漢字直接入力+親指シフト

 

Visorに導入した超絶技巧入力のテキスト

★はじめに

 

 漢字直接入力って何? と問われれば、読んで字のごとく漢字をローマ字や仮名から変換しないで直接キーボードから入力する方法のことです。私の場合、2ないし3ストロークで2000字前後の漢字が入力できるはずですが、全部入力できる程のみこんでいないため、せいぜい今の段階で1000字くらいがいいところでしょう。わざわざそんな事をしなくても、今の日本語変換ソフトは優秀だから問題ないのではと思われる方はある意味正しいです(^^)。というか、わざわざ直接入力することはないですよ。インターネットでこれに関することを検索すると、必ずと言っていいほど、

ストレスなく日本語の入力が、変換しなくても出せるようになる

 というようなことが書かれています。それはそれで正しいことですが、入力のプロになろうとしない限り、ストレスなき日本語入力環境は多くの人が必要としているわけではありません。最初私はそのように日本語の入力スピードを上げようとして漢字直接入力に挑み、見事に散りました(^^;)。今の環境に満足している方ならば、あえて入力方法を変えることはありませんのでその点は誤解なきよう(しつこい(^^;))。では、なぜ私が漢字を直接画面に出すというめんどくさいことにチャレンジしているのかと言いますと、このままだと漢字を忘れてしまうのではないかと思ったからです。

 キーボードで日本語を入力している人でしたらわかると思いますが、優秀な日本語変換ソフトを使っていれば、難しくて漢字が書けないような場合でもどんどん入力ができます。それは確かに便利ではありますが、その分、自分が入力する漢字であっても画面から目で追うのみなので、風景としてはわかっても改めてそれを書いたりどう書くか説明しろと言われた場合、かなりおぼつかない状況になってしまいます。世の中のすべての入力がキーボードからできればいいですが、そうではないことを考えると、ここで漢字をすごい勢いで忘れていくというのは避けたいところです。それが私に漢字直接入力を選択した理由とでも申しましょうか。後で説明しますが、私の利用している方法は学校で漢字を学習する順番で練習していくので、系統立てて練習することができます。また、今使っている親指シフトでの仮名入力と並行してできるように工夫していますので、わからない漢字や難しい漢字については仮名漢字変換を使います。長い時間をかけて使える漢字の数を増やしていければいいと考えていることもあってか、今年の初めから手を再びつけて、今は何とかそれなりに入力できるレベルまで来たという感じです。送り仮名の問題や、人名など従来の日本語変換ソフトが苦手とするようなものは自分で決定できる分ストレスは無くなります。もっとも、漢字力を上げていかないと、とんでもない熟語を創作してしまう危険性はあるわけですが(^^;)。でもまあ、そういうところを乗り込えることで、心配していた漢字の能力は消滅しにくくなるわけですし、目的とすることがそういうことですから、気が楽というものです。

 ただ、しつこく書いておきますが、私のような「親指シフト」かつ「漢字直接入力」での日本語入力をしている方はおそらくこれだけパソコンを使っている人がいても、すぐに数えることができるくらい少ないと思います(^^;)。ですから私がここで自分なりのノウハウを発表してもほとんどの人にとっては「一体何のこと?」と言われるのがオチではないかと思いながらこんなに長いまえがきを書いています。それでも、練習用のテキストが必要なこと以外は、コストもかからずに移行できることですし、紹介しておけば誰かが使ってくれることもあるのではないかという。何か切り株にやって来てつまづくウサギを待っているような話ではありますが、ここまで読んで興味が湧いてきた方は、以下に続くところも読んでいただければ幸いです。

 

★手書き入力からわかること

 

 今はタブレットPCというものもありますが、今後はキーボードから入力するパターンだけではなく、画面に直接入力することも可能になってくるでしょう。手書き入力の歴史は電子手張の走りとも言えるザウルスから始まったと言っても過言ではありません。当時の手書き入力はしっかりと楷書で書き、更に書き順も正しく書かないとしっかり表示してくれませんでした。ザウルスは今所持していませんが、そこから少し進化した手書き認識機能を持つ、カシオのPalmSizePC E-65を現在使っています。この手書き認識は思いの他良く、複雑な漢字もかなり高い精度で認識してくれます。このような、キーボードのない端末の場合、入力の早さ、スムーズさにおいて、ソフトキーボードをペンタッチしながら入力するよりも良く、手書き入力の優位性を示してくれていると私は思うのです。もっとも、それはあくまでも漢字をしっかり憶えていて、かつすらすら誤変換なく入力できるハードやソフトの精度が必要にはなりますが。

