2002年03月のテレビ
- JNN情報箱
「外国人お断り・平成浮世風呂の湯加減」(北海道放送・2002.3.4)
北海道小樽市でロシア人船員のマナーの悪さから、日帰り入浴施設が日本人(と言っても国籍を取ったものに限定するのではなく、あくまで見てくれが日本人でなければだめ)以外の入浴を禁止したことから国際問題に発展してしまった事件をいろんな立場から論じていたのですが、確かに人種差別であることには違いないんですが、外国人を入浴させることによって経営的に厳しくなってしまうと言う現実も存在するわけです。様々な立場の違いから裁判と言うことになってしまうのですが、その中でちょっと面白い指摘があったので紹介します。
その指摘は、テレビ番組で人気者になった(^^;)、ベナン共和国のゾマホンさんの意見なんですが、今回の小樽市の場合、アメリカ人やドイツ人、ロシア人のように日本人が白人を差別しているのですね。黒人として白人社会で露骨な差別を受けてきた側にとっては(白人専用のレストランとその他の人種用のレストランなんて言うことはどの国でもある)白人が差別を受けると言うこと自体が痛快だったということなのです。まあ今回の場合は白人だけでなく、日本人らしい顔をした日本人以外はすべて閉め出すんですからゾマホンさんの意見は一部の現象を見たものにすぎませんけど、北海道でいわれのない差別を受けているまっとうな外国人(今回の場合入浴を拒否されているのは外国人として一括りにされているので敢えてこの名称を使わせてもらいます)が憤るのはもっともなことだとしても、裁判というセンセーショナルな事象をとらえて国際問題化するような動きがある場合はますます泥沼化する情況を作りかねません。人々を煽動することによって対立は激化し、穏健に話し合おうとしている人たちの力をそぐことになります。ここら辺は報道する側の問題だと思うのですが、確かに外信として配信するには面白いネタだと思うのですが、お互いにコミュニケーションを取ろうとする動きがあるうちは、ナーバスになってゆっくりと解決への道を探るのがいちばんいいような気がします。あとは、実際にマナーの悪い場面に遭遇した場合、なかなか利用者の方からは言いづらいという情況があるみたいので、経営側にかかってきてしまうんですね。そういう煩わしさから逃れるための外国人お断りなのでしょうが、そういう風に問題を先延ばししていたのでこれだけ問題が大きくなったとも言えるわけです。
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