99年6月
- 課外授業ようこそ先輩(99.6.27・NHK総合)
以前は飛ぶ鳥を落とすような勢いで、出る番組はすべて高視聴率だった萩本欽一さん。その萩本さんが『笑い』を小学生にどう教えるのか。小学生に突っ込む姿は、まず『どつき』ではなく『大きな声』というキーワードがありました。確か昔は思いっきりどついていた感じもしたのですが、現在の笑いについての反発もあるのでしょうか。
また、欠点だったり自分で恥だと思うことを笑い飛ばしてしまう方法というのは『笑い』の授業と言うよりも心のカウンセリングという感じがしましたね。授業としては有益な内容で、NHK向きかなと言う感じがしましたが、小学生が反抗もせずについてくるのにはびっくりですね。最後には泣いてしまう子もいたりして、今ある笑いだけを子供は求めているわけではないのかなと思ったりして。
- NHKスペシャル『国家独立への道』(99.6.25・NHK総合)
第二次世界大戦以降の最大の悲劇は、パレスチナ問題だと言っても過言ではないでしょう。今まで住んでいた場所が、いきなり他の国の国土になったと言われても、にわかには承伏しがたいでしょう。結果、血で血を洗う争いが起き、今も影響が続いています。パレスチナの悲劇は国家を持たないことかもしれません。1993年の暫定自治合意で、調停による独立国家誕生かという希望が生まれたのですが、そう甘くはありませんでした。ガザ地区とヨルダン川西岸で自治が認められたものの、肝心なところではイスラエルに押さえられています。自分たちの国家を持たない歯がゆさというのが、番組に出てくるパレスチナ人の表情を通して伝わってきます。
東エルサレムに土地を買って家を建てたパレスチナ人のバッサムさんの家が、イスラエル当局によって壊されるシーンは衝撃的でした。しかし、バッサムさんが石を投げる代わりに、また一から家を建てる選択をする。一方でデモに参加してイスラエル軍に石を投げる学生がいる。やり方は違っても、パレスチナを国家として独立させたいという気持ちは一緒なんですよね。それなのにユダヤ人入植地を広げ、エルサレムを死守しようとするイスラエル当局とどう交渉していくのか。完全独立を目指して、徹底抗戦をするのか、涙をのんで入植などの条件を受け入れ、どういう形であっても国家としての独立を目指すのか。今の暫定自治政府は後者の方法を取ろうとしていますが、それで前者を抑えられるのか。アラファトがテロのねらい撃ちに遭うかもしれず、まだまだ予断を許さないパレスチナ情勢ですが、現状報告としては興味深かったものの、私たち日本の対応と言う面ではもう一歩突っ込んで別番組でも作って欲しいですね。
- プロ野球『西武対オリックス』(99.6.23・テレビ朝日)
スポーツとテレビの関係というのは、ここではたくさん述べてきたつもりですが、今日のこのプロ野球中継は最悪でした(^^;)。我が国のプロ野球中継は読売ジャイアンツ中心、すなわちセリーグ偏重であります。それが今シーズンになってちょっとした変化が現れました。見出しを見ていただいてもおわかりの通り、西武の松坂投手登板の試合のみですが(^^;)こうして中継するようになったのです。まあ、セリーグの試合との二元中継で、時間も8時から9時までの延長なしということではありますがこうして優勝決定に関わる試合でもないのにテレビ中継があるということはリーグ関係者にとってはチャンスであるはずなのに。
舞台は9回裏、ツーアウトランナー一塁で得点は3対2。ビジターのオリックスが一点リード。中継時間は残り五分ということろ。見ている方からすれば、これは最後まで試合の結果を見られるなと思う訳じゃないですか。しかし守るオリックスの仰木監督がいきなり出てきて、外野と内野の守備を替えたのには、いくら勝つための作戦といってもテレビの前にいる人を全く考えていない采配だと思わざるを得ませんね。案の定最後まで試合の結果を伝えることができずに、中継は終了してしまいました。
同じスポーツ中継でも、見せるためのスポーツでないアマチュアの試合(オリンピックは本来そうなのだ)は逆にテレビにすり寄る事もないと思いますが、プロというものは多くの人に見に来ていただいてなんぼのものでしょうが。しかも親会社におんぶにだっこで、純粋な観客収入ではやっていけないのは分かり切っているはずなのに。監督ならテレビの中継時間のことも頭に入れて、采配を振るって欲しいよなあ。なにもこれはプロ野球にだけ言えることではなく、現在正念場を迎えたJリーグにも言えることです。わざと時間を延ばすのは、中継時間にはいるか入らないか最後になって響いてくることもあり得ます。痛くもないのにわざと転げ回って時間稼ぎをするのは、国別対抗戦ぐらいにして欲しいものですね。