 私は長いこと手書き入力に慣れてきたせいか、カタカナの「ロ」なのか漢字の「口」なのか(漢字の方が若干大きめですね)とか、促音の「ー」なのか数字の「一」なのか判断できない場合が目立つものの、まあまあの認識率です。でも、100%の認識率といかないのは、今後も変わらないでしょう。つくづく、キーボードでの入力というのは正確であるとある意味実感できますね。

 

★超絶技巧入力とは

 

 漢字直接入力と一言で言っても、様々な種類があります。T−Code、TUT−Code、G−Codeなどありますが、その中でもしっかりしたテキストがあり、系統立てて学べるものは増田忠士さんの考案した超絶技巧入力が私にとっては一番合理的でした。詳しくは増田さんのサイトを参照して下さい。(テキストは有料です。こういうところにお金を出せるかが、まずは問題だとは思いますが)

 テキストを揃えたら、あとは練習あるのみということなのですが、一つ問題があります。私は今まで日本語入力に仮名入力の一種である「親指シフト(NICOLA)」を使っています。超絶技巧入力はもともと、通常のローマ字入力の不規則な配列を解消するため、独自のカナ配列を使用しており、カナと漢字を含めて完結してしまっています。そのため、せっかく覚えた親指シフトを放棄しなければならないという矛盾に満ちた選択を迫られたのです。

 漢字直接入力の特微は、日本語変換のために変換キーを押さなくても、ローマ字入力で英字キーを押し、いったんはアルファベットが画面に出ても自然と仮名が出てくるように、すぐに漢字が出てくるところにあります。でも、そうしたこだわりを捨てることによって、超絶技巧入力と親指シフト入力は共存させることができます。

 どういうことかというと、単語登録をする要領で、2から3ストロークで入力できる漢字をユーザー辞書に記録させていくのです。そうなると、漢字を出すにはいちいち変換キーを押す必要があり、直接入力のメリットが失われてしまう可能性があります。論より証拠、実際どうかというと、そんなにストレスがたまる程では私の場合ありませんでした。むしろ、仮名はすべて1ストロークである親指シフトで入力できるメリットの方が多いような気がしています。ただ、漢字を入力するためにはキーボードのほとんどすべてのキーを使って単語登録をする必要があり、IMEによっては登録すらできないものがあります。ここらへんは日本語の入力の規則性を追求したATOKは全くだめで、例えば登録することばの最初に記号が来るような場合、ATOKでは登録すらできないのです。逆にウィンドウズ標準添付のIME2000だと何の問題もなく登録できるんですね。同じくウィンドウズCEで使用するATOKポケットでも駄目で、最初から付いている貧弱と言われているIME98 for WindowsCEでは大丈夫という事実があります。普通の日本語入力をWindowsCEで目指している人にとっては、ATOKポケットの導入は必須とも言うべきことですが、漢字直接入力ではむしろATOKポケットが邪魔になるという逆転現象が起こるというのも面白いことではあります。ただ面倒くさいのがいちいちウィンドウズマシンとウィンドウズCEの両方で単語登録をしていかなくてはいけないということくらいでしょうか。でも、そのくらいやらないとすらすらと入力できるようにはならないんですけどね。

 

★継続して使うために

 

 私自身も、2000字以上ある設定された漢字のうち、4ヶ月くらいやってすらすら出せるのは半分ちょっとあればいい方です。しかし、最初にも書いた通り、わからない語句がある単語が出てきたら、かな漢字変換を使えばいいのです。もっとも、そうしたことを続けているだけではいつまで経ってもスラスラ入力することはできません。そのため私は、パソコンとは別のPDAに漢字の出し方の一覧を学習の進み具合と同時に転送しています。この場合、やはり検索の早いPDAがよく、私はPalmOS搭載のVisorのメモに入れています。わからない漢字を検索すると、キーボードのどこをどう押せば目的の漢字が出てくるのかすぐにわかり、例文なども一緒に入れてあるので、一応キー操作の復習ができるようになっています。なお、漢字を出すための単語登録ですが、ウィンドウズ用のIME2000の登録ファイルおよび、IME98 for WindowsCEのdicファイルにつきましては、どちらも親指シフトエミュレーションソフトである「親指ひゅんQ」(ウィンドウズ用)「親指キュン」(ウィンドウズCE用)に最適化されたファイルを御用意しています(CE用の親指キュンでの利用は一部キー操作の違いあり)。興味のある方はメールにてお問い合わせ下さい。

