99年3月
- オールスター感謝祭99(TBS・99.3.27)
番組改編期の特番としては、この番組が一番歴史が長いのではないでしょうか。ただ、芸能人賞金獲得レースと化してしまったので、番組宣伝とはほど遠いものになってしまったようですね。休憩中に番組宣伝をやっていたみたいですが、リモコンのお陰でほとんど別のチャンネルに合わせているんでしょうけどね(^^;)。見ているだけで金ももらえないのに、結構評判がいいのは、芸能人のあまりの浅ましさが見えてしまう番組であるからでしょう。そういう意味では、これだけ素の芸能人が見られてしまう番組もないわけで。
あと、毎年思うのですが、生中継なだけに赤坂周辺のマラソン。沿道に出て携帯電話を持って、コースに身を乗り出してテレビに映ろうとする輩がまた出ました(^^;)。最近は野球中継でもバックネット裏に陣取って携帯電話でテレビ電話を楽しもうとする馬鹿者がいますからねー。ここら辺はホントに見ていて見苦しいのだけれど、何とかならないものでしょうか。
今年は新趣向として、番組の放送内に一曲のCDを作って番組のエンディングに発表するという企画がありましたが、大がかりな仕掛けの割には時間に追いまくられて、あんまり印象に残りませんでしたね(^^;)。見た人だけしか分からないという、いかにもテレビらしい幕切れではありましたが、いつまでも織田哲郎・秋元康でもないだろうという感じも受けます。もしかしたら、これでかれらも凋落したりして。だってアーティスト名が『Risky』だもんねえ(^^;)。
- ためしてガッテン(NHK総合・99.3.24)
総じてNHKのバラエティはつまらないのですが(^^;)、この番組の元にあったであろうと思う『ウルトラアイ』から続くうんちくものはファンも多いようです。
今回はチーズの話題だったのですが、何にしても気になったのは字幕の数が多かったこと。といっても、民放のバラエティによくあるような、分かっている言葉を強調するための字幕ではありません(^^;)。例えば、日本で多く売られているプロセスチーズはナチュラルチーズを熱で加工したものであるので、これに新たに熱を加えても溶けませんと説明している最中に、『プロセスチーズでも、溶けるものもあります』というような、よく言えば解説、悪く言えば言い訳のテロップなのです。
これは、以前に卵の料理を番組内で紹介したときに、電子レンジであたかも安全に卵を調理できるかのように放送してしまったことの影響でしょう。電子レンジで卵というと、私などはゆで卵の殻をむいて、口に入れた瞬間爆発するという(^^;)、『爆発卵』を思い出してしまうわけですが、電子レンジに卵というのはそれくらい危ないものなのです。どうしてそんなものを放映したのか、今持って訳が分からないのですが、全てが逆に作用しているようですね。それにしても、視聴者の反応に神経質なのは分かるけど、あそこまでやるならテロップを入れるよりも現場でちゃんとフォローすればいいのにと思ってしまったのでありました。
- チリ・クーデターの記録(NHKBS1・99.3.19)
ピノチェトという、以前チリの大統領だった人物がいます。1973年に当時の社会主義政権から、軍事クーデターにより政権を奪い、以降反対勢力を徹底的に弾圧し恐怖政治を行いました。クーデター以後、行方の分からなくなった人民連合の人たちが多数います。この番組は、記録映画撮影ということで大統領官邸内に入り、スタッフと称して何とピノチェトを仇と思う人民連合の人たちを多数官邸内に入り込ませたパトリシオ・クスマン監督が、映画『チリの闘い』を通してクーデター以降の歴史を浮かび上がらせていきます。
長い間、この『チリの闘い』は軍事政権によって公開を禁じられてきました。そうした情報操作が、チリの若い人にとってどのように作用したか。映画を見る前の学生たちは、おおむね無関心で、むしろ軍事政権を擁護するような発言が目立ちました。クーデターが起こって学校が休みになって嬉しい(^^;)というのも当時幼かった彼らにしてみれば、仕方のない感想なのかと思ってみていたのですが、映画を見終えたあとの彼らの表情が明らかに違っていたのですね。画面に映し出されたほとんどの若者は、そのあまりの惨劇の様子を見て泣いていたのですから。