- 人類月へ行く 第八回・アポロ13号(99.6.14・NHKBS2)
トム・ハンクス総指揮のこのテレビシリーズは見たいのですがなかなか全部は見られないのですね。先日も肝心のアポロ11号の回を見逃していますし。でも、今回のアポロ13号の物語は見ておいて良かったと思えるものでした。もしかしたら総合テレビの深夜に再放送がかかるかもしれませんから、興味のある方はチェックしておいてくださいね。
さて、アポロ13号といえば映画にもなりました、航行中のトラブル。それを回避した現場の宇宙飛行士と、司令を送るNASAのスタッフのドラマが展開されるのかなと思ったのですが、やはりというか、映画と同じ事をやるのはプライドが許さないのでしょう。テレビドラマならではの切り口でこの事件を語っているのですが、それが、現地で起こった取材合戦に不快感を示すものでした。
宇宙飛行士の家族や、近所の人にコメントを求め、まさしく今の日本のワイドショーのようなスタッフが勝利を収め、あくまでジャーナリスティックに事件を伝えようとした老記者が、そのあまりの浅ましさに耐えきれず、無事帰還を終え歓声が沸き上がるヒューストンから静かに姿を消していくラストシーンは、アメリカっぽくない作り方でした。もはやあの事件から30年が経とうとしていますが、テレビの前に座っている多くの人たちの興味は、まだそういうところにあるというのは間違いなさそうです。これも、有料のペイチャンネルが普及すると変わってくるのかもしれませんが、WOWOWも大変らしいし、そう簡単に変わらないのは仕方ないのでしょうね(^^;)。
- とんねるずのみなさんのおかげでした(99.6.10・フジテレビ)
昨日の今日なんですが、偶然にも石橋さんの出てくる番組を連続して紹介してしまうことになってしまいました(^^)。何と言っても、いつの間にかこれしかやらなくなってしまった(^^;)『食わず嫌い』のコーナーに今話題の阪神監督の野村夫人(あの名前は改名したやつなのだそうなんで、ここでは野村夫人で通します)が出演してんの。今まで書いていませんでしたが、朝のワイドショーは結構チェックしているんですよ(^^;)。それによると日本テレビとテレビ朝日が熱心で、フジテレビはそんなに追求してないのですね。とにかく面白いのが、現場が腫れ物に触るようにしている(出演のとんねるずを含めて)こと。これで視聴率が取れるのなら御の字なのでしょう、実際の話。
騒動自体にはあんまり首を突っ込んで書こうという気がないので、ここは番組に対してだけ言及しますが(^^;)、この番組自体、同じとんねるずが出ている日本テレビの番組と比べると、全然パワーが落ちる気がするんですよね。主なコーナーがこの『食わず嫌い』しかなくて、よく番組が続いてるなとまで思ってしまうのですが、番組を任せられるだけの若手が育ってきていないことの裏返しなんでしょうね。特に今回の野村夫人を接待する様子を見ていると、もうそろそろ終わってしまうのかなと(^^;)、不謹慎なことも考えてしまったのですが。
- 第4学区(99.6.9・フジテレビ)
深夜番組はどうでもいいものが面白い。昔夜通し飲んでいて、次第に盛り上がってくると感覚がおかしくなってきて、どうでもいいことがおかしくてたまらなくなってくる。この番組は古館伊知朗さんと石橋貴明さんがどうでもいいことをとうとうと喋るだけなのですが(^^;)、インターネットをやりながらつけておくには最適の番組です(^^)。芸というものでは全くない単なる雑談でも、話のプロが喋るのはそれなりに営業になってしまうということなのですね。
つまり、テレビでは芸というものが全くなくても面白いものが作れてしまうのを再確認した番組であるわけです。でも、これを舞台でやったとしたらおもしろさの半分も出ないでしょう。つくづく表現のメディアの特性を感じてしまった次第です。
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