『個人情報保護法』関連ページ

 

その7 もし成立してしまっていたら?

 私自身もこのページをすっかりほっぽり出してしまっていましたが(^^;)、2002年初めのNGOがらみの外務省と鈴木宗男議員の報道を見るにつけ、この時点で個人情報保護法が成立していたらどうなったことだろうということについてしみじみ考えてみました。

 今回問題になった、鈴木議員が外務省や特定のNGO団体に対して発言したとされる内容については、鈴木議員本人が『人権問題だ』と強い調子でインタビューに答えていたことから考えると、本人はすぐに発表したNGO団体や取材マスコミに情報の開示を求めるでしょう。そして当然、報道として世間に出る際に訂正せよと迫るでしょう。法案の成立していない今だからこそ、普通にいろんな話題がテレビ・新聞・雑誌などで出てきますが、この法案ではそうした要求を拒否したら6ヶ月以下の懲役か30万以下の罰金となってしまいます。となると、NGO団体も記者会見を開いて鈴木議員の詳しい行動について発言できたかどうか。さらに、それを取材して報道する立場の人たちも及び腰になり、今回のことに限って言えばたいした問題になることもなく、今まで通りのやり方で外務省は動いていくでしょう。

 これをめんどくさいことがなくなっていいと考える人がいるからこそ、今後の国会で法案が成立してしまう恐れがあります。今回のことで懲りた自民党の議員などは法案成立に向けて決意をしている人もいるのではないでしょうか。いったん継続審議と決まったあと、反対運動も沈静化してきてしまいましたが、今回のことに憤りを覚え、何とかしたいと思っている方。この法案が通ってしまったら、ホームページで国会議員本人のプライベートに関わることを出すだけでも処罰される恐れがあるのですよ。いろんな事がリンクしているというのが社会の難しさなのですが、少なくとも自分たちの発信する発言は自由にしていきたいですね。(2002.1.31)

  

その6 集会に行ってきました

会場の舞台装置 こんなページを開いているということもあって、行こうかどうしようか迷っていたものの、つい出かけてしまいました(^^)。開場が13時で、14時開演。終演が20時の予定という長丁場だったのですが、さすがに大変だったので途中で帰ってきてしまいました。様々な人たちが主張されていましたが、集会の成功が法案を廃案に追い込めるわけではないというのが辛いところです。こういう集会というのは、いかに無関心な人にアピールできるのかが重要なのですが、翌日の全国紙には出てませんでしたね(^^;)。もっとも、新聞自体のこの法案に対するスタンスというのが無視を決め込んでいる感じですから。

 開場では当日出演する予定の宮崎学氏を巡って開場前面のまさにこのステージ前でヤジが飛び交ってシンポジウムが中断したりしてました。もしかしたら乱闘騒ぎになってしまうのかな(^^;)と思いながら見ていましたが、そこまでは行かず、ヤジを飛ばしていた人たちもその後は大人しく別のシンポジウムに耳を傾けていたようです。

 今回の会合に参加したり、この法案に反対している人たちというのは、ある意味バランスが崩れるとそのままダメになってしまうような立場の人たちもいます。参加者の人もステージ上で言っていましたが、普段の言論活動ではかなり辛らつな批判をとばしあう間柄でも、この法案に限っていえば共闘するといったスタンスがある種の人たちに混乱を与えているような気がします。できることならば、なるべくそういうほころびを法案を作る側につけ込まれないように気をつけていきたいものですね。(2001.9.3)

 

その5 これからが正念場

 記録的支持率で登場した小泉内閣も、これからの政策によって評価が変わってくることになるでしょうが、この『個人情報保護法』については相変わらず立法化を狙っているようです。しかし小泉氏を支持していたとしても100パーセント完全に任せるわけでもなし、文句があるならやはり声をたてて反対すべきでしょう。