一昔前とは違って、共産主義だから悪いというような短絡的な思想は考え直さなくてはならないでしょう。特にチリは、亡命しているピノチェトが国外で身柄を拘束され、その去就が注目されていますが、チリの大衆が納得するような形で決着が付いて欲しいものです。
- ザ・鉄腕!DASH!!(日本テレビ・99.3.14)
面白い番組とは、出演するタレントの力なのか、はたまたスタッフの企画力の問題なのか。本日放送の、木更津ケーブルテレビで放送しているという、同番組のパクリ番組『鉄骨!DASH!!』のダイジェストを見たらその答えが見えてきます。
この番組ではTOKIOならぬTOKIQというそっくりさんの集団が、番組まんまのパクリ企画を放送しているのですが、どれくらい似ているのかということについては、番組のホームページを見てきてください。
まあ、本物あってのパクリというのは論を待たないことではあるんですけど、これはこれで面白く見られてしまうのです。TOKIOもTOKIQもスタッフの作った台本通りに動いていることは明白なのですね。だからあれがTOKIOでなくてもそこそこに受けてしまうのです。
はっきり言いますと、VTRの中での面白さと、台本のないライブや舞台での面白さとは全く別物だということです。番組ではTOKIOのメンバーが素顔を隠して路上でライブをするという企画がありましたね。残念ながら、博多でも横浜でも地道に活動している人たちとの差は歴然でした。あれが、地元の人たちより受けて、縄張り意識のある地元民といざこざが起こるほどスリリングな展開になれば、パクリ番組との格の違いが明らかになると思うのですが。
- 神々の詩「アリの王国」(TBS・99.3.7)
コスタリカの軍隊アリの生態を追ったドキュメンタリー。民放の中ではかなり健闘している番組です。おそらく、ものすごい金と時間がかかっていると思うのですが、下手をすれば生命にも関わるかも知れない場所でも、ぬくぬくとこたつに入りながら見ていられるという。まあこれがテレビの特徴だとも言えるのですね。
しかし一定の巣を持たず、漂泊するという軍隊アリの生態というのは面白い。この小さな虫は、群れなすことによって何倍もの強さを得ます。更に面白いのは、軍隊アリが大移動することによって森の生き物たちも動きだし、生命の循環が行われることです。また、ハキリアリというその名の通り葉っぱを切って巣に運ぶアリの生態を初めて見ました。このアリは、切り取ってきた葉っぱをまとめ、その上で茸を栽培するという、非常に珍しい農耕を行うアリなのです。
確かに人生、動かないのが楽でいいのですが、動かないと停滞しついにはダメになってしまう。単に映像という事実を映すことで、いろいろの考えを導き出す。娯楽番組を喜んで見る中にも、こういうアクセントをたまには取り入れたいですね。
- ミステリー作家江戸川蘭子の事件簿(TBS・99.3.1)
昔、江戸川乱歩をもじって探偵小説の作家がリレー小説という形で『江川蘭子』という小説を書いたことがあるそうですが、この『江戸川蘭子』さんはそれとは全く関係ないのですね(^^;)。
主演の渡辺えり子さんはとても気になる女優で、京本政樹さん演ずるコロンボ警部もどきがうるさかったのですが、共演の角野卓造さんとの絡みは色気も何にもなく(^^;)、それが面白かったです。それから、今話題の石井苗子さんが不倫する役で出ていたので、ワイドショー好きなオバサンは大喜びだったのでしょうね。
おそらくこれもシリーズ化されてしまうのでしょうが、渡辺さんは見方によっては強烈に色気もあるし、市原悦子さんのように固定したイメージで見られるようにはなって欲しくないのです。でも、渡辺さんはあくまでも舞台女優、脚本家であるわけで。実際、舞台というものは東京が中心になってしまうのでなかなか見に行けないのがつらいですが、不完全なものとはわかりつつもえり子さんの芝居も見たいなあとつくづく思います。
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