2001年8月のテレビ
- ノンフィクションドラマ・遭難
(NHK総合・2001.8.20)
変な話、なぜ甲子園の高校野球がこれだけ人気があるかというと、一発勝負のトーナメントということで、多少の予想は出来るものの最後の結末はにわかには予想できない場合があるからではないでしょうか。これに反して作られたお話というのは、確かに人のおもしろがるツボというのを考えて作られているのですが、あくまで人間が考えたものという範疇を越えることは出来ません。そういう意味で、フィクションよりノンフィクションという考え方を私は密かにしてます。
この番組は、『ドラマ』ではあるのですが、いわゆる壮大な『再現フィルム』である訳なのですね。秋田県大館市の高校生が岩木山への登頂を目指して昭和39年の正月に出発するも猛吹雪に襲われ遭難してしまう。その様子を最後まで追い、関係者からのインタビューを交えながら事実を淡々と描き出していく。出演者は当時遭難した高校の後輩が実際に演じたということでなおさら臨場感が画面から迫ってきます。結局、最終的に頂上に行かなかった一人と、頂上を目指した中の一人しか生きて帰ってこなかったのですが、フィクションのドラマのように効果音で盛り上げるとか一切ない。残念ながら私は岩木山にも、登山口となった百沢温泉にも行ったことがないけど、ぜひ一度出かけてみたくなりました。それはやはり、ノンフィクションの重みなのです。
こういう惨事へ至るドラマを見ていると、何度も『あのときああしていれば』という「たられば」に突き当たります。事実の積み上げは何をもたらすかというと、今私たちが同じような状況に陥った場合の反面教師となるのです。季節はまるで正反対の冬山での惨事を追った番組でしたが、夏の行楽や山でも同じようなことは起こりえます。何のために少年たちは生を全うしたのか。つくづく無理な日程を立てての旅というのは避けるべきだと思いますね。
- モー。たいへんでした
(日本テレビ・2001.8.16)
普段この番組は全然見ないんですが(^^;)、先日の参議院選挙の期間中に各政党の党首にモーニング娘。のメンバーがインタビューを取りに行くという企画についつい見てしまいました。
日本テレビの方から各党党首に取材依頼を出したみたいですが、まず驚いたのは各党党首が取材を受ける中、自由党の小沢一郎党首が取材を拒否したこと。まあ、この番組を見ている人たちにへりくだる必要はないのですが、逆に他の党首がほとんどモーニング娘。のメンバーにすり寄るようにしていたというのはなんか健気でしたね。
番組ではさすがに各党党首の中でも自民党小泉党首に時間を割いていましたが、実際に党首周辺に取材に行ったということでもわかるとおり、かなりの厳戒態勢がひかれているようでした。選挙期間中はやはり各党党首に対する警備が厳しくなるのでしょうが、首相や大臣についてはこうした状況は日常的に行われているというのは確かなようです。ということは、やはり私的な行動というのはほとんどないということですね。私的に○○……、という言葉はこうした映像を見せられるとなんと空虚な響きをもって伝わってくるのでしょうか。びびりまくっていたモーニング娘。のメンバーの表情は、そういうことまで私たちに伝えてしまったようです。
- はぐれ刑事純情派(テレビ朝日・2001.8.1)
予告編で『最後の家族旅行!? 光る泥ダンゴの秘密』となっていたので普段見ない番組なんですがつい見てしまいました(^^)。
残念ながら番組最後のクレジットに泥ダンゴ監修の文字は見つけられませんでしたが、実際に光るお手本もドラマ中に登場したりして、京都教育大学の加用文男教授が関係していたことは実に明らか。以前教授も出演されていたタモリ倶楽部では、今や参議院議員になった大仁田厚氏も泥ダンゴを作っていましたが、このドラマではメインの藤田まことや、加藤茶、そしてケイン・コスギまで泥ダンゴを握っていたのがなんか面白かった。でも、ドラマでの握り方ではすぐひびが入りそう(^^;)。
こういう刑事ドラマでは何か大きな事件が起きるとすぐそれに追随した安易な設定というのがありますけど(^^;)、これはこれでマニアックに楽しめました。ただ、これを見てダンゴを作ろうとしてもうまくいかないような気が。しみじみテレビの節操のなさを感じた次第です。
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