 というわけで、この法律に反対する多くの人たちが来る9月2日に日比谷野外音楽堂で大規模な集会が行われます。面白いのは、いわゆる左よりの思想の人だけでなく、右側の人たちも参加されるということでしょうか。特にこの法案に関していえば主義思想関係ありません。いかに自分の考えを自由に発表できるかというのが問題になっているわけです。

 で、明細の方は『個人情報保護法拒否!共同アピールの会 』のホームページにありますので、興味のある方はぜひ訪ねてみてくださいね。(2001.8.18)

 

その4 『報道』と誰が決めるか

 全く関連報道がないと思っていたら、急に朝日新聞の社説で取り上げられたのにははっきり言ってびっくりしました。さらに6月5日の夕刊では、社民党の追求によって政府の論調もトーンダウンしてきました。

 それによると、先だって問題にしていたフリーのジャーナリストやルポライターが書いた『報道』についてはこの法案の適用外にするとのこと。しかし、週刊誌などの記事全部について当てはまるというわけではなく、『報道』と認定されたものだけとのこと。

 しかし、一体誰が報道かそうでないか判断するのですかね。例えばこの法案が出てくるきっかけとなった前首相の森喜朗氏の買春問題を報じた噂の真相の記事。これは報道なのか単なるスキャンダルの垂れ流しなのか。森氏の側から見ると報道とは言えないでしょうけど(^^;)、あの時点ではずっと首相のいすに居座ろうとする権力者をその座から引きずりおろそうとする、れっきとした報道であるという意見もあるわけで。

 つまりは、最初に戻りますが、自由な表現であるはずのことを政府側に判定してもらうこと自体に無理があるということ。さらに、今回の修正案では相変わらずインターネットにおける表現については自由を認められなくなる可能性は変わっていません。継続審議という話も出ていますけど、今回の修正がフリーライターを中心とする地道な反対運動に配慮した結果と言うことを考え、こちらも継続して反対の声を挙げていきたいと思っています。(2001.6.5)

 

その3 歪んだ報道の末路は?

 その後の情報によりますと、6月末までにこの法案を成立させることを画策している人たちがいるようです。むろん、それに反対する声も挙がっていますが、依然としてテレビや新聞では報道されません。法案が成立するにしろしないにしろ、このまま黙りを決め込むのでしょうか。

 もしかして、そうしたしかと報道の裏にあるものが今回影響をもろに受ける出版系ジャーナリズムや、個人のフリーライターとか、そういう輩とは違うんだよという特権意識だとしたら、私は今あるところで問題になっているニュースに、新聞・テレビジャーナリズムの未来を見ます。それは、長野県と地元マスコミが主導となっている記者クラブとの対立の構図です。

 いつの頃からかは知りませんが、公的機関の発表をニュースソースとする場合、記者クラブという団体が主催する記者会見というのが行われ、そこで発表なり記者質問なりが行われています。県庁なら県庁、市役所なら市役所に記者クラブの場所があって、クラブ員でないマスコミは記者会見に出ることは出来ません。今回の長野県知事は、記者クラブの存在は認めるものの、記者クラブが音頭を取って他のマスコミを排除するのを許さないということで、それまでの『特権』を排除すると発表したのでした。

 記者クラブ側もこれには反発し、これでは県(この場合は長野県)が会見を主催することになり、県の都合の悪いことについての会見が出来なくなるのではという懸念を表明しているようです。何を今更と思いますね。記者クラブに属しているマスコミはあまりにも『特権』の上にあぐらをかいて、自分たちだけが報道をしているという錯覚をしていることに気がついていなかったのです。田中知事が当選していろんな改革に手をつけている中で、彼らはどうして記者クラブの民主化・オープン化に着手できなかったのでしょうか。そういう形でイニシアチブを取っていれば、そこまで県に報道について介入されることはなかったはずです。

 ここまで書けばもうおわかりでしょう。もし今回、国会でこの法案が通ってしまったとして、安穏として新聞・テレビが同じことを繰り返した場合、さらに厳しい法律的な締め付けが待っているかもしれないのです。ハンセン病患者の行動が政府を動かしたのも、その真摯なる抗議する姿勢あればこそです。後の祭り的に報道したって遅いんですよ。(2001.5.23)

 

その2 なぜ報道されない?