 

★おわりに

 

 パソコンからキーボードを使って日本語を入力するのには、ローマ字入力が最適であるとでも言うかのごとく、今店頭で売られているキーボード入力に関する本はほとんどローマ字入力のやり方を解説したものであり、練習ソフトも同様です。ゲームセンターではそこに不釣り合いと思わせるパソコン用のキーボードがゲーム機にすえ付けてあり、単なるゲームとしてすら認知されたのではと思わせる感があります。私自身、ローマ字入力は今でもできますし、それしかできないという状況ではローマ字入力を使いますが、どちらかを選べるということならば躊躇なく「親指シフト」+「超絶技巧入力」の方を選びます。常に使っているということもあるのかも知れませんが、早く入力できるということよりも、頭の中で思い浮べた言葉をそのまま入力できる快適さ(心地良さとも言えると思いますが)の方が大きいのです。ここら辺のことは、いくら言葉で説明しても、実際に使ってみないとわからないというのがつらいところですね。むろん、今快適にローマ字入力を使っている人を転向させようとか、そんなことは思っていませんよ。入力についてもいろんな選択肢があるというのはいいことです。議論の余地すらないというところに陥らないよう、今あるハードを使いながら今後も快適な入力方法について考えていきたいなと思っています。よろしかったら、皆さんのお考えもお聞かせ下さいね。(2003.5.17)

 

★追記

 大修館書店発行の雑誌「月刊しにか」9月号に『漢字を忘れる日本人』という特集が掲載されました。その中のパソコンと漢字の「ど忘れ」(阿辻哲次)というコラムが私の読んでいる新聞(共同通信だと思いますが)の書評で取り上げられていましたので私も読んでみました。

 昔と違ってパソコンや携帯電話を使うことが当り前になったので、むしろ年をとるに従って書けなくなることはおかしいことではないという指摘はその通りだと思います。しかし、今後について考えた時、これから漢字を学ぶ人たちがどうなっていくのかということを感じました。

 ゲームセンターに行くと、ゲームマシンのコントローラーとして普通のキーボードが置いてあり、ローマ字入力というよりもコントローラーを操作する感覚でキーボードの打ち方を憶えてしまう子、小学校のうちから携帯電話を持ち、メールを打つ中で書けない漢字をキーボードから打って入力してしまう子がいるという状況はもはや今そのものです。学習指導要綱のこともありますし、漢字に対する学習をどのくらいできるのかということもあります。そうなってくると「漢字を忘れる」のではなく、「元から憶えていない」中で文章を書いていくような可能性も高いわけです。そうなれば誤変換や同音異義語が今まで以上にネット上に氾濫することになるのは自然な流れというべきでしょう。漢字の書き取りなんてものは学校を卒業した後にやる人などよっぽど漢字が好きな人だけでしょうし、これからの日本語変換ソフトには、ひらがなで書くだけでどんどん漢字の入った文章に変換してくれるような高度な機能が要求されていくだろうと思います。

 でもそうした人たちの中にも、自動的に変換されてしまう(つまり自分で決定することができない)入力方法に疑問を持つ人がいるかも知れません。パソコンで文字を打ちながら、できるだけ漢字を頭の中に思い浮かべられる方法というのは、やはりこの漢字直接入力だと思うのです。まあ多くの人はローマ字で打つのが当り前であると思っているのでしょうから、阿辻哲次氏のコラムでも一切こうした入力方法があるということも触れられていませんでしたが、できればこういう入力があることくらいは紹介してほしかったですね。多くの漢字を直接出すことは確かに大変ですが、一つ一つ覚えていくことが漢字の再学習にもつながるわけですし。

 これはあくまでも仮定の話ですが、この超絶技巧入力というのはまず簡易化されたローマ字入力があって、その配列のまま簡単な漢字を徐々に増やしていったものです。その学習を小学生あたりからやらせたら、中学卒業くらいにはもう、習った漢字をすらすらと直接キーボードから出せるようになるでしょうね。語学も当然大事ですが、今の世の中、そんなことができるだけで一種の能力として評価されるでしょう。というか、入力することに時間をかけずに他のことに集中できるということは素晴らしいことなんですけどねえ。
(2003.9.9)

 


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