99年4月
- 決定の瞬間 録音されていたキューバ危機(NHK総合・99.4.29)
キューバ危機とは、当時のソ連がカリブ海に浮かぶキューバにミサイルを配備しだしたことから始まった。アメリカは、自分たちがNATOの協力の下ヨーロッパに核爆弾を配備し、クレムリンを射程圏内に納めていたことは棚に上げ、キューバにミサイル基地を作られてはホワイトハウス及び、アラスカを除く米国本土のほとんどが核の傘下におかれると、強硬論を当時のケネディ大統領に押しつけようとする。その最高会議の様子を、大統領自身が録音テープに録って機密扱いにしていたのです。番組はこのテープによって進行していきます。
しかし、カリブ海からベルリンに飛び火し、朝鮮半島へも広がる可能性をこのキューバ危機は秘めていました。そうなれば全面核戦争になだれ込んだかもしれず、当時のアジアにおける米軍は核を配備していたと考えるのが普通でしょう。会議の録音テープも、それにふれた部分は40秒以上カットされています。現在も続く日本の反核運動は、全くの無力ではないかと思わせるには十分な『沈黙』ではありました。
今回のNATO軍におけるユーゴスラビア空爆は、確かに核は使っていませんが、より恐ろしい兵器の前では平和に問題を解決したのに対し、そうでない兵器を使ってすさまじいことをやっている。個人の喧嘩でも、会えばそんなに大したことをやらないのに、ネット上ではひどいことを平気でやることにも似てますね。どんな犠牲が出ようと、自分さえ安全ならばいいという大国の思い上がりが、悲惨な戦争に人民を巻き込むのです。ほんと、争いたいのなら両国の指導者が金網で囲まれた四角いリングで殴り合いでもやってしまえばいいのにね。
- 「鉄腕投手・稲尾物語」(NHK衛星第二・99.4.26)
これは映画なんですが、日本シリーズであの長嶋監督がルーキーで入った年に、読売巨人を相手に三連敗の後に四連勝したという西鉄ライオンズの稲尾和久投手の物語です。凄いのは、その翌年に当時の記録フィルムを使って、更に稲尾本人をキャスティングして映画にしてしまったという(^^;)。プロ野球選手で言えば、自分が現役選手の時に記念館を作ってしまった落合博光選手は凄いなと思っていたのですが、この映画はその上を行っているという(^^;)。しかし、現在は長老と呼ばれる人たちの(中西太さんも役者として出てる(^^;))なんと若いことか。
あと、興味深かったのは、日本シリーズ中継での中継アナウンスと解説でしょう。特にアナウンサーののんびりした調子が何とも時代の流れを反映しているようでいいです。観客も少々の鳴り物があるものの、拍手中心の応援をしていて、トランペットの音がないというのもいい。しかし、いくら神様仏様稲尾様といっても、あれだけ後先を考えず消耗品のように使い続けてはダメよ(^^)。鉄腕とは言っても同じように使われて潰されてしまった権藤現横浜ベイスターズ監督の例もありましたからね。
- 世界ユースサッカー準々決勝(NHK衛星第一・99.4.19)
勝ったときは何とでも言えるさと、冷静に分析してみてもいいのですが、日本チームはよくやっていますね。決勝トーナメント一回戦のポルトガル戦では、何をやっているんじゃとテレビに向かって怒鳴り散らしていたのとは(^^;)えらい違いです。
何のスポーツでもそうでしょうが、戦術的な理論だけでも、気持ちや技術という肉体的な能力の高さだけでもいい結果を残すことは出来ません。両方がしっかり融合したときに、大きな力が出るということが今回の日本チームの快進撃によって証明されたと言うことですね。
逆に、理論的な裏付けが肉体的能力の充実に比べて少し薄いのが、ワールドカップを共催する韓国であるといえるでしょう。はっきり言って、個人の能力の高さでは日本より上だと思われます(事実、アジア予選の決勝では日本は韓国に負けていたはず)。しかし、今回の大会では決勝トーナメントに進めなかった。これは何故か。
つまり、アジア随一である韓国の選手の能力の高さも、それより体格が一回り違う欧州やアフリカの選手と比べるとどうしても見劣りしてしまいます。それは、かなり昔からわかっていたことなのですから。
サッカーのワールドカップでアジアで最高の成績を上げたのは前々回のサウジアラビアではなく、北朝鮮なのです。イタリアを破る大金星をあげ、予選リーグを突破してベスト8に進出した北朝鮮は、準々決勝でポルトガルと当たりました。試合展開は北朝鮮ペースで一時3−0とリード。しかし、反則覚悟での接触プレーに北朝鮮の選手は体力を奪われ、終わってみれば3−5でポルトガルの勝利に終わったのです。1966年、イングランド大会での出来事です。
日本は世界と戦うため、積極的に体でぶつかっていかず、早いパス回しを武器にした組織的サッカーを試みました。今回の快進撃はそうした長い間の取り組みが間違っていなかったことを示すものではないかと思います。今後の日本チームの活躍にも期待が掛かりますが、これで何とか日本での開催のワールドカップでもやっていけると言う手応えを関係者は感じているのではないかと思います。そうした流れを受け、韓国はどういった対応をしていくのか。そんなことを今は思っています。
- ストレッチマン(NHK教育・99.4.14)
午前中の中途半端な時間、一番面白いのが教育テレビだ。私はこの時間にテレビを見ることは滅多にないのだが、この『ストレッチマン』には笑った笑った(^^)。さすが大阪局制作の番組というべきなのか、馬鹿馬鹿しいけどためになる。しかし、何を言いたいのかわからないという感じなのですよ。文字でしか伝えられないのがとってももどかしいです。これは留守録しても一回見て欲しいなあ(^^;)。