 問題提起をした『個人情報保護法』ですが、これ自体の存在を知らない人というのが結構多いのではないでしょうか。それはなぜかというと、テレビやラジオ、新聞などの報道機関から報告がほとんどないからです。それはなぜかということですが、私も最初これを聞いたときはびっくりしました。

 この法案が審議されていく中で、民間の業者が個人情報を侵害することについて問題にしたのは前回書いたとおりですが、当然のごとく反対の声が挙がったので、こんな条件を付けました。取り締まりの適用除外項目として、「放送機関、新聞社、通信その他の報道機関」を追加したのです。

 つまり、今現在(2001.5.16)この法案について報道していないメディアというものは、『自分のところは大丈夫だからいいや』と考えているのではないかということなのですね。報道機関としての責任ということよりも、自分のことだけを考える身勝手さというか。ちなみに、除外項目からはずれているのは、マスコミの中では『出版』系のものがあります。だから週刊誌のみを持っているようなところは存続問題に追い込まれるため、かなり強い調子で反対の論戦を貼っているのです。一番目立つのは講談社のWeb現代のページですが、残念ながらこういうことが世間一般に広まっているとはとうてい思えません。やはり新聞やテレビが大々的に報じないと。

 その昔、週刊誌などのジャーナリズムは、それまでの新聞社に対抗するような形で独自の立場というのを作り上げました。今回の仕打ちは、まさかその時の復讐ではないのでしょうが、それにしても全く無視しているところが多く、その状況だけで気が滅入ってしまいます。新聞社でも出版をやっていて、週刊誌を発行しているんだから、やはり何らかの声を挙げるべきではないのでしょうか? (2001.5.16)

 

その1 何が問題なの?

 法律の文字だけ読むと、この法律は個人のプライバシーを保護してくれるのだなと読めてしまうのですが、ことはそう簡単なことではありません。

 まず、私たちが暮らしていて、プライバシーのことで問題になることというのは、名簿の流出とかネット関連のデータベースの流出とか、そんなことが考えられます。先日はNTTの職員が顧客の情報を流していたなんてこともありましたし。しかし、この法律では役所とか警察、裁判所などの持つ個人情報に関しての管理については規定対象外としています。で、そうなると規制対象となるのは民間の業者(マスコミ含む)ということになるのですね。

 この法律のすごいところは、違反したものに罰則(六カ月以下の懲役か三十万円以下の罰金刑)があるということです。『個人情報を漏洩する奴にはそのくらいのことをしてもいいんだ』なんて早急に結論をつけないでください。『個人情報保護』という場合の『個人』とは、私のような一般人も当然含みますが、よく新聞や雑誌をにぎわす政治家とか芸能人とか、いわゆる『公人』にも当てはまります。つまり、テレビのワイドショーや週刊誌の記事などで、あからさまにプライバシーを暴くような記事を書いた場合、すぐに処罰の対象になってしまうということです。そうなったらワイドショーも週刊誌もすぐに立ちゆかなくなりますね。スキャンダルが怖い有名芸能人や政治家にとってはいい法律ですが、結果としてお上にたてつく奴は許さんという感じになってしまい、何ともおもしろみのない社会になってしまうような気がするのですが。

 さらにいうと、ネット社会に置いても例外は認められませんから、もし何らかのうわさ話にしても公人のプライバシーにふれ、その逆鱗に触れるような文章を出してしまったような場合、マスコミでも悪徳業者でもない普通の人がこの法律によって罰則を受ける可能性が出てきました。法律を作って規制するということは、速やかに絡め取るようなイメージを抱いていただければよく、本当に他人事ではなくなってくるのです。果たしてこの法律は、現在支持率最高の小泉内閣によって成立してしまうのでしょうか。しばらくの間はここでその経過報告とともに、取り巻く状況の変化についても言及していく予定です。よろしかったら最後までおつきあいの程を。(2001.5.15)


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