99年10月
- 明石屋マンション物語(フジテレビ・99.10.27)
久しぶりにバラエティらしいバラエティを見たような感じがします。ビックリしたのはその出演者の多さですね。いろんなコーナーがあって収録にも時間がかかったことでしょう。しかし、こんな構成を見せられると同じフジテレビで放送されていたひょうきん族を思い出してしまいます。ひょうきん族はビートたけしさん中心の番組で、さんまさんはあくまでもサブ的な存在でした。この番組を機に、さんまさんがどのようなことになっていくのか、ここから新しい個性が出てくるのか、ちょっと注目してみたいと思っています。
- 3年B組金八先生(TBS・99.10.21)
初回から見られればよかったのですが、金八だから金曜放送だろうと思いこんでしまっていたので、見逃してしまったのです。あんな先生がいたらすぐに辞めさせられているという批判はあるのですが、現在の学校の状況や地域の状況を考えて、いろいろ工夫の跡がありました。
その一つが、中学校に併設されたお年寄りたちのデイ・サービスセンター。番組では中学生の起こす問題だけでなく、老人介護の問題まで金八先生に引き受けさせるつもりなんですね(^^;)。
同じような題材でも、地味ながら放送実績のあるNHK名古屋放送局製作の『中学生日記』と比べると話題性たっぷりの金八先生ですが、これもやはりジャニーズ事務所所属のタレントの影響なのでしょうかね。金八先生を見るときに、いつも感じてしまうのは、感動的な結末を押しつけつつ、しっかりと時代のアイドルの売り込みの場と化している民放局のえげつなさです(^^;)。有名になってスターになりたい少年たちが、一体どれほどの演技をして私たちの心に訴えかけてくれるのでしょうか。まあ、お手並み拝見と言うところでしょうか。
- 電波少年スペシャル(日本テレビ・99.10.9)
モスクワから旅をするうちに運命の一曲を完成させ、日本武道館で一曲だけのライブを行う。そしてそのライブに1万人集まらなかったら即解散という課題を突きつけられた『ブルーム・オブ・ユース』。番組では彼らの旅の足跡を辿りながら、運命のライブの結果を報道するというものでしたが、実は私、事前に結果を知っていたのですよ(^^;)。
と言っても、現地まで足を運んだわけではありません。当日出かけてきた人がネット上でその状況を報告してくれたからであります。それによると、7時半の開演に間に合うように出かけたら、すでに入場者の列は地下鉄の駅の方にまで続いていて、とても入場できそうにないほど人が集まっていたとのこと。それに対する日本テレビのスタッフの対応は全くお粗末なもので、多くの人が諦めて帰っていったということです。
しかし、入場料1000円を取ったライブの後、急遽入場者総入れ替えの二回目を開くことになり、そのライブは只(^^;)。時間的には9時半の開演だったらしいとのこと。問題はそのライブの存在を知らずに、泣きながら帰っていった遠方より来た女の子たちもいたらしいということです。確かに、10月4日(ライブの当日)前のテレビでは、このままでは1万人集まらないと同情を引くような放送に終始していたのですから、呆れて物も言えません。
このページを始めたときに書いた、同じ日本テレビの『ポケットビスケッツ』の署名運動の話がありましたが、テレビの向こうで起こっていることを信じ、無垢な心で声援を送る人たちの心を何と考えているのでしょうか。自費で交通費を使ってやって来て、ライブを見ることもできず帰った子たちの心を、この番組を作っている人たちはどれほど理解しているのか。そういうこととは関係なく、視聴率さえ取れていればいいのでしょうが。
武道館とコンサートということで言えば、30年以上前に行われたビートルズのコンサートでのファンを無視したやり方そのものですね。1000円の入場料で一回目に入った人の数は1万2千弱と言うことですから売り上げが1000万超ということで、更にこの一曲をCD化してしこたま儲けるんだろうから、日本テレビにとってはほとんど元手もかからず(有名タレントでないので、ギャラも節約できる)、子供たちを騙してでもおいしい商売なんでしょうね。
テレビは魔法です。子供たちを洗脳し、なけなしの小遣いをはたかせてまで金をせびる。霊感商法と同様の効果を上げる電(波)感商法とでも言えばいいのでしょうか。一人一人の金額は小さくても、テレビは数千万人の人が見ているのです。その影響力というのは、どんな宗教団体よりも高いのではないかと私は見ています。テレビコマーシャルならまだしも、堂々と番組内で人々を扇動し、金儲けの種にするのはいくらなんでもよくないことだと思いますよ。このからくりに気づいた少年少女たちが、社会に対する反抗心をあらわにしたらどうするんですか。それだけテレビの持つ責任というものは高いのに、いざとなったらみんな責任逃ればっかりで、今回の件についても番組でお詫びのテロップを流すのがせいぜいなんでしょうね。今回の一連の放送では、彼らブルーム・オブ・ユースの音楽性についての分析なと一切なかったのも残念な点でした。
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