- 学校に行こう!(TBS・99.4.13)
どんな人にも消し去りたい過去というものは、必ずあるものでしょう。特に小学校や中学校の文集なんぞを読まれた日には、穴があったら入りたいような気分になりますね、ホントの話(^^;)。この番組は、まさしくそうした気恥ずかしい中学生や高校生そのものをネタにして笑いものにしようとする番組ですね。この番組は放送時間が変わったのですが、いつの間にやらレギュラーのつぶやきシローがいなくなっていたのには芸能界の浮き沈みを感じてしまう今日この頃ですが、ここは本論とは関係ありませんのでこのくらいにして(^^;)。
こうしたナマの中学生たちの面白さは大切にしなければいけません。大人の自分から見れば消し去りたい過去でも、あのころの感性というのは意外に確かなのですから。しかし、レギュラーとして出ているV6、彼らはそう出演者の年代と変わりはないのに、みのもんたのようなリアクションしかしない。まあ、芸能界に染まっているのは当たり前なのだけど、こうした学生時代を送ることが出来ない彼らが可哀想でもあります。ま、こんな風に番組を見てしまう私も私ですが(^^;)。
- パパパパパフィースペシャル(テレビ朝日・99.4.11)
都知事選があんまりつまらないんで、こっちを見ていたのではありません(^^;)。あと、誰が誰と結婚しようと、わたしゃ知ったことではない(^^;)。ではなぜここに取り上げるかというと、『ビジュアル系だらけの大運動会』という企画が滅茶苦茶面白かったからであります。
ビジュアル系とは何かというと、音楽をやるバンドのことですね(^^)。彼等がステージの上と同じ衣装に身を包み、様々な運動競技に挑戦するという、言ってみればタレントも出さないでいい低予算の企画であるわけなのですが、見ているこちらとしてはちっとも格好良くないのが逆に面白いんです。
彼等は、確かに薄暗いステージの上では格好がいいと思うんです。しかし、太陽の日に当たると、彼等も普通の人間だということが思いっきりわかってしまうのですね。そうした彼等を追いかける女の子たちが競技場に応援に来ている様子もカメラで写されていましたが、彼女たちは幻滅しないのかしらん。今回出たのは、プロのバンドではありませんでしたが、プロだって似通ったものですよね。ただ彼等は、魔法のかけ方がうまいので、滅多なことではしっぽを出したりしないという違いはあるのですが。
- BSドキュメンタリー『生物兵器の恐怖』(NHKBS1・99.4.10)
イギリスのテレビ局制作のドキュメンタリーですが、実際に起こった事件として、あのオウム真理教の地下鉄サリン事件が出てきました。少数のテロリストが使う可能性が残っているものの、今までは使った側もダメージを負う可能性があるので、それが救いですが(逆に言うと、自分たちもダメージを負うのが分かり切っているのに、敢えて使ったオウムが世界的に見ても注目されたということなのですが)。
問題は、現在起こっている地域紛争に、生物兵器が使われやしないかということです。事実湾岸戦争ではイラクが使う何て話もありましたし。番組では、これまでの生物兵器の欠点を補うとんでもない技術について言及しています。なんでも、特定の遺伝子を持つ人だけに作用する生物兵器の生成も可能だとのこと。つまり、白人が撒く生物兵器によって被害を被るのは黒人だけとか、そんなことが出来るようになるかも知れません。
まあ、そうは言っても生物兵器は核兵器のようなものなので、持っていて使うかも知れないという恐怖感を相手に植え付けるには充分です。個人的には、そこまでして小国やテロリストを追い込んでしまう強大な力を持つ国家も悪いような気がします。上記のように、遺伝子工学を使った技術力を持っているのは、個人ではなく国家であることを考えると、核兵器が廃絶の方向に進んでも、全く意味をなさなくなってしまうでしょう。政府にとって好ましくない人物の遺伝子を解析し、その人にだけしか効かない生物兵器とか。正義のためなら空爆も辞さない国もあることですし、今後も注目していきたいところであります。
- ナイター中継日本ハム対西武(NHKBS1・99.4.7)
プロ野球が開幕しました。この間まで高校野球の試合のテンポに慣れていたせいか、プロ野球の試合展開の遅さにはつくづくイヤになります。民放の場合は投手交代の時にコマーシャルが入るからいいのでしょうが、コマーシャルなしの放送では相当だれてきます。特に今回は、西武の松坂大輔投手の公式戦初登板ということで、西武の攻撃の時にコーチがマウンドに行って試合を止めて、投手交代でまた止めて。セリーグの開幕二戦目の阪神野村監督ののらりくらりとした試合の進め方もとんでもないと思うのですが、人に見せる野球というのは、ある程度きびきびしてもらわないと。特に球場に見に来ている人にとっては、終電の時間もあることですし。
大体において、テレビでのスポーツ中継は、実際球場に見に行くのとは迫力も何もかも違います。それでも、経過と結果を瞬時に見せてくれるのですから、感謝しなくてはなりませんが。
大切なことは、球場の雰囲気を知った上で、こんなものだと納得して見ることでしょうね。テレビの中のスポーツしか知らない人がいたとしたら、それはテレビゲームと同じようなものではないかという感じもしますから。
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