98年7月
- 趣味悠々 山下洋輔のジャズの掟(NHK教育・98.7.30)
木曜日のこの時間にはいつも家にいないので、見たいと思っても今まで見られなかった番組だったのですが、何と今回が最終回ということでちょっと悲しいです。しかし、山下さんが講師というのも時の流れを感じます。ところで、ジャズっていうものは、いまどの辺まで認知されているのです。テレビにピタッとはまるのは、長くダラダラとしていない短時間で区切れるものであり、長く辛抱強く聞いたり練習したりしないと面白味がわからないジャズのようなものは、はたしてどれだけこの番組で認知されたのか興味の湧くところです。テレビの中だけに面白いものがあるわけではないということをこの番組をみて消化不良を感じた人達が感じてくれるようになったらいいのですが。
- 驚きももの木20世紀 大泉滉の生涯(朝日放送・98.7.24)
大泉滉(おおいずみ・あきら)さんといえば、奥さんがオバタリアンということでも有名だが、これは大泉さんがテレビカメラの前で、徹底的に恐妻家を演じきったことによる誤解だ。それだけ、大泉さんはとんでもない人と言うことになる。徹底的な有機栽培による野菜作りというのも有名だが、なぜ野菜にこだわったのか。それは、幼少の頃からの夜逃げに次ぐ夜逃げによる流浪の生活をしていたことと無関係ではない。なぜそんなことになったのか。それは大泉さんの家庭環境、はっきり言えば父との関わりと無関係ではない。大泉滉さんの父は、アナキストで作家の大泉黒石である。アナキストということで、仕事がなくなると全く仕事をしないで放浪をしていた。実の所、姿形もそっくりで、かなり大泉滉さんは意識していたのではと思う。以前から、この黒石さんのことは気になっていたが、はたして彼の作品はどこへ行けば読めるのだろうか。
- にっぽん北から南まで 自然発見・ふるさとの海(NHK総合・98.7.20)
テレビの特性というのは、動くものをそのままのような感じで(決してそのままではないが)見られることである。この番組は、「海の日」にちなみ、北は北海道の流氷の下に展開する海の姿から、沖縄の珊瑚礁をとりまく海の生き物を追った動く図鑑のような番組であった。
私のように、活字全能主義に陥りがちなものにとっては、この種の番組を見るのは、いい息抜きになると同時に、勉強にもなる。本来なら、スキューバダイビングで沖縄でもオホーツクでも潜れればいいのだが、なかなかそんなふうには行かない。テレビの前に陣取るということは、テレビに貴重な時間を取られるということで、ほとんど私は何か別のことをやりながら見ているのだが、この番組は久しぶりに丸腰で一時間強、テレビに向き合ってしまった。
- 27時間テレビ夢列島(フジテレビ・98.7.18〜19)
つい、私のようなテレビ好きがずるずると見てしまう典型的な番組(^^)。他局の明確な目的を持っている番組に比べると、一応地球環境の保護というテーマがあるみたいだが、ただ単に楽しもうと言う姿勢はいかにもテレビ的のような気がする。それにしても、ダウンタウン亡きあと、スマップの中居くんに白羽の矢が立ったわけだが、まあ爆笑問題では役不足だし、それだけ若手の芸人が育ってきていないという現実も感じることができる。ジャニーズ強し、という感じを改めて持ってしまったのだが、そんな焦りからなのか、「Love2あいしてる」の生本番で東野幸司が全裸に近い形で乱入した。あれには怒りを覚えた人もいただろうが、どうあがいてもジャニーズ系のタレントにかなわないという結果を改めて浮き彫りにしたに過ぎず、むしろ悲しくもある。
その後、深夜帯に入っていくのだけれど、ある意味ではこの部分が一番面白いかも知れない。ここだったら、全裸に近い形で乱入するのもまあいいやと思えるほど過激なことをやってましたからね。確か、昔さんまの自家用車をたけしが故意にぶつけたのもこの時間帯だったし、そのたけしが、ビートルズの替え歌を歌って、視聴者から大ヒンシュクを買ったのもこの時間帯だった。今回は、まあオーソドックスなエロネタで、世紀末的な感じもしましたけど、一番お祭り的に騒いでましたね。ただ、エロネタが嫌いな人にとっては、見ても不愉快になるだけだから、そういう人は見ない方がいいです。テレビというものは、見たくないと思ったら抗議よりもスイッチを消せばいいだけなのですから。
- 衆議院選挙速報(各局・98.7.12〜13)
選挙の結果以上に傑作だったのが日本テレビ。野球の動向と選挙の動向を同時に見られるようにした画面はよかったが、肝心の試合終了の部分が放送されず、後でVTRでの放送となった。それなら、あんなせわしない画面を作らなくてもよかったのではないか。何しろ野球ファンに失礼だと思うのだが。また、NHKの党首インタビューで橋本首相退陣の意向ということで、早速大騒ぎになっている。してみると選挙というものは、それ自体がおおきなお祭りである。投票に行かない人でも、それなりに楽しめてしまうのが面白い。しかし、いつも思うことだが、「山が動いた」と言われた前回分の参院選でも、あっというまに人々の興味がそがれてしまった。果たして、これから行われるサッカーのワールドカップ決勝と、どちらが人々の感動を呼ぶだろう。
- うたばん(TBS・98.7.7放送分)
今日の出演は、KiroroにSPEEDという沖縄出身のグループ。しかし、対照的ではある。SPEEDについてはここではあまり語らないが、小さい頃から民謡・アメリカの音楽・日本の音楽が入り交じる混沌とした場所で生活していただけあって、どんな曲でもそれなりに歌いこなしてしまう順応性はさすがだ。
さて、Kiroroである。名前の由来は、アイヌの人達の言葉の響きが気に入ってつけたとのこと。沖縄とアイヌというのは、どちらも日本人というワクを強制的にはめられたということが共通している。
実は私はしばらく彼女たちが沖縄出身ということを知らなかった。確かに歌はうまい。番組では沖縄(読谷村?)にNHKのど自慢が来た当時の様子を写していて、なんとボーカルの彼女は「今週のチャンピオン」になったという事実が紹介されていた。しかし、こんな経歴のグループも珍しいのではないか。
沖縄の人達ばかりがなぜ受けるのか。しかしここで考えてみると、そのほとんどが女性であるというのは面白い。確か鳴り物入りでデビューした沖縄出身の男性グループがあったはずだが、まったくチャートには登場してこないし。
沖縄の男性歌手というと、喜納昌吉さんとかりんけんバンドの照屋林賢さんがすぐに思いつくが、彼らはどちらも親の代からの民謡に影響された音楽家である。その分どうしても活動の幅が限定されてしまう。いい意味でも、悪い意味でも。
現在活躍している沖縄の男性ミュージシャンで、民謡から離れているというのはディアマンテスは反則として(^^;)、BEGINぐらいではないだろうか。彼らはデビュー当時いきなり日産自動車のCMに起用されたりして超売れっ子になったが、その後はマイペースを守っている。願わくばkiroroもそんなにチャートを追わずに、地道な音楽活動を続けていって欲しいが。所属事務所の社長がVTRで出演していたが、彼も沖縄から東京から出てきたということらしい。沖縄で一万枚売ってからメジャー進出をしたという売り方からしてみると、なかなかしたたかな感じもしますがね。
- 参議院選挙政見放送(NHK総合・98.7.6放送分)
民主党の政見をみてびっくりし、ついここに書いています。代表の菅直人さんはいいとしても、一緒に出演しているマッド・アマノさん、あなたは何で特定の政党を応援するかなあ(^^;)。「フォーカス」のパロディのページが面白いのは、特定の権力にくみすることなく全ての権力を公平な目で見ることのできる立場にあなたがいるからでしょう。この選挙で民主党が惨敗した場合、菅直人さんを笑いものにするような作品を作れるというのならそれはそれで面白いのですが、果たしてどうなりますか。私としては選挙の結果よりも、マッド・アマノさんの動向の方が気になりますね(^^)。
- 金曜エンタテイメント「おばさんデカ6」(フジテレビ・98.7.3放送)
市原悦子さんは、家政婦でもバスガイドでも、そしてこのおばさんデカでも全く変わらない。テレビの上でのイメージが固定されているということは、例の「水戸黄門」と一緒、大いなるマンネリである。では、マンネリは悪いことなのか。否、テレビでは大いなるマンネリは「芸」の域にまで達する。同じギャグを繰り返すコメディアン、一曲しかヒット曲を持たない歌い手がテレビに出てそれなりに見栄えがするというのは、そうした理由からなのである。
確かに、市原悦子さんはすばらしい。しかし、女優というのは一つの役柄を演じきるということではなく、自分以外のいろんな役柄を演ずることによって演技の幅が生まれ、向上していくものではないのでしょうか。しかしもう、こんなことを言っても手遅れというものかも知れない。テレビを見る側は、彼女が画面に出ると、もはや単一のイメージしか持たないようになっているのだから。
- 趣味悠々(NHK教育・98.7.1放送)
「ホームページはむずかしくない」と題されたホームページ作り方講座の一回目。内容はいいとしても、こうした講座につきものの、テキストについて書いてみたい。
この講座のテキストは1200円で本屋さんで売っているが、なぜ有料なのか、考えてみればおかしなことである。第一、私たちはNHKに受信料を払っているのだ。受信料を払って、更に勉強したい場合にまたテキスト代を払うなんて二重取りではないか。例えば、受信料の領収書を持っていけば、勉強したい講座についてテキストを提供してくれてもいいわけではないかと個人的には思う。そうでなくても受信料を故意に払わない人もいるのだから、受信料を払うと払わない人に比べて何か違いを設けても罰は当たらないだろう。
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