではなく、子供たちにとってもいかに「いじめられない」立場を取るのが重要かというのが大事な処世術となったのです。結果、いじめられている友人がいたとしても、強い者の後ろについて同じようにいじめることで自分の立場を守るような事が当り前に起こるのではないかと思うのですね。これは学校や教育委員会が何とかしようとしても無理でしょう。

 小学生や中学生に自殺する必要はない事をわからせるためには、まずは大人社会のいじめや陰湿なリストラについて一掃し、お金がそんなになくても何とか楽しく暮らしていけるようなライフスタイルをむしろ政府が率先して提供していくしかないのではないでしょうか。とはいっても、政府がそんな事をしてくれるわけもないので、自からなんとかするしかないのですが。かくいう私自身も完全に弱者の部類に入るわけですが(^^;)、特にインターネットから享受する情報によって収入の低さを補っています(^^)。お金がなくても、一人でも何か楽しめることはないだろうかといろいろ考えてみることで、いろんな事が見えてくることもあります。そういう思考回路になれば、少なくとも死のうと考えることは少なくなるのですけどね。特に大人の方々は、まず人生を楽しんでいることを子供に示しましょう。